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銀ノ閃光  作者: 若葉 美咲
エピローグ
63/63

8-3 始発

 エリックが銀遊士協会の窓口センターから出てくると皆が待っていた。

 ミリィとカルロス、グレイシャ。そして、真っ黒なコートを羽織ったままのアークがこちらを見ている。

「エリック、お疲れ様!」

 ミリィが花が咲いたような笑顔で駆け寄ってきた。

「ヒオ、連れて歩いて良いって?」

 ミリィの質問に頷く。

 ヒオも肩の上で跳ねまわっている。

「よろしくって言ってるみたい」

 楽し気に笑うミリィの笑顔に癒される。

「何、見惚れちゃってるのさ?」

 いつの間にか背後に近づいてきていたカルロスが耳元で囁いた。

 鳥肌がたった。

「見惚れて!? いや、そんな別に!」

「いいの~? そんなこと言って」

 カルロスが怪しげな笑みを浮かべる。

「病院で泣いてたくせに」

「~~~っ! 何で知ってっ!?」

 言葉が詰まる。

 カルロスの笑みが深くなった。あ、しまった、と思ってももう遅い。

「へ~、やっぱ泣いちゃったんですね~。分かります~って、痛い痛い!」

 カルロスが耳を抑えのたうち回った。

 彼の耳をあらんかぎりの力で引っ張っている笑顔のグレイシャだ。

「後輩たちにちょっかい出さないでくれるかしら?」

 笑顔が怖い。

「準備できたか?」

 次の任務があるのだろう、アークが呆れた顔で尋ねてくる。

「あ、はい! できました!」

 エリックはそう言って、ヒオの頭を軽く撫でた。

「じゃあ、早くいらっしゃいよ」

 グレイシャが寂しそうに笑いながら、手招きをした。

「エリック! 早く早く!」

 ミリィが手を差し伸べてくれる。

 エリックはその手を掴み返した。

 それから、エリックはカルロスを振り返った。

 カルロスは緑色の桜並木の下で手を振っている。

「ほんと、アークさんの手を焼かせないでよね~。俺はここまでだから」

 カルロスはどうやら、別の任務に就くらしい。そこでも、自分の身分を隠すらしく、銀の呼子笛はどこぞへと隠されている。

 わざわざ見送りに来てくれたのだろう、と思うとエリックはちょっと嬉しかった。

「それじゃあね、《死神》に《閃光》」

 カルロスが手を振った。

「うん、またどこかでね、《旋風》」

 エリックはカルロスに手を振り返した。


 歩き始めたエリックの胸には銀の呼子笛が揺れていた。



 初めまして、もしくはお久しぶりです、若葉美咲と申します。

 この物語を完結に持っていけたこと、本当に安堵しております。

 続編を作るつもりで動いておりますが、仕事が忙しくて、更新はもっと後になるかな、と思ったり。

 後半は毎日更新が出来てよかったな、と思っているので、その熱が冷めないうちに次を出せたら、と思っております。

 いかがだったでしょうか、エリックの冒険譚(?)は。

 楽しんでいただければ幸いです。


 最後になりましたが、ここまで読んで下さった皆さまに精一杯の感謝と幸せを。


              若葉 美咲

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