過去明かし beginning past Part1
「二つの世界が融合か…… 」
「だから片側にしかないものが消滅……、そしてフタフタたちも……? 」
シンデレラのガラスの靴なんかとは比べ物になららないオンボロスニーカー。それが割れ消える光景を目の当たりにした彼らを散らかった居間に上げ、今度はこの世界の終着点について僕らは説いた。自分たちを待つ消滅についても同時に……
「人類二倍から一人に戻るまでの記憶が二重になってるのはそのためか…… 」
世界融合の事実に目を丸くする黒羽さんとは対照的に杉佐多は納得を見せる。
もともと違和感を感じていたようだが、記憶が二重ってどんな感覚なんだ?
「そんなに違和感があるものじゃない。単純に視点とかが微妙に違うだけのほぼ同じ記憶が二日分あるってだけだ。」
「私もそんな感じっ。チサトと過ごした昨日からの時間が二倍になってるから、得した気分だけどねっ♡ 」
「別に大差ないだろ。」
ふーん、つまりこの夫婦漫才をまとめると過去がほんのちょっと伸びたってことか。まぁ、人生得した気分って言うほどの差はないんだろうけどな、この杉佐多LOVEっ娘以外。
「それで、どうするの? もう二人は消えるのを待つしかないの……? 」
黒羽さんが心配テンションに戻って僕らの末路を問う。
「ううん、一応回避方法があるみたい。そのためには私たちの過去を探る必要があるみたいなんだけど…… 」
女の僕は先の問いに答えながら、自分たちの後ろに目をやる。
「あー、そのためにこんなぐちゃぐちゃになってるんだぁ。」
黒羽さんが結構無遠慮に部屋の状況を表現するが、反論のしようがない。
そこにあるのは、さっきまで僕が探索していた思い出の山だ。客人に言われた通り、雪崩のせいで散らかりまくってぐちゃぐちゃの。
「もう少しきれいに広げられなかったわけ? 私の家でもあるんだから、この散らかりようは恥ずいんだけど……」
「仕方ないだろ、開けた瞬間に飛び出してきたんだから…… 」
「だとしても、探しながら整頓ぐらい…… 」
ビシビシビシビシビシビシッ…………パリン
ビシビシビシビシビシビシッ…………パリン
ビシビシビシビシビシビシッ…………パリン
ビシビシビシビシビシビシッ…………パリン
女の自分の世間体に対する愚痴を聞いている途中、何度目かの亀裂音が居間中に鳴り響く。
言うまでもなくランドセルやアルバムの消滅が起こったのだ。
「あっ! また消えて……! まだ調べ切ってないよね……!? 」
「そりゃ、お前も二階にいたからこの量を一人ではさすがにな。でも…… 」
手掛かりの消滅に焦る彼女に僕はおおよその探索結果を告げる。さっきまでの数十分間、この消えゆく思い出の品々をいろいろ漁ってみたものの……
「手掛かりになりそうなものは一つもなかったぞ。」




