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幕開け turn of event



 「「じゃっ、気をつけて〜 。私は用事があるから後でねっ♪ 」」


 お姉ちゃん達に見送られ、私たちは一応制服姿(休校確定した訳でもないので)で病院に向かう。

 歩き出す前にケータイのメールボックスを見ると予想通り遅めの休校を知らせる文が届き(私服でよかったじゃん)、お父さんからは……

 

 「フフッ。だからそんな年齢じゃないってば……」


 「お前のところにも来てたのか。まったく二人揃って子供扱いされてるな。」


 ホントまったくである。でも……悪い気はしない。

 

 「よし、行くか。」


 私は笑みを浮かべながら、携帯を仕舞って彼と共に歩き出した。




 「「おはよぉー、二人ともぉー。」」


 道の途中でまずアユリ達と、


 「「四人とも、おーい!!」」


 次にオサムくん達と合流し、みんなで目的地へと向かった。

 私は五人と歩きつつ、友達に昨日から決めていた質問をする。


 「ねぇ、昨日帰った時オサムくんとアユリ達の部屋、なんか変なとこあった? 物が二つに増えてたとか。」


 「あっ、私答える。」

 

 どっち側か分からないけど、右のアユリが手をあげた。


 「んーと、本棚の中学の卒業アルバムとかクラスの集合写真の写真立てが増えてた……って言うよりはフタリちゃんとその……フタリくん?が写ってる分がそれぞれ一つずつあったよ。他のものはそのままだったけど。」


 「なるほどね、やっぱり。」

 「なるほど、やっぱりな。」


 私たちは同時に納得する。

 昨日思った通り、うちのベッドみたいに私の世界にしかない物やあっちにしかない物は同じ役割のものでも二倍になってるらしい。逆に共通するものは元のまま。コレらが答えに繋がればいいんだけど……

 そんな希望を思い浮かべていると、片方のオサムくんも


 「俺のアルバムも同じように増えてたよ。あとベッド下に見覚えのないメガネの…… 「違うっ、それはフタリが押し付けてきたエロほ……「おいオサム共、それ以上しゃべ……「へぇー、やっぱアンタの刈ろっか♡ 」


 セリフの遮りあいの末、私による粛清が再決定し、ポケットに仕込んでおいたカッターナイフを構える。

 その行動は対象を察したその場の全員を一瞬で青ざめさせた。

 

 「いや、お前昨日オサムがそういう本持っててもいいって言ってただろ!? 本貸すくらいなら…… 」


 「そこじゃなくて、今回の罪は性癖の押し付けよ。」


 世界が違うオサムくんとは言え、彼をそっち方面に引き込んだ罪は大きい。

 まさか布教活動までしていたなんて……それで彼もアユリにときめくようになったらどうするつもりだ。


 「違う。布教じゃない。ただそれはシチュが良かったからオススメしただけで…… 」


 女の子にそれ言って恥ずかしくないの? もう少しまともな言い訳あるでしょ? ほら、アユリ達からも言ってあげな。


 「「そうだね。まずどんなシチュだったのか教えてもら……「ごめん、やっぱ少し黙ろうか。」


 そうだった、しまった、この子ムッツリだった……でも、真顔で女子が本の内容を聞き出します? 普通。


 「ああ、もうっ!! やっぱ切り落とした方が手っ取り早いわね。ほらいくよっ?」


 私は向き合った彼に向かってカッターを振りかざす。


 「だから、いい加減に……って、え? ちょっ……危ないっ!!!!」ドシッ!!


 「えっ!!!? なに、やめっ……… 」


 いきなりすぎて何をされたのか、把握できない。

 えっと、確か突然目を見開いたみたいだった男版の私に……抱きつかれて、押し倒された。


 「ハァ!? ちょっ……オサムくんの前で何してくれてんの? とうとう見境がなくな…… 」


 グシャァァァァン!!!!


 聞いたことのない破壊音が聞こえた。


 「え? 何!? 」


 私は首を起こして音の方向を見る。

 オサムくんやアユリもそっちに目線をやっている。


 「「何だあれ? 槍……? 」」


 そう、槍だった。

 派手な装飾の槍がアスファルトに深々と突き刺さっていた。


 「大丈夫か? 急に僕らの方に空から降ってきたのが見えたんだが…… 」


 上に乗っかていた彼は起き上がりつつ、私を心配する。


 「う、うん、ありがと…… 」


 どうやら助けてくれたらしい。コレには素直に感謝するしかない。

 あのアスファルトを粉々にするものが自分に突き刺さっていたかもと思うとゾッとする。


 「でも空からって、一体なんで……?」


 「そりゃあ、俺様が狙って投げたからなぁ!!」


 上から聞いたこともない荒い声がした。明らかに反省のない自白とともに。

 そして空から降ってきた。おそらく声の主で、あの槍の持ち主が着地で地面を揺らして……


 「やっと、見つけたぞ……分岐点!!!! 」


 超人的な登場でうちと同じ制服姿の男が私たちの前に立ち塞がった。



 


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