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第21章  池田屋事変(daylight) (5)

 まずは西側の近藤さんチーム十名。残りは全部土方さんだからね。


「総司、おめぇ、かっちゃんについていけ」


 土方さんが直々に総司に命じた。


「新八、平助、おめぇもだ。それから、安藤、一…」


 そう言ったところで近藤さんが土方さんを制した。


「トシ、そっちのほうが本命なんだから、副長助勤も分けたほうがいい。斉藤くんはトシのところへ」


「はい」


 斉藤が頷いた。


「しかし…」


 言いよどむ土方さんに対して、近藤さんが穏やかに微笑んで見せる。


「本命で逃がしたら、元も子もないだろ?」


「わかった」


 結局、副長助勤で近藤さんのところにつくのは、総司、がむ新くん、平助、早太郎くんの四人だった。それ以外は土方さんと一緒に行く。



 それから副長助勤がそれぞれ人を選んで確定。近藤さんの隊は合計十名の編成となった。


 僕たち? もちろん総司から指名されて池田屋だよ。参ったなぁ。




 援軍を待たずに僕らは出発した。四条通りの橋を渡って、木屋町通りへ。怪しそうな場所を一軒一軒調べる。


「御用改めである!」


 近藤さんの声が響く。僕らはその間、外で待っている。



「おまえら、良くそんなにのんきに構えてられんなぁ」


 平助が僕と彩乃ののほほんとした表情を見て、眉を寄せた。


 いや、だって、ここ池田屋じゃないし。


「あ~、別に…僕らも緊張してるよ? ねぇ?」


 そう言って彩乃を見れば、彩乃も大きく頷いて、両手をぎゅっと握ってみせた。


 いや、かわいいんだけど。その仕草。思わず頭を撫でたくなる。


「おめぇ、ぜってぇ緊張してねぇだろ?」


 彩乃の様子を見て、がむ新くんが呆れたように言った。


「緊張してるよ?」


 と、彩乃は小首をかしげるけど、いや、してない。絶対してないのがバレバレ。


「次行きますよ」


 総司が厳しい声で僕らに声をかけてきた。こういうときの総司って真面目なんだよ。全身がぴりぴりと緊張しているのを感じる。



 池田屋ってもうちょっと先に行ったところだよな~。僕はみんなの後ろを歩きながら、のんきに考えていた。


 三条通りを越えたところにあるから、まだまだ着くには時間がかかる。そこに行くまで緊張してろっていうのは無理な話だ。


 みんなは緊張して。そして僕らはのんびりと。木屋町通りを北上して行った。


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