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第193話 【団欒・1】


 会議が終わった後、部屋に居た集まっていたメンバーは一人また一人と退出していった。

 そんな中、転生者組だけ部屋に残り再び部屋の扉を閉め、転生者だけの会議が行われた。


「レイ君。部屋に入って来た時に気付いたけど、成長しすぎじゃないかい?」


 魔法で外に音が漏れないようにアルフさんがすると、直ぐにそう俺に言って来た。


「殆どがもう一人の俺のおかげですよ。この一ヵ月間、俺がやって来たことは殆ど、器である俺自身の心を成長させてただけですから」


「そうなのかい? それにしても凄いよ。ステータスは見てないけど、倍近く上がってるよね?」


「はい。王都を出た時に比べて、一部は3倍近くに上がってます」


 そう俺が言うと、アルフさんと王妃様は驚き「えぇ!」と声を揃えて発した。

 詳しくステータスを確認したいと言われた俺は、能力値だけをアルフさんに伝えた。

 ジンさんは既に知っていて、驚く二人を笑顔で見ていた。


「レイディア君の成長ぶりにも驚いたけど、それ以上にジンさん。貴方も相当この期間で凄く変わりましたね」


「そうじゃろう。近くにレイ君がおって、儂自身も訓練にいつも以上に集中出来たようじゃ、全盛期とは言えないがそれに近いくらいには力を扱えるようになっておるぞ」


「それは頼もしい限りです。ジンさん、アルフ君、レイ君、そして覇竜様方がこちらの戦力の中でもトップですからね」


 王妃様の言葉にジンさんは「そうじゃろうな」と頷きながら、そう返事を返した。


「見た感じじゃと、レイ君と話して居った子が中々に強そうじゃったな」


「タブ君の事ですね。彼の成長には私も驚きました。レイ君はタブ君と仲が良さそうに見えたけど、知り合いだったのかしら?」


「知り合いっていう程でも無いんですけど、昔ちょっかいを掛けられた相手ですね。その後、直ぐに家から追い出されたって話を聞いてていつか、会って見たいなとは思っていたんです」


「そうだったの、あの子も色々とあったのね……」


 俺の言葉にそう王妃様が答え、タブに関しての話題はそこで終わった。

 その後、転生者だけのこの集まりなので、俺は神様達から聞いて来た内容を踏まえて、王妃様達と話し合いを行った。

 現時点、邪神そのものの動きは殆ど無いが、邪信教が積極的に動いていると神様達は見ている。


「神の完全に言いなりって訳では無く、独断で動いている所もあるのね……となれば、戦いの途中で神が力を使ってくる事は無い可能性もあるって事ね」


「そうですね。それに万が一そこで神が出て来たとすれば、神様達も動くと言ってましたので神同士は互いに様子見をしていると考えていいかもしれません」


 俺が言い終えると、王妃様は「成程ね」と呟き考え込むように目線を若干に下にやった。

 それから約1時間程、転生者だけの会議は続き、秘密事項である情報の共有と今後についての動きを確認してから解散となった。

 会議終了後、俺は直ぐにクレナ達を連れて実家である家に転移魔法で帰宅した。

 一ヵ月ぶりの帰宅なので、若干緊張感を出しつつ家の呼び鈴を鳴らした。


「レイッ!?」


 呼び鈴に反応して家の中から出て来た父さん達、いち早く俺の存在に気付いた父さんは大声で俺の名を呼びガシッと抱き着いた。

 そんな父さんに続くように、兄さんや母さん達が父さんの腕の上から抱き着いてきて、マグラット家は玄関で家族で抱き合った。

 そして再会の喜びで父さん達は涙を流し、心の底から俺の帰宅を喜んでくれた。


「レイ。また大きくなったよな、子供の成長は早いな~」


 再開に喜び、涙を流していた父さん達は移動したリビングの先で涙を拭いていると、不意に父さんがそう言って来た。

 やっぱり、親は気付くんだな本人でさえ気づかなかったのに良く気づくな。


「うん、良く気づいたね? この一ヵ月で少し伸びたんだよ。一緒に修行してたジンさんや、話し合いで顔を合わせた王妃様達も気づかなかったのに、良く気づいたね」


「当然だろ、レイの父親だからな!」


 俺の言葉に父さんはニカッと笑みを浮かべ、そう返すと母さんも「私も気づいてたわよ」と言って俺の頭を撫でてくれた。

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