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舞い降りた乙女 strange lovely wedding angel ♡

 


 「「はぁ……終わったな。」」


 ボウガンを下げながら息を吐く彼らがしたこと。


 矢を放つ。

 天使を呼ぶ。

 ぶん殴らせる。


 すごい。私があんなに苦戦した相手をたった三工程のみであっさりと倒してしまった。三つとも全く訳がわからない方法だけど、敵はもう地面に突っ伏している。


 「あの……助けてくれてありがとう。」

 「その……助けてくれてありがとう。」


 私たちは同時にピンチに駆けつけてくれたヒーロー達にお礼を伝える。

 このダメージであのまま二人で戦ってたら、多分やばかった。


 「君たちがやられるとオレも困る。」


 「それに思った以上に簡単な仕事だったから、気にしなくていい。」


 二人とも答え方こそ無感情だったが、その根底には優しさが窺える。絶対いい人だ、この人。

 ただ、そこで私たちの生死で何が困るのか聞いてみたかったのだが、それ以上に気になる存在が近くにいた。


 「チサトが敵の動きを止めて…… 」


 「私がトドメをさす!!」


 「「いえい!! 作戦成功じゃん♡ 」」


 敵を殴り飛ばした天使二人が飛び跳ねて喜び出す。

 そのせいで髪がすごい揺れてるけど……なにあの髪型? どうなってんの?

 横結びのツインテールかと思いきや後ろでも二箇所結んでて、そのさらに下に団子結びと三つ編みがあって、肩までウェーブのかかった髪が伸びてて、ティアラみたいなカチューシャで前髪上げてて、その上でパイナップルみたいなまとめ方もしてて……ダメだ全部説明できない。どんな伸ばし方して、どんな結び方したらあんなボリュームにできるの? 日曜朝の美少女戦士達でももう少しおとなしいでしょ?

 しかも、よく見るとフリフリのレースがついた白綺麗な衣装を纏っていて……うん。やっぱ、そうだよね。絶対そうだよね。ウェディングドレスだよねアレ?


 つまり、前代未聞の髪型で翼をはやした天使な花嫁戦士。

 現実離れと呼ぶよりか、世間知らずの方が似合いそうだ。夢でもこんな情報量多い物は出てこない。


 「「ねぇねぇ、褒めてよぉ。チサトぉ♡ 」」


 髪型はアレだけど、ぱっちり二重の可愛らしい顔で天使花嫁がそれぞれチサトと呼ばれる彼らにすり寄る。

 チッ、ラブラブかな? 恋人同士なのかな? 初対面なのに当て付けかな?


 「「……うるさいっ。」」


 「とりあえず、その翼仕舞え。」


 「デカすぎて邪魔だ。」


 うわっ、冷静だ。ザマァ……じゃないや、かわいそうだなー。あの子の片思いなのかな?


 「「はぁーい!! 元に戻るね♡ 」」


 あんな返事されてもハイテンションのまんまなんだ……よくめげないな。私がオサム君に同じこと言われたら年単位で引きずり続ける自信がある。


 「「ほいっと。」」カチッ ヴンッ


 突然、彼女の身体を包んでいたドレスと頭のティアラが光を放って消える。


 「なにっ!? ここで脱いでくれるのか!!? 」スパァン!! 「ぶふっ!!? 」


 絶対に裸を想像したゴミクズ野郎の顔に私の平手が飛んだ。


 「このど変態がっ…… 」


 「違う!! 裸なんて期待してない!! ただ目の前で服を脱いだという事象にちょっと興奮しただけ…… 」スパァン!! 「ブハァ!!? 」


 定期的にコイツが違う世界の自分自身であるとこに絶望させられるんだけど、マジでやめて欲しい。

 ついでに言えばドレスを消した瞬間、あの子は制服姿になっていた。重ね着だったらしい。(重ね着って表現にしてはドレスの時に肩見えてたりしたけど、もうそんな矛盾は些細すぎる。重ね着でいい。)

 というか、それ以上に天使じゃなくて人間だったらしい。あの制服は町一つ挟んだ北高の物。つまり今の姿は一般女子高校生ってことだ……あの頭以外。


 「「アハハッ、裸になんかならないよぉ? このドレスが私のゾディアックギアだもんっ。」」


 殺されてもおかしくない状況なのに、近くでノビかけているウチのカスへ元花嫁が寛大な心で笑いかける。

 ちなみに、その人差指では手首に通せるくらいのリングがくるくる回されているのだが、さっきのドレスは彼女から離れた瞬間にそのリング状のものへと変わっていた。相変わらずの法則無視だけど、持ち運び便利な収納機能だな。


 「「あっ、このブレスレット? 君たちのもできるよ?」」


 無意識にそれを見つめていた私の視線に気づいた彼女が知らない機能を教えてくれる。


 「ほら、手首にあるダイヤ形のボタンをカチッとしてみて? 」


 「う、うん。」


 言われるがままにただの装飾だと思っていたボタンをグローブから探して押してみる。


 カチッ ヴン


 「あっ、変わった!」


 ボタンが押し込まれると同時にグローブが光となり、ブレスレットへと変化して手首へ装着された。

 この不思議機能を素直に受け入れられる自分の感覚がもう怖い。


 「おっ、本当に変形した。すげぇ!」


 いつの間にか復活した変態も隣で神様の便利機能を試している。


 「「戻す時も、その真ん中のダイヤボタンを押せば元に戻るからねっ。」」


 「教えてくれてありがと。ところで……天使さん達も何かの星座のゾディアックなの? 」


 レクチャー終わりの私は謎だらけの彼女達について質問する。

 

 「「フフフッ、悪い気はしないけど“天使さん”じゃないよぉ? 私はコイハル。黒羽恋春(くろばね こいはる)っていうの。乙女座のゾディアックだよ♡ そして、こっちが私の結婚相手の…… 」」


 「「勝手に紹介して嘘をつくな。結婚なんてしてないし、出来ない。オレは杉佐多 千里(すぎさた ちさと)。こんなギア使ってるから気づいてると思うが、射手座のゾディアックだ。」」


 イチャコラが垣間見えてイライラしたが、二人の名前と星座が判明した。

 射手座と乙女座。やっぱり双子座同様、どちらも十二星座の中の一つだ。


 「「ということでよろしくねっ。フタリくんとフタリちゃん♡ 私もコイハルでいいからさっ。」」


 「うん、よろしく……って、あれ? なんで…… 」

 「ああ、よろしく……って、あれ? なんで…… 」


 あまりにも自然に呼ぶから一瞬気づかなかったけど……


 「なんで私の名前知ってるの? 」

 「なんで僕の名前知ってんだ? 」

 


 

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