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第3章  七歳にして男女席を…同席?!(5)

 人の流れに乗って出口から出て、入学生が続いて出てくるのを待っていると、姿が見える前から彩乃とその周りにいた子達の声が聞こえてくる。


「宮月さん、彩乃ちゃんって呼んでいい?」


「いいよ」


「あ、わたしは柏木千津。千津って呼んで」


「千津ちゃんでいい? よろしくね」


 彩乃の可愛らしい声が聞こえた。続いて男の子の声もしてくる。どうやら女の子数人とそして男の子数人が固まりになって出てくるところらしい。


「ねぇ、ねぇ、宮月さんも、このあとのサークル紹介、行くでしょ? あ、俺も行くんだ。良かったら一緒に見に行こうよ」


 隣で総司がムッとする。


「男に話しかけられています」


 僕は苦笑した。


「総司。ヤキモチも大概にしないと彩乃に嫌われるよ?」


「えっ」


 慌てたように総司が僕の顔を見る。


「現代ではあのぐらいは普通。屯所でだって、みんな話しかけてたじゃない」


「それはそうですけど…」


 彩乃の姿がようやく見え始めた。


「じゃ、ちょっとばかり牽制に行こうか」


「はい?」


「あ、上手く運ぶから、僕が何を喋っても堂々としてて」


「はぁ」


 総司の情けない返事を聞いた後で、僕はすたすたと彩乃に向かって歩いていく。総司も後をついてきた。


「彩乃」


 声をかければ、出来たばかりの友達と話をしていた彩乃が顔をあげる。とたんに彩乃の周りにいた女の子の声が一オクターブ上がった。


「彩乃ちゃん、誰?」


「凄いかっこいいっ! 彩乃の知り合い?」


 僕は意識して女の子たちににっこりと笑ってみせてから彩乃に話しかける。


「彩乃、どうする? 僕らと一緒に帰る? それとも残る?」


 そう言えば彩乃が迷うそぶりを見せた。ちらりと後ろを見れば、総司は黙って僕の話を聞いている。心配しているだろうに、さすがに顔色に表すようなことはしなかった。


「この後、サークル紹介があちこちであるんですよぉ」


 女の子の一人が言えば、それに乗っかるように男の子も言い出す。


「サークル、やっぱり早めに決めておいたほうがいいよ」


「ね? 一緒に見に行こうよ。彩乃ちゃん」


 僕は肩をすくめた。


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