表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【マルチエンド】追放勇者は孤独の道を征く  作者: 空夜キイチ
第一部:黎元の英雄 廻
505/573

憧れの《龍殺し》

 

 マモンの助けを借りて街まで戻ると、既に日暮れの時間帯だった。

 そのままエルリレオの元まで向かうと、当然ユルグの姿を見た皆は驚き何があったのだと質問攻めにされる。


「怪我は酷いが……まあ、死ぬようなものではない。しばらくは絶対安静だがね」


 バンッ――と包帯の上から叩かれて、ユルグは痛みに苦悶の声を漏らす。それでも事情を聞いたエルリレオはこの状況を喜んでくれた。

 なんせ身体を蝕んでいた瘴気が消えたのだ。怪我ならば生きてさえいればいずれ癒えるもの。それを分かっているからこそ、弟子の無事を我がことのように嬉しく思ってくれている。


「ほ、ほんとうに大丈夫なの?」

「うん。心配かけて悪かった」


 帰ってきたと思ったらボロボロの状態。それで心配するなというのは無理な話である。

 今にも泣き出しそうなミアに優しく言葉をかけると、それを見ていたアルベリクが叫ぶ。


「ねえちゃんのこと、泣かせるなよ!」


 不満げに頬を膨らませて吠える少年に、ユルグはどうしたんだと目を円くする。


「別に悲しませたくてこんなことしてるわけじゃ」

「言い訳なんてかっこわるい!!」


 なぜかアルベリクは怒り出してそっぽを向いてしまう。

 なんなんだ、と困り果てているユルグに彼の母親であるティルロットとエルリレオは二人揃って微笑ましげに笑っているではないか。


 そうこうしている間にアルベリクはマモンを連れて、外に飛び出していってしまった。


「ごめんなさいねえ。あの子、あなたのこととっても尊敬しているのよ。街の人達に毎日龍殺し(ドラゴンスレイヤー)のこと、自慢しているんですもの」


 笑って話す彼女の話を聞いて、ユルグはとても恥ずかしくなった。

 最近街で聞く龍殺し(ドラゴンスレイヤー)の噂はユルグも、もちろんミアも耳に入っていた。噂に尾ひれがついているなあとは思ってはいたが、訂正するのも面倒だし目立ちたくはないので、知らぬ存ぜぬで通していたのだ。


「だから許してやってくださいな」

「子供に慕われるほどユルグも大人になったということだ。良いことではないか」


 わはは、と笑いが巻き起こる。


 ふと隣を見遣ると、先ほどまで泣きそうな顔をしていたミアも釣られて笑っているではないか。

 その笑顔を見て、ユルグはやれやれと苦笑を零すのだった。




今回は少し短いです(o_ _)o

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ