表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
半居候~男同士のなにか~  作者: SIN


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

99/100

1代目 22

 まったりとした時間。

 ソファーに寝そべる俺の横にはテーブルと、その上には半分程残ったコーヒー。

 軽く目を閉じると聞こえて来る正確な時計の秒針。

 寝るな、と言う方が無理な話だ。それなのに、毎度の事ながらやって来る悪魔の一言。

 「寝るんですか?だったら……」

 笑わせてみろ。

 「笑ったらアカンで」

 ソファーの前に正座して、真正面から俺を見てくる真剣な目を見つめる。

 「はい!」

 勝負だ。

 「昔々ある所に、お爺さんとお婆さんと桃がありました」

 「ふっ……」

 早っ!

 「笑った」

 「今のはセーフですよ!セーフ」

 そのルールの基準はなんだ?今のは完全にアウトだと思うが……まぁ、まだ話し初めだし良いか。

 「……お婆さんは桃をパカンと割りました」

 「はい」

 「すると中から猿と犬とキジと桃が出てきました」

 「桃……」

 グッと唇を噛んで笑いを押し込めようとしている1代目。そこを畳み掛けるように話しを続ける。

 「お爺さん、お婆さん、それでは僕達は鬼退治に行ってきます。と、猿が言いました」

 「ふ……」

 笑っている。だけどまだ弱いか?指摘してしまうと話が止まってしまうから、もう少し続けよう。

 「……しかし桃は歩けませんので……」

 「ぶっ!」

 吹き出した。これは誰が見たって完全にアウトだ!

 「笑った」

 「えぇ~。続き……」

 そんなにこの話の続きが気になるのだろうか?

 「次やな」

 とは言ってみたが、続きなんて考えていない。それでもソファーに横になると物凄く期待に満ち満ちた顔で見られるのだ。

 「……笑ったらアカンで」

 「はい!」

 何も考え付いていないがとりあえず話し出してソファーに座ると、1代目もいつものように正座した。

 「昔々ある所に、お爺さんとお婆さんと桃がありました」

 「初めから?」

 途中から話し出しても世界観って言うのか、想像?出来ないと、面白くも何ともないと思う。だから初めから。

 「……お婆さんは桃をパカンと割りました」

 「はい」

 同じ所で、また笑ってくれると助かるのだが……

 「すると中から猿と犬とキジと桃が出てきました」

 「はい」

  そうはいかないらしく、1回目の時は笑いを堪えていた所で1代目は無表情だ。

 「お爺さん、お婆さん、それでは僕達は鬼退治に行ってきます。と、猿が言いました」

 「は、はい……」

 あ、ここは2回目でも少しは面白いのか。

 「しかし桃は歩けませんので……」

 「ふっ……」

 「桃は猿が背負う事になりました」

 「はい」

 「しばらく行くと、お腹が空いてきました。猿の背中……」

 「桃ぉー!!」

 ビックリした……。

 「叫んじゃいましたか」

 「あ。ふっ、あははははははは」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ