紡ぐべき絆 with 双凛 前編
「彼の目的は私!! アユリとオサムくんは逃げてっ!!!! 」
槍を蹴り上げ、敵を地面に叩き伏せた女子フタリは俺たちに逃げるように叫ぶ。
「……っはぁ、やるじゃねぇか。 」
しかし、その槍使いは首を押さえながらもう立ち上がりかけている。結構な足の入り方をしたはずだが、あまり効いていないのか?
「まぁ、これでこそ殺し甲斐があるもんだ、ぜぶぇっ!!!?」バコォンッ!!!
えぇ……?
多分、闘争本能剥き出しの台詞を言いかけたのだと思うが、それを言い切る前に顎に一撃喰らった。
女版フタリの蹴り上げによって。
「てめぇっ!! 卑怯だ、ぞぇえっ!!!? 」 ドォカッ!!!!
さっきの蹴りで反り上がったところを今度は腹に拳、一発。
「だから、ふざけん、なぅぶはぁ!!!? 」 バァコッ!!
さらに倒れてきたところに頬に一発。そして容赦ない彼女は叫んだ。
「二人ともっ!! 私が襲われてるうちに早く逃げてっ!!!!」
よし、分かった……とはならないっ!!
今となってはどっちが襲撃者かわからない展開だ。逃げる必要性を感じない。
ズカッ、ボカッ、ガスッ!!
「ほらっ!! もしあなたたちに何かあったら、あっちの私に申し訳が立たないっ!! だから早くっ!!」
凄くいい台詞なんだが、そんな元武道家とは思えないフルボッコ効果音と共に言われても……むしろアイツ助けてやった方がいいんじゃないか?
バコッ!!
「クッソっ!! テメェなんぞに負けてたまるかっ……来いっ!! 疾駆っ!!」
反撃の暇なく連撃を喰らい続ける槍使いが突然何かを呼ぶように叫んだ。
しっく? それって確かあの槍の名前じゃ…… ガシャンッ
「なんだ? この音?」
「ん? なんの音?」
俺も薄明さんも何かの音に気づき、音の方に目をやる。
「なっ!? 」
「えっ? ウソっ……!?」
それを見て俺たちは共に絶句した。
さっき彼女に蹴り上げられ、後ろでアスファルトに突き刺さっていたはずのあの槍がひとりでに地面から抜け、宙に浮いていたのだ。
コイツ、まさかエスパーまで使えるのか!?
シャキンッ
そして、槍は自身で矛先を向けた。
ターゲットはもちろん持ち主をボコボコにしている……
「君っ!!!! うしろっ!!!!! 」
何が起こるか察した俺は女子フタリに叫びかける。
「えっ……!?」 ビュンッ!!
しかし、遅かった。彼女が槍の存在に気づいた瞬間、その武器は既に標的に向かって飛び出していた。
「マズい、このままじゃっ!!!」




