祇峰フタリ returned home with フタリ Part2
「さて、どこから手をつける?」
私たちは荒れ果てた自室を前にして、その片付けの順序を考え始めた。
二つの世界の人間が引き合わされたらしいこの現象。
人間以外は元の世界ままだと思っていたけど、その元々が二つある場所。すなわち私たちの部屋場合はどうなってるのか。私の部屋のままなのか、それともあっちの世界の部屋なのか、もしくは跡形もなくなってたりするのかといろいろ考えてみたけれど、実際見た結果は、”合体”だった。
まぁ、予想はしていたのだけど……床は本棚から溢れた見覚えのない少年漫画で埋まり、机の引き出しからはいろんな文房具が溢れている。ベッドに関しては私のピンク色の物の上にもう一つ無地のシンプルなベッドが乗っかり、文字通りの二段ベッド状態。思った通り、いっちばんめんどくさい結果である。
どうすんのこれ。私の寝床潰れてるじゃん。だから合体はやめて欲しかったのよ……
「まぁ、最悪みんなで動かせばなんとか動くんじゃね? なぜかこの家4人分の人手があるし。とりあえずは道の開拓からだろ。」
「それしかないか。では、地獄への一歩を…… 」
バキッ
「ん? お前今なんか踏んで……って、 ああああああああ!!!! 僕のデルタカイザーV ⒌5型 があああああ!!!!」
「うわっ!? えっ!? なに!!?」
突然、カタカナの塊らしい単語を叫びながら足元に飛びかかってきた。
びっくりした私は咄嗟に激突を横ジャンプで回避……バキッ!!
「痛っ!! なんか刺さったんだけど…… 」
「今それどころじゃ……って、ああああああああ!!!! ファングフォースΩ 28号 までぇぇぇぇぇぇっ!!!!! 」
「えっ? あっ、ゴメン。」
私は片足を上げて、ドアの方に跳び戻った。
よく見ると床には少年漫画の他に彼の物らしいプラモデルがたくさん散乱している。
どうやらその中のコレクションの一部を踏んで真っ二つにしちゃったみたいだ。
「あぁ、本棚の上なんかに置いておくんじゃなかった…… 」
彼はプラモデルの残骸を持って嘆いていた。
もう一人の私の宝物だったんだね。なんか申し訳ないな。
「あの、ゴメンね。私が片付けるから置いといて、今ゴミ袋 持ってくる。」
「ふざけるなよ!? これがゴミな訳ないだろっ!!!! 」
謝ったのに怒鳴られた。
いや私がやっちゃったヤツだけどそんなボロボロな物捨てるしかないでしょ。
「プラモの可能性は無限なんだぞ? いいか? こいつの場合はあとで最終決戦仕様の半壊状態に改造すればいい。あっ、でもこの壊れ方なら38話再現の方がいいか。いいや、待てよ。翼が折れてるなら26話の…… 」
マジなに言ってんのか分かんないけど何か楽しそうだから、まぁいいや。悪いことしたけどほっとこ。
私も大切なの物踏まれないよう、今のうちに拾って……あれっ?おかしいな。
改めてこの惨状見て分かったけど、私の物はなぜか全然床に落ちてない。基本全部本棚に収まってるし、そもそも本棚はベッド違って一つしかないのか。
「ねぇ。この本棚ってさ、お姉ちゃんのお下がり? 」
「え? あー、そうえばそうだったな。……もしかして勉強机も?」
「うん、私のもそうだった。それ聞くってことは気づいた?共通のものは増えてないってこと。」
そう、この部屋の中でも、本棚とか勉強机にみたいにどっちの世界にもある物は一つのままらしい。
逆にベッドは小さい時にアユリの部屋の可愛いベッド見てお父さんに強請った物だからあっちの世界のものとは別物だから、家具としての役割は同じでもそれぞれの物が一つずつあるんだね。
そのせいでベッドの二段重ねが出来上がってる訳だけど。
何かが消えたりしてないだけマシと思った方がいいのかな?
「よし、僕の漫画も全部どかし終えたな。何で僕のだけ散らかってたのか分からんが、今はいいか。とにかく寝床の確保といこう。」
床の片付けで通路の開拓を終えた私たちは今回一番の過重労働に取り掛かる。
「どうする? ベッド運ぶならお姉ちゃん達呼ぶ?」
「確かこれ親父が日曜大工したヤツだから、結構軽かった気がする。一旦二人で運んでみるか。」
えっ? お父さんこんなの作れたの? 職業建築士だからその辺も強いのかな。 他の家族にもまだ知らない一面があるものね。
お父さんに新たな関心を覚えつつ、ベッド片側に手を掛ける。
「準備OKだよ。よいしょっと。あっ、本当だ軽めだね。運べる、運べる♪」
「おっ、ならこのまま行くか。せーの!!」 ドンっ
ふぅ、意外と苦労せずに済んでよかった。これで私のベッドは解放され…… あれ?こんなのあったっけ?
裏表紙を向けた見覚えのない雑誌がいくつかベッドの上に置いてあった。
一体なんの……あっ。
「んーっ!! ひと段落着いたし休憩すっか。 ん?なにを見てんだ…… あっ、そ、それは、ベッドの下にあるはずじゃ…… 」
簡単に言えば女の人が載った本。男の子が好きな女の人の写真本。それが6冊も。
まぁ、つまりそういうことである。そういうものである。粛清ものである。
「あ、あのー、双凛さん? 祇峰双凛さん? なんかドス黒いオーラが見える気が…… 」
そして私は近くにあったカッターナイフを手にし、刃をだしながら恐怖を与えないよう笑顔でこう要求をした。
「さて、局部を出しなさい♡ 」シャキーン
「……ヤベェ、苅られる。」




