友と友の間に one more friends
-1時間前-
「…… 」
「…… 」
「……… 」
「……… 」
「………… 」
「………… 」
(……あっれ、気まずいっ!!? )
(……あっれ、気まずいっ!!? )
なぜか一緒に道の真ん中で倒れていた、私と鴉根くん。
しかも、スマホを見れば平日の真っ最中。学校も行かずに何をしていたのでしょうか? 私も彼も自分の行動のはずなのに、倒れるまでの記憶が曖昧で全く思い出せません。
とりあえず、そこにいたままでは何にもならなかったので、成り行きで鴉根君と共に学校に向かうことにしたのですが……
(話すことがないっ!!?)
(話すことがないっ!!?)
別々で学校に行く理由もなく、彼と一緒に歩くことにも全く抵抗はありません。
異性同士とは言え、仲が良い自覚はあります。小学生のころからなので、長年の縁とも言えます。
でも、不思議と気まずいのです。話題が全く思い浮かばないのです。私たちは普段どんな距離感で、どんなお話をして、どんな付き合いがあったのかが全く分からないのです。
あれ? というかそもそも……
「私たちって、なんで仲良くなったんだっけ……? あっ…… 」
「俺たちって、なんで仲良くなったんだっけ……? あっ…… 」
被りました。
失礼極まりない質問だとは思いながら聞きましたが、失礼はお互いさまでした。
「やっぱり、薄明さんも思うのか? なんというか、本人に言うことじゃないとは思うが……俺たちの距離感、絶対におかしいよな。」
どうやら、違和感もお互い様だったようです。
そうです。今まで一緒にいたのが不思議なくらい、私たちには話題も共通点も何もありません。
こんな言い方は自分でもどうかと思いますが、私が鴉根くんと仲良くする理由もきっかけも見当たらないのです。
「でも、ずっと一緒にいるよね私たち…… 」
「ああ、十年くらいの付き合いなのには違いないが……その割には思い出が薄くないか? 」
“薄い”
鴉根くんの言う通り、私たちの過去を表すならこの表現が一番妥当に思えます。
思い出がないわけではないのです。これまでもこの二人で会話をしたりした場面はいくらでもあります。中学の修学旅行も同じ班でしたし。
ただ、これらの記憶がどうも大雑把なのです。細かく思い出せないのです。
一緒にいたという、写真は思い浮かびます。でも、どんな会話をしたのか、どんな遊びをしたのかの映像や音声が頭の中にないのです。
これを思い出と言って良いのでしょうか? こんなにも薄い絆を私たちは紡いできたのでしょうか? 私たち二人は……二人?
「私たちって二人だったっけ……? 」
私の頭にもう一つの違和感が過ぎりました。
「言われてみれば、俺たちの間にもう一人いたような…… 」
鴉根くんも私同じ様に、もう一人の可能性に気が付きます。
ぼんやりとですが、そんな存在がいたような気がしてきます。
「私たちって、そのもう一人を介して仲良くなったんじゃ…… 」
「ああ、それで俺ら二人の時はそいつに関するの会話を…… 」
もう一人の存在がどんどん具体的になっていきます。
でも、存在だけです。その顔も、性別も、思い出も全く思い浮かびません。ただ私たちにとって、どんな存在であったかだけが明確になっていきます。
「いた。確かに誰かいた。誰かなのは全然わからないけど、絶対にもう一人…… 」
なんで思い出せないのでしょう……、かけがいのない存在だったように思います。生き甲斐ですらあった気もします。
なのに全く思い出せません。その声も姿も何も思い出せません。その名前も全く……、名前? あれ? 名前だけは……
「祇峰フタリ…… ? 」
「祇峰フタリ…… ? 」
もう一人の何もかもを思い出せない中、なぜか名前だけは二人とも覚えていました。
「もしかしてあの時の二人…… 」
「もしかしてあの時の二人…… 」
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