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祇峰フタリ returned home with フタリ Part5

 

 

 「え? えぇ……コレって、えぇ…… 」


 ヤッバ、おもしろっ。

 私にBL本のタイトルを読み上げさせた男版の私は超わかりやすく困惑している。

 多分こういう本を初めて見たんでしょうね。頭の上に大量の?マークが見えるよ。


 「で?それ使ってどう脅すの?どう戦うの?」


 ドヤ顔で本を見つけてきた割にはそこから微動だにしないので挑発してみる。


 「こ、この……この腐女子がっ!!」


 「ハッ、そんなの私もアユリも自覚してるわよ。腐りにプライド持ってるよ。」


 苦し紛れに投げてきた罵声を軽々と一蹴。しかも、


 「えっ? アユリさんも……? 」


 アユリのことは知らなかったようで衝撃を上乗せしてしまったみたいだった。

 まぁ、好きな相手なら知っといた方がいいでしょ。じゃあ、ついでにもっと、


 「そうよ。なんならこの私の趣味はアユリ発よ。更に言えばあの子と私のせいでうちの学年はもれなく全員腐ってるわ。いやー、自分たちのことだけど”腐ったみかん”はこのことね。」


 「…………… 」


 あーあ、口開けて黙っちゃったよ。「うまいこと言ってんじゃねぇ!!」とか突っ込んで欲しかったのになぁ。余程衝撃だったみたいね。

 動く気配ないし、今のうちに切り取ってやろうかな。趣味一つ知っただけで冷める気持ちなら余計許せな……


 「でも、そっか。僕がアユリさんのこと知らなかっただけか。」


 ん……?


「何もかも知れるわけないよな。別にそれぐらいで彼女の好きなところは変わらないし……」


 あら……?


「彼女を好きな気持ちは揺るがないもんな。僕がもっと知る努力しないと…… 」


 ……なんだ、ちゃんと好きなんじゃん。


 「ただの体目当てじゃないんだね。」


 「は? 当たり前だろ!? そんなクズ理由のみだったらヤバすぎるだろ!!」


 怒鳴られた。けど、それなら安心した。


 「じゃあ、どんな理由なの? 」


 「そんなの恥かし…「言わないと切る。」「はい。言います。」


 カッターのチラ見せで火照った頬を青ざめさせた彼は背筋を伸ばして私に従う。


 「まず優しいところとか、天然でいつもフワフワしてるところとか、あとは、あとは、えっと…… 」


 「えっ、まさかもう体? 」


 意外と早く言葉に詰まった相手に再び疑いを抱く。


 「本当にそれだけしかないなら、やっぱ切るよ?」


 「だから! 体には興味ない……とは失礼になるから言えんが、そういうわけじゃ……だから、もう、ああーーーーーー!! 分かった!!もう分かった!! 言い訳のしようが無い!! 体への興味に関してはお前と同じセリフで開き直らせてもらう!!」


 ヤバい、言い過ぎたのか暴走し始めた。てか私のセリフって……


 「いいか!? 僕はなぁ、僕は……僕は思春期なんだよ!!!!」


 彼は私のピュアピュアなセリフを恥ずかしげもなく堂々と変態であることの開き直りに使いやがった。


 「ぶっちゃけ、体には興味ある!! スタイルもいいと思うし、いつも胸に目を奪われる!!」


 ぶっちゃけ過ぎだよ。最低だよ。

 マジであり得ない。今すぐ切り落として……


 「でもそれ以上に!! そんなこと関係なしに!! 」


 出会ってから初めてみる真剣な目で私に訴え始めた。

 不思議と嘘でないことはすぐに分かる表情で……





 「アユリさんと一緒にいたいと思える……それが一番の好きな理由だ。」




 

 「そう……さすが私ね。男でもちゃんと素敵な恋してんじゃん。」


 私は穏やかに微笑みかけて、カッターの刃をしまった。





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