友情(仮)develop with 双凛 Part4
「チッ……! まさか疾駆を奪ってやがったとはな。」
槍を奪われた槍使いがオサム君に傷つけられた右足を押さえながら立ち上がる。
「で? どうする? 帰る? 武器もなしで二対一は超人さんでもきついんじゃない? 」
私は敵に撤退を促す。
「ハッ!! ほざけっ。やられっぱなしで帰るわけねぇだろ。”やられたらやり返す”ってことわざ知らねぇのか?」
それ、ことわざじゃない。どんだけ自分を馬鹿アピールすればいいの、この人?
「ん?……そういや、そこのお前。疾駆持ってて平気なのか?」
敵がオサム君の方に不思議そうな顔を向けて質問する。
「はっ? 別になんとも……まさか毒針とかっ!? 」
「いや、そんなの仕込むタイプじゃないでしょ、アレ。」
少し焦りだしたオサム君を宥める。目の前の馬鹿がそんな知能犯には絶対見えない。
「んな卑怯な手使わねぇよ。俺様の実力があれば毒針なんて猫に小判って奴だぜ。」
自分のこと貶めてますよ、それ。頭の実力的にあながち間違ってなさそうだけど。
「俺様が言いたいのはそういうことじゃねぇ。その俺たちの神槍は普通の奴には持つことすらできず、弾かれるはずだってこと……ん? 待てよ? もしかして、お前が普通じゃないってだけの話か? 確か”ゾディアック”側の奴でも、槍の力に耐えて触れれるって話があった気がするな。」
敵が独りで話を進め始めたが、なに言ってるのかさっぱり分からない。
だから何なのよ? その”ぞでぃあっく”って。
「それにあいつらも俺様達みたいに運命的に惹かれ合うらしいし……なるほど。ってことは、お前も”ゾディアック”確定だなっ!! ”砲台友暮らし”、二発目ってところか。ハハハハハハッ!! まだ目覚めてないようだが、コイツは予想外の収穫だぜっ!!」
「えっ? 俺も? 」
知らない単語や灯台ボケが混ざり合っていて詳しいことは全く分からなかったが、どうやらオサム君も私達同様にターゲット化してしまったみたいだった。
「どういうことか分かんないけど、あっちのモチベーション上げっちゃったみたい……早く倒した方がいいかも。」
私は敵に聞こえないようオサム君に囁く。
「ああ……とりあえず槍の平面な部分でアイツ殴って気絶させればいいよな? こっちが殺すのは流石にできないし。」
うん。まぁ、そりゃそうだ。
正当防衛でも、この馬鹿に恨みはないし、殺人は出来る限り避けたい。
「さぁって!! 二対一ぐらいのハンデはくれてやる、かかってこいよっ!!!! 」
超人とはいえ、妙に自信満々な様子で敵が挑発してきた。
何か裏がある気が……
「なんか怪しいけど逃げても追いつかれるなら、やるしかないだろ。」
オサム君も警戒度を増したようだが、いくしかないのは確かだ。
「なら私がカッターナイフで注意を引く。その間に後ろから回り込んでっ。」
「ああ、分かった。でも気を付けろよ。なにして来るか分からんぞ。」
「ええ……お互いにねっ!! 行くよっ!!!! 」
そして私は敵に向かってカッターを向け、勢いよく飛び出した。




