救いの光矢 shooting stars
「「チッ、邪魔しやがって……お前も星のゾディアックか? 」」
私たちへの攻撃を謎の矢に遮られたそれぞれの槍使いが、おそらくその犯人であろう全く同じ二人の謎人物に素性を尋ねる。
Tシャツに前を開けたYシャツを重ねた衣装で、オサムくんとは対照的な目つきの鋭い、同い年くらいの男の子。
いや、そもそも男? 格好は明らかにメンズだけど、イケメンとも美人とも取れる中性的な顔立ちだ。
性別すら謎だけど、空から降って来たあたり私たち同様の超人であることは間違いない。
「「ああ、そういうことになるな。」」ガチャッ
無感情に質問に答えた謎超人は敵に何かを向ける。
その手に握られているのは、おっきな拳銃に弓矢がくっついた様な武器。私たちのグローブみたいな派手な装飾もついている。なにあれ? 銃なの?
「ボウガンってヤツじゃないか? さっきの矢はアレから発射されたみたいだけど……なぁ? 君は味方なのか? 」
流石男の子って感じの知識を見せてくれた隣の私は、その流れで立ち位置不明の謎人物に声をかける。
「「助けてやったんだから当たり前だろ。」」
前を向いたまま相変わらず無感情に答える。
でも良かった、味方なんだ……もう自分同士でしか頼れないと思っていただけに、すごい安心感だ。
「「後はオレたちに任せて怪我人はじっとしてろ。」」
“オレ“ってことは男の子らしい彼はクールに頼もしいセリフを言ってくれるけど……
「気をつけて……アイツのスピードは尋常じゃない。」
超人化の力を倍増した私でも翻弄されたあの速度を警告する。
この人の実力とか、あるであろう特殊能力はまだ分からない。けれどアレに簡単に対応できるとは思えない。
「「問題ない。オレの黄道神能なら勝てる。」」
まさかの断言。ほぼ棒読みだけど結構な自信が窺える。
でも本当に大丈夫なの? 普通の代物ではないんだろうけどあのボウガンでアイツに攻撃出来るの?
「「おい、俺様の速度ナメんじゃねぇぞ? こっちは片目潰されてムシャクシャしてんだ……これ以上キレさせんじゃねぇよっ!! 」」
私たちのやり取りを聞いていた敵が激怒し始める。
「「……弱い犬ほどよく吠える。」」
敵の怒りに対して、ボウガンの彼がとんでもない諺を呟いてしまう。
「ちょっと!!そんな挑発なんかしたら…… 」
ブチッ
あっ、絶対キレた。何かが切れる音が聞こえた気がした。
「「それ……“強い馬”の間違いだろうがあああああああああああああああああああああああ!!!! 」」
ビュン!!
「ヤバい、来たっ!!」
「ヤバい、来たぞ!!」
どこに怒りを覚えたのかよく分からない槍使いが謎の彼に向かって攻撃を仕掛ける。
大丈夫なの!? 私たちが行った方がいいんじゃ……
「「サジタリアス・プレディクト。」」バシュバシュバシュバシュッ !!
グサッ!! グサッ!! グサッ!! グサッ!!
「「ぬわぁっ……!! 足がぁ……!! 」」
一瞬だった。
本当に一瞬だった。
走り出した次の瞬間には槍使いの両膝と足首に光の矢が突き刺さっていた。
「なにあれ、すごい……」
「マジかよ、すげぇ…… 」
足の駆動系をほぼ傷つけられた敵はバランスを崩す……が、まだ倒れ込まない。
「「これで勝ったと思うなあああああああああああああああ!!!! 」」
ガッ、ビュン!!
転びそうなところを勢いよく槍を地面に突き刺し、その勢いを利用してこっちに殴りかかってくる。
しぶとすぎる執念で簡単には諦めてくれない。だけど……
「「今だ、コイハル。」」
「「はーい!! チサトぉ♡ まっかせてーーーーーーーーーーー!!!! 」」
矢の彼が何者かの名前を呼んだと同時に空から可愛らしい女の子の声が聞こえる。
なに? 今度は誰?
バサッ…… スタッ
「「つ、翼っ!!? 」」
ボウガンの彼を守る様に白い翼をはやした女の子が空から現れる。その綺麗な姿はまるで……
「えぇ……天使? 」
「えぇ……天使? 」
現実からはとっくにかけ離れたと思っていたが、そんな聖なる存在が出てくるなんて予想だにもしてかった。今日はあと何回驚けばいいの?
落ちてきた……というより、舞い降りてきた彼女は拳を引いて腰を入れる。
天使らしからぬ物騒なポーズに入った女の子は……
「「これで決まりねっ……恋パンチ♡ 」」
グシャ……バッゴォ-------ン!!!!!!!!!
攻撃中の槍使いの顔をカウンターで殴り飛ばした。その姿に似合わない濁点だらけの効果音とともに。




