鹿谷ヤマト target 双利
ビュンッ!!!! ザザッ
「さぁ、俺様にじっくり殺されろや…… 」
風と間違うほどの超スピードで私達3人を追い越し、さっきの槍使いは私たちの行き先を塞ぎました。
速すぎます。想像を遥かに超えています。瞬殺が目に見えます。
「ナメた真似してくれやがって……覚悟はできてんだろなぁ? 女の方も今頃追いつかれてるだろうから、仲良くあの世行きだ。」
そう言って早速、派手な槍をこちらに向けてきます。ヤバイです。殺る気です。
どうしよ?どうしましょう? まだ5分も時間稼げていません。この時間にその助けというのがあるとは思えません。でも今のスピードから、私達一般人に勝てる相手でないことは確定しました。このままじゃ……
「 お前の目的は何だ!? 世界を戻すことなのか!!? 」
鴉根くんが大声で問います。
「そりゃ、一応な。」
「じゃあ、証拠は!? フタリさん達を殺すことが本当に世界を戻す方法かどうかの確証はあるのか!? 」
鴉根くんは質問を続けます。少しでも時間稼ぎをしようとしてくれているのかもしれません。
「ねぇよ。」
あっさりと即答されました。
なら、この人は証拠もない不確定で簡単に人の命を奪おうとして……
そんないい加減なの”馬鹿だから”という理由だけでは許されません。
「まぁ、人類分裂があってもなくても、いずれお前らを殺すことになってたがな。なんなら世界を元に戻すのはついでだ。」
「……え? 」
「……は? 」
「……は? 」
私達は揃って唖然とします。
だって意味がわかりません。世界の方がついでということは殺害が一番の目的ってことになります。
それに……
「……どういうことだ? 僕らは初対面のはずだろ? なのに……僕に、恨みでもあるのか? 」
そうです。彼らは今初めて会ったはずなのです。
それなのに恨みを買うことがあるとはあまり思えません。
だから世界以外の理由で襲ってくるのはおかしいです。
「そんなもんはねぇが、お前が”ゾディアック”の一人ってだけで十分殺す理由になるんだよ。分かるだろ? 」
「はぁ? ぞでぃあっく……僕が??? 」
また未知の新単語です。知ってる前提で話が進んでます。
”ゾディアック”ってなんて意味だっけ? 聞いたことあるような、ないような……
「なに、とぼけてんだ? まぁ、戦えば嫌でも力使うか……じゃあ行くぞ、虎の怒りを買った狐供っ!!!! 」
タンッ!! ビュッ!!!!
「ヤバイ、来たっ!!!! 」
目の前の敵が槍の先端を向けながらなんか色々違うセリフでとうとう猛スピードで私達に向かってきました。
その標的はもちろん……
「おらっ、くらえやぁぁぁ!!!!! 」
「君っ!! 危ないっ!!!!」
パンッ!!
「なにっ!!? 」
大丈夫でした。 無事でした。そして……流石でした!!
男のフタリちゃんは自分に突っ込んできた槍の側面をギリギリ右手の甲で横に押し込んだのです!!
そのおかげで槍の行き先は変更され、攻撃は彼に届きません。しかもほぼ自動的に懐に入り込んだことで……
「セリャァァァ!!!!!! 」
「ブハァッ……!? 」
右足で敵の脇腹に蹴りを一発お見舞いしたのですっ!! 空手全国レベルは伊達じゃありませんでした。
反撃をモロに喰らった相手はダメージ部分を手で抑え、膝をつきます。そしてその隙に彼は、
「僕が引きつける!! アユリさんとオサムはとにかく逃げろっ!!!! 」




