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祇峰双凛 family

 


 「強い想いが新世界でバグを生み出せるのは、世界が二倍にされたという事実と、十七年間の私達の存在そのものが証明している。」


 「だから、僕らが生き残る方法もバグを生めばいいってことだ。祇峰フタリが排除の対象から外れるバグを、新世界で存在出来るバグを。」


 四人に“愛=歪” を伝えた僕達は、具体的な消滅回避の方法を説き始める。だが……


 「つまり、私達もお互いを愛すれば……とか実際に口に出すのは何か恥ずかしいな。」


 顔を少し赤くした彼女はそこからの説明を躊躇する。

 どうやら、自分の言っていることのラブストーリーっぷりに赤面し出したらしい。ラブと言っても、ファミリーラブなんだが……

 よくよく考えたら、この説明って消滅回避を具体的にしているというよりは、イタさを具体的に掘り下げているとも言えるわけで……これ、新世界に行けても、思い出して死にたくなるヤツじゃね? シスコン晒してる様なもんじゃね?

  おい、その顔をやめてくれ。せっかく恥から目を逸らしてたのに、見てるとこっちも恥ずかしくなってくる。


 「ま、まぁ、そこまで重い表現じゃなくてもいいか。新たな家族として、もう一人をただ求めればいい。」


 冷静ぶってみるが、熱で分かる。僕の顔も赤く染まり始めた。


 「あんまり愛とか過剰に意識しすぎると返って迷いが生まれかねないしな、思春期の僕達には。」


 やはり“愛” というワードはアユリさんのために使いたい。

 コイツにとっても、兄なんかより、オサムのためにとっておいた方がいいに決まってる。


 家族愛なんて、本来は当たり前であるべきで、無意識に生まれるべき感情なのだろうから。


 「そ、そうね。下手な恥とか迷いは失敗に繋がりそうだし。」


 照れを隠す様に彼女は消滅回避の成功確率を考慮する。


 失敗か……

 確かに生き残りを賭けるタイミングは、この空が割れ切り、新世界が創られる一度のみ。

 もちろん、やり直しのチャンスなんて存在しないし、母の前例からも詳細までは分からないから、何か問題が起こらないとも限らない。

 どんなものが障害となるかがはっきりしない以上、家族を求める心持ちの邪魔となるような感情は抑えておいた方がいい……


 ……なんて、堅い分析はもう無意味か。

 愛を形にするみたいなラブコメ奇跡の恥ずかしさとイタさを、冷静な分析を踏まえて自分を誤魔化そうとしているだけ。

 自分でも分かってる。これはただの照れ隠し……


 生き残れることを確信している自分の想いの大きさを、年齢並に恥ずかがっているだけだ。


 正直な気持ちを認めれば、僕はコイツがいる日常を送りたい。

 自分のことを棚に上げまくっても、

 全く趣味が合わなくても、

 たまに暴力的でも、

 腐女子でも、


 そんな妹でも、心の底から家族でありたいと思える。


 友達想いで、家族想い。

 普段は男勝りなのに、裏では泣き虫。

 強いくせに、弱い。

 弱いくせに、強い。


 そんな妹だからこそ、兄として守りたいと思える。

 

 ここまで重い想いの先に僕らの未来がないなんて、あっていいワケがない。あるはずがないのだ。

 だから、僕は自信を持って、新世界に願う……


 

 「僕はおまえを家族として、妹として、新世界に求める。 」



 「だから、フタリ。おまえも僕を求めろ……」




 「家族として、おまえの兄として。」



 

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