第131話 【新たなる神】
次の日、学園が終わっていつもはディー達と途中まで帰っていたのだが、今日はちょっと王妃様から〝開かずの部屋の鍵〟を貰ったので今日は直ぐに帰って確認したいと朝から考えていた。
「めっちゃ楽しくなってきたな、何があるんだろうなあの部屋」
「おっ、レイどうしたんだそんなに嬉しそうな顔して」
俺がニヤけながら早歩きで帰っているといつもお世話になっている八百屋のおじさんが話しかけて来た。おじさんはいつもの店のエプロンを着て店の前に立って居た。
「いや、今日ちょっと自分の家の探索するからさ楽しみなんだよ」
「お~、そう言えばレイは貴族に成ったから家を貰えたんだな…あっ、レイってさっきから呼び捨てしてたけど良かったか?」
「いいよいいよ。別に俺そう言うの気にしないし、今まで気楽に話してた相手からいきなり敬語とか様付けで呼ばれたら変な気持ちになるし」
「そうか、ならこれからもこんな感じで行くよ。んじゃ、また今度野菜買いに来てくれよな」
おじさんからそう言われた俺は「今度、パーティーやるからその時の為に今度大量に買いに来るよ」と言っておじさんと別れた。おじさんと別れた後も俺の顔の異変に気が付いた街の人達から「何か良い事でもあったのか?」と聞かれたので同じような返答をして家に帰った。
「よ~し、開かずの部屋さん待ってろよ」
俺は意気込んで門の鍵を開け庭の中に入り玄関の鍵を開けて家の中に入って行った。家の中に入った俺は地下室の入口の扉も鍵で開け階段を下りて行きドンドン廊下を進んで行った。
「―——―~」
「うぉッ!びっくりした~、この前も音がするなと思ったがもしかしてこの中から音がしてたのか?でも、この家って俺の前の持ち主から数年経ってるって王妃様が言ってたような…」
俺は中から変な音が聞こえ少し驚きながらも折れた鍵に魔力を流し込んだ。すると、王妃様の説明通り鍵が復元していきちゃんとした鍵へと変わった。俺はそれを〝開かずの部屋〟の鍵穴に刺しクルッと回すと「カチッ」と音が鳴り鍵が開いた。
「…ふ~、何が出ても俺には保険が付いてるから死ぬことは無い…よしっ、行くぞ!」
俺は自分の中にあった恐怖心をそう言って抑え込み扉の取っ手を手に取りバッと開け、中に入った。部屋の中にはテーブルと椅子があり本棚の中に何冊か本が入っていた。
「…もしかして、あれか音を出していたのは」
部屋の奥には埃を被った銅像が置いてありそこから少し魔力が流れているのが感知した。俺は、何が起こってもいい様に気を引き締めながら一歩ずつ安全に前に向かった。
「―――ッ!!」
「うわッ!」
いきなり埃まみれの銅像が輝きだし俺の視界を奪い去った。そして、数秒後光が収まり俺の目に視力が戻るとそこは先程までの薄暗い地下部屋とは一変し所々に植物が置いてある綺麗な部屋に居た。
「ここは、何処だ?」
「…ここは、神の部屋ようこそ転生者君」
「ッ!だ、誰だ?」
「まあまあ、そんな驚かないでくれよ。君は何人も神様と会って来ただろう僕もその神と同じ神だよ」
いきなり俺の後ろから声がし振り返るとそこには、中世的な顔立ちに小柄な体系(声質的に女性だった気がするが胸は絶壁)をした人が立って居た。俺は行き成りの事で驚きバックステップで距離を取った。
「こら、神の胸を絶壁とか言うんじゃないよ。全く、そりゃ君が信仰してるイアラとは天と地ほど離れた形だけどこれでも少しはあるんだからな」
「す、すみません遂…って、貴女は神様なんですか?」
「そうさ、僕は【武神】だよ。まあ、説明は要らないよね?名前通り武術の神様って分かるし」
「は、はい。あの、ですが名前とか教えて貰えますでしょうか?」
「おっと、すまんすまん久しぶりの人との会話だから忘れていたよ。僕の名前は【シブセル】だよ。よろしくねイアラの使徒のレイディア君」
シブセルと名乗った武神様は少し微笑みながらそう挨拶をした。俺は少し戸惑いながらも「は、はいよろしくお願いします」と何をよろしくするのか分からないがそう答えた。




