紡ぐべき絆 with 双利
「僕が引きつける!! アユリさんとオサムはとにかく逃げろっ!!!! 」
敵に膝を着かせた男子フタリちゃんは私達に逃げろと叫びます。
「……っはぁ、やるじゃねぇか。 殺し甲斐があるぜぇ。」
さっきの蹴りはあまり効いていないのか、槍使いは特にふらつくことなく立ち上がりました。やはり只者じゃありません。
「はっ、よく言うよ。どう見ても本気じゃなかっただろお前。」
確かにそうです。彼の言う通りです。
猛スピードには違いありませんでしたが、明らかに本気のスピードではありませんでした。もし私達を追い越した時の超スピードだったらとっくに串刺しに出来てるはずです。
「そりゃあ、ただ瞬殺しても面白くねぇし、俺の気も治まらんからなぁ。」
なんですかこの人? 戦闘狂ですか? すぐ殺されないのは希望的ですが、その性格は絶望的に最悪です。
「でも、少し見くびりすぎたか。もう二発も喰らってるわけだしな……というわけで、もっとスピード上げてくぜぇ!!! 」
ダンッ!!!!
また槍を向けて突っ込んできました! しかもさっきより速いっ!!
「……っ、あっぶねぇ!! 」
よかった……標的の彼は攻撃を既の所で横に飛んで躱します。しかしさっきみたいに反撃に出る余裕はありません。
「ほらほら、どんどんいくぜぇ!!!! 」
シュッ!! ブンッ!! ビュンッ!!!
攻撃を避けて間もない彼の体勢が整いきらないうちに、敵は槍を引き戻して標的の方向に次々と突きを放ちまくります。
「クッソ、速すぎる!! 」
タンッ!! パンッ!! ガッ!!
しかし男子フタリちゃんの対応力もすごく、体を捻ったり、形が平たい槍のため拳で側面を弾いたりと直撃を避け続けます。
ただここは片側が山でもう片側は順にガードレール・車道・田んぼで挟まれた決して広いとは言えない歩道。小回りが利くような場所ではないため、攻撃を避けると共に徐々に後ろに押されていき、気づけば逃げることもできず立ち尽くしていた私と鴉根くんを抜いて、逃げてきた道を逆走する形になってしまってます。
「さてさて、いつまで耐えれるかなぁ!!!!?」
シュッ、ビュンッ!!!! ダンッ!! ズザンッ!!!
「くっ、キッツイ……二人とも!! 僕の限界が来る前に今すぐ逃げろ!!!!」
「えっ、そんなこと…… 」
「えっ、そんなこと……」
「いいから早く!!!! 」
なんて人でしょうか、自分が一番ピンチだというのに私たちの心配をするのですか。見捨てて行けというのですか。しかも私たちは初対面の側なのに……
「ねぇ、鴉根くん…… 」
「……ああ、あいつを助ける。」
逃げれるわけありません。見捨てられるわけありません。だって彼があっちの私達の友達なら……それは私達の友達です。




