祇峰フタリ returned home with フタリ Part3
「さて、局部を出しなさい♡ 」
そう言いながら、目の前の女は笑顔でカッターナイフの刃を出した。
今の僕の自己紹介
どうも、隠してたエロ本を見つかって命を狙われているも同然の高校2年生 祇峰双利 です。
おそらく男として人生最大のピンチに直面中ですよ。ヤベェ。
「あの、聞くまでもないかもしれませんが……どうするおつもりで? 」
「もちろん、刈るの♡ ちなみに”刈る”は生えているものを根元を残して切り取るという意よっ♪ 」
ハハッ、ご丁寧にどうも。
根元は残すから安心してくれって意味なのかな? たぶん使い道ないから不安しかないけど。
しかし、切り取られるかぁ……想像もしたくねぇ。
あえて笑顔と姉貴みたいな口調で恐怖を与えないようにしてくれるのかも知れんが、ワザとらし過ぎて完全逆効果だ。殺意のオーラ丸見えだし。
「ちょ、ちょっと落ち着こう。あの、あれだ。お前が女ってことは、二つの世界を通して祇峰家の男は親父以外に僕だけってことなんだよ。 つまりそんなことすればウチは絶えるってことだぞ? それでもイイのか?」
脅しになってるのか分からないが、僕は咄嗟に思いついたそれっぽいデメリットを突き出す。
「それは私かお姉ちゃんがお婿さんもらってこればイイだけでしょ? いまだにそんな男中心の考え方だと呆れるわね。」
あっ、どうしよ。普通に僕が悪いなコレ。
この辺でじいちゃんとかの影響を受けちゃダメだって改めて認識しないと……
しかし今の発言で、より静かに怒りを増していく彼女はカッターの刃を更に伸ばしながら
「やっぱそんな男尊女卑が染み込んだ時代遅れ局部は切り落としましょ。世の女性代表として私が介錯してあげるわ。反省して新しい時代に合ったものに生え変えなさい。」
あの……確かに絶対僕は反省すべきだが、もっと平和的に反省させてくれません?
とにかく今は謝って説得するしかない。性別は違っても自分自身だ。ちゃんと話せばどうにかなるかもしれん。
「今のは僕が悪かった。謝るよ。でも、知ってる? 髪の毛とかと違って一回切られたらもう生えてこないんだよ? これから先もずっと必要なんだよ? 僕の未来と言っても過言ではないんだよ?」
自分自身とはいえ、女子高生にモノの重要性を訴える。我ながら相当なセクハラシーンの気もするがここでこのリスクを犯さないと僕の人生は八割方終わる。
「へぇー、そう言えばそうだったわね。でもそっちこそよく考えてみて欲しい。たとえ姿は違っても私はあなた、あなたは私。どっちも偽りのない祇峰フタリなの。」
えっ……? なに? いきなりどうした?
「つまり私たちは一心同体と言っても過言ではないのよ。だから私が大事に想う家族はあなたにとっても大事だし、オサムくんを大事に想う私のように、あなたもオサムくんを大事な友達だと思ってるでしょ? アユリだって全く同じ。だから…… 」
「お、おう。だから……?」
突然、名言になりそうくらい良いことを言い出した。
なんか逆にこっちが説得されそうなくらいの雰囲気。一体ここからなにを……
「だから……だから逆に言えば私に必要ない物は、あなたにも必要ないってこと!! さぁ安心して刈られなさい♡ 」
「なるほど、じゃあイイよ……とはならねぇよ!!? 」
途中までの素晴らしい内容に納得しかけたが、結論は崩壊していた。
てか、そんな感動シーンで言えそうな台詞をこんな局部斬る・斬らないの説得で使ってんじゃねぇよ。どんだけ切り落としたいんだよ。
「いや待て。よく考えろ。そもそも僕そんなに悪いことしたか? 男子高校生がエロ本隠し持ってただけだぞ? 」
そう、これを罪とするならきっと日本の成人男性ほぼ全員が罪人。しかもそれら全員のブツを刈り取ろうもんなら各人どころかこの国に未来は無い。
「別にこういう本を持ってたこと自体は問題ないのよ。どーせ、オサムくんとかも持ってるんでしょ? それくらいの男子高校生の習性は理解してるわ。」
あれ?意外な答えが返ってきたぞ。そこにキレてたんじゃないのか?
「オサムに関してはノーコメントだが……ならなんで僕狙われてんの?」
所持が罪でないなら全く心当たりがない。
他になんかやらかしたっけ?
「ふーん、気付いてないんだ。じゃあ、触りたくもないけど一冊一冊見ていこうか。」
そう言って彼女は本の端をつまみながら僕の前にそれぞれ順番に突き出す。
「さぁ、今すぐ切られたくなければ読み上げなさい。ほら1冊目。」
「『巨乳メガネっ娘特集』……」
「2冊目。」
「『変態眼鏡集めましたっ』……」
「3冊目。」
「『学校でメガネ生徒会長と***』……」
「面倒だから4、5、6冊目。はい、一気にどうぞ。」
「『眼鏡な巨乳幼なじみと**** 』と『 眼鏡デカ*********』と『-*************- *********メガネ****』の3冊です…… 」
ああ、なんて屈辱と羞恥だ。生きた心地がしない。
だが多分本当の地獄はここからである。
「じゃあ、ツッコむわね。なんで、眼鏡ばっかりなのよっ!!!!!!!!!!!!!」
ものすごい大声で突っ込まれた。
だがなんでそこ怒って……ちょっと待てよ。眼鏡に気づかれたってことは……あっ、マズい。
それはマズい。そこに気づかれたのはマズい。今すぐ早く言い訳を、
「そ、それはですね。 ただの僕の性へ……」
「アユリでしょ?」
あっ、詰んだ。
「眼鏡女子のアユリでしょ? あなたの想い人、薄明アユリさんを想像してなんでしょ? 」




