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生きるために resist twice

 


 「そう……そういうことだったのね。お母さんが…… 」


 僕の一言から少し考えた右の彼女は早くも全てを察し終えた様子を見せる。


 「なら、愛=歪は…… 」


 「フッ、理解が早いな。流石もう一人の僕……じゃなくて、双子の妹だったか。」


 頭では分かってても、コイツが妹であるという実感はなかなか湧き切らない。

 パラレルワールドの自分だと思っていた女子高生を家族として完全に認識するには、関係性が判明してからの時間があまりにも短い。てか、なんか恥ずい。


 「……だからこそ、生き残って日常にお互いを溶け込ませる。これから祇峰家の家族としてお互いを迎え入れて、受け入れ合う。そんな時間をお母さんは望んでるってことでしょ? 」


 全てを推測し切ったおかげか、徐々に彼女から自分の境遇を思い悩む暗い表情が消えていく。


 「頭の中、戦えるぐらいにはすっきりしたか? 」


 「ええ、あなたを本気で兄貴扱いしようって思えるくらいには。」


 「そりゃ、どうも。」


 「それと、自分に可愛い妹キャラを付与するくらいには。」


 「なんだ? ホントにお兄ちゃん呼ばわりでもするのか? 」


 「は? さっきの冗談真に受けたの? キーモーいー。お兄ちゃん、キーモーいー。」


 「結局、呼んでるじゃねえか。」


 そう、こんな風に本当の祇峰家はこれから始まる……いや、これくらいのくだらなさを家族の関わりと呼ぶのならば、昨日から既に始まっていたのかもしれない。今思えば、コイツと出会った時から繰り広げてきた馬鹿馬鹿しいやり取りからは姉貴との小競り合いを彷彿させる部分があった気もする。やっぱり兄妹のソレだったのだ。


 だから、祇峰双凛。もとい祇峰参蕾はもう僕の中の家族に加わりつつある。


 それはコイツの中で祇峰双利と祇峰双葉の名を持つ僕自身も、きっと。


 「とにかく、こんなとこで死ねないな。あんな意味の分からない馬鹿槍使いに母さんの願いを台無しにされてたまるか。」


 「そうね、あの意味不明な敵にこの意味不明な力を使って勝ちましょっ。頭の中の自称神様とか杉佐多君達にいろいろ説明もしてもらいたいことも山の様にあるし。」


 それもそうだな。

 この十数時間で多くの超常と戦いを経験してきたが、この星の力と敵の喋る槍の存在に関しては神から分かれて出来上がったという情報ぐらいしか得られていない。僕らを襲う槍使いや僕らを助ける杉佐多達の目的も依然として不明のまま。普段の日常と次元が違いすぎて、神様のことなんて推理のしようがない。この謎を知ることも、僕らがここで死ねない動機の一つとも言える。


 「生き残りたい理由が尽きないとは僕らは幸せ者なのかもな。」


 「たった今、死にかけてるのに? 」


 「でも、家族の幸せを掴むための死だ。」


 「フフッ……そう思うと、お母さんも中々の無茶な消滅回避を押し付けてくれたわね。」


 「まったくだ……でも、それは無茶なようで家族なら当然のことなんだろうな。」


 「そう? 家族に夢、抱きすぎかもよ? ドラマとかだともっとドロドロしてる。」


 「いろいろ自分の命に罪悪感とか感じながら生きてきたし、家族全員が揃ったこともなかったんだ。それぐらいの理想・妄想は許してほしいね。」


 「じゃっ、世間様からしたら気色悪い私達の家族愛……叶えましょうか。」 スッ


 「ああ、作戦通りに頼むぞ。」 スッ


 目指すべき理想を確認した僕らは双子座のグローブを付けたヒビだらけの右手を差し出し合う。


 「行くぞ…… 」 パンッ!!

 「行くよ…… 」 パンッ!!


 さらに、お互いの手をたたき合って叫ぶ。全てを二倍に倍増させる神の能力であり、今の僕たちの能力を。そして……




 「ジェミニック・トゥワイスっ!!!! 」

 「ジェミニック・トゥワイスっ!!!! 」




 母から引き継いだ最高の能力の名を。




 「チッ、何をごちゃごちゃと……!! 」ガシャ


 体勢を整え終えた敵が槍による突撃の構えを見せる。

 鎧の午 VS 双子の双子座。とうとう僕たちの最終決戦の始まりだ。


 「来るっ……その前にもう一回だ。 」


 「分かってるっ、 ジェミニック…… 」


 「遅ぇんだよ!!!! 」シュッ!! ビュンッ!!



 ドカァァァン!!!!


 

 斜め上から地面ごと僕らを貫きに来た敵。

 その激突によって舞き上げられる砂ぼこり。

 相変わらずの超スピードに乗せた超威力で、直撃すれば一発でゲームオーバーだっただろうが……


 「ハハッ、これで終わ……えっ? 消えたっ!!? 」



 そこに僕らは既にいない。



 「遅いのは…… 」 グッ

 「遅いのは…… 」 グッ



 『ヤマトっ!! 上だっ!!!! 』



 「お前だっ!! 」 ビュンッ

 「お前だっ!! 」 ビュンッ



 「な、なんだとっ!!? 」



 敵の超速をそれ以上のスピードで上に避けた僕たちは空中で拳を握り、それを下の標的に繰り出す。



 「喰らえっ!! ジェミニック・トゥワイスっ!!!! 」 ブンッ!!

 「喰らえっ!! ジェミニック・トゥワイスっ!!!! 」 ブンッ!!



 ズガァン!!!!

 ズガァン!!!!



 とある“二倍”を敵の体に与えながら。

 



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