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少し残念なお嬢様の異世界英雄譚  作者: 雛山
終章 勇者進行編
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第七十一話 虎狩りだー!

今日は更新できた

 

 割と洒落になってないほど火の手が上がってますわね。

 これは紅蓮孔雀結構いますわね、街滅ぶのではなくって?


「――マナカー、これはやばいよー」

「ええ、さっさとバカを探しますわよ」

「――おー!」


 ワタクシとナルリアちゃんは移動しながら、街の人々にザルバ達の事を聞いて回りますわ。



 ――

 ――――


「情報が少ないですわね、これはやはり逃走ルートは確保済みでしょうかしら?」

「――んー、クジャクが近づいて来た!」

「あー、もう! こんな時に」


 紅蓮孔雀が前方から向かってきましたわね。


「ナルリアちゃん! 先ほどの要領で瞬殺しますわよ! まあ、本当に殺すわけではありませんが……」

「――了解!」


 先程の要領でワタクシの後ろに、ピッタリとくっついてナルリアちゃんと走っていきます。

 二人でやるジェットストリームアタッ〇ですわね。

 ワタクシをロックオンした紅蓮孔雀が炎を吐こうとしております、ですがワタクシが左にステップし、後ろのナルリアちゃんが右にステップすると紅蓮孔雀はどちらを狙うかを一瞬迷います。


「――こっちだぞ!」


 ナルリアちゃんが声を上げ矢を紅蓮孔雀の顔に放ちます、走りながらでもキッチリ狙い通りに撃つ、大したものですわね。

 ですが紅蓮孔雀も矢を羽で払い落します、想像以上に反射神経がよろしいようですわね。

 しかし先ほどの矢が決め手になり、紅蓮孔雀はワタクシでなくナルリアちゃんを標的としております。

 ワタクシがネルリアちゃんに頷くと、ナルリアちゃんも頷き返します。

 ……やってみたけど本当にわかっているのかしら?


「まあ、やるしかありませんわね」


 ナルリアちゃんがもう一発矢を放ち、近くにあった建物の壁を蹴って今度は上空から矢を放ちます。


「あの子、どんだけ器用なんですの?」


 ワタクシ、少し呆れつつも紅蓮孔雀の背後に回りました。


「ワタクシも真似しますわよー!」


 ワタクシも調子こいて、壁を蹴って紅蓮孔雀の上を取ります。

 そして、詠唱開始! ふふふ、久しぶりにこの魔法を使いますわー


「――我は汝に命ずる。大地より産まれし輝ける石よ、輝き連なり鎖となりて我が敵を打ち駆逐せよ! ディアマント・ケッテ!!」


 ワタクシは紅蓮孔雀の首にダイヤの鎖を巻き付けます。そして引き寄せる力を使い高速で紅蓮孔雀の方に突っ込みますわよー!

 紅蓮孔雀は振りほどこうと暴れますが遅いですわね。……振り回されて壁にぶつかりそうになってヒヤっとしたのは内緒ですわよ!


「貰いましたわよ!」


 ワタクシは突進の勢いのまま紅蓮孔雀の延髄に肘打ちを叩きこみます、すると声にならない呻きをあげ紅蓮孔雀が崩れ落ちましたわ。

 ナルリアちゃんがこっちに走ってきますわね。


「――流石マナカすごーい!」

「ふふふ、もっと褒めてよろしいのよ」


 二人でハイタッチしながらアホな事をしていると、ナルリアちゃんが言いました。


「――そうそう、マナカさっき卵みたいなの抱えた二人組が、走っていくのが見えたよ」

「なんですってー! どちらですの?」

「――あっち」


 ナルリアちゃんが指さしたのは北の方角、ワタクシ達が最初に依頼で向かった下水の方角ですわね。


「ナイスですわ! 急いで向かいましょう」

「――了解!」


 ワタクシ達はまたまた走り出します。

 しかし、流石に走り疲れますわねぇ……ナルリアちゃんは平気そうですけど。


 ――

 ――――


 途中でもう一匹、紅蓮孔雀を仕留めて北の門付近に着きましたわ。

 こっちの方に来てるはずなのですが?


「ナルリアちゃん、こっちのほうでいいんですのよね?」

「――多分」


 人の気配はしませんわね……外に出られたらアウトですわよ。

 しかし運が良いことに、北の門の付近にも避難誘導している兵士がおりますわね。

 兵士に話を聞いてみましょう。


「そこの方、少しよろしくて?」


 ワタクシは兵士に冒険者証を見せますわ。


「五等級の冒険者? 何の用だい?」


 中年の兵士が対応してくれます。


「ワタクシ、ただいまギルドでアーシア嬢からの特別依頼を受けておりましてね。灰色の虎(グレイタイガー)のメンバーを探しておりますの」

「灰色の虎?」

「ええ、この騒動の大本という訳でしてね。こちらの方に来たという証言があったので、此方に来たのですわ」


 中年兵士は納得したようですわね、灰色の虎ならあり得るといった表情ですわね。


「いつかやると思っちゃいたが、とんでもないことしやがったなあいつ等……紅蓮孔雀の卵かよ」


 そう呟きながら他の兵士の場所に行きます、中年兵士は他の兵士にも話を聞いておりますわ。

 少しして戻ってまいりましたわ。


「誰も見てないようだな、この辺りはここを通らないと外には出れないからな」

「と、すると。街中に潜伏してる可能性がありますわね……」

「危険な行為だが、混乱に乗じて逃げるのはあり得るな」

「卵を取り返さないと被害はどんどん拡大しますわねぇ……」


 ワタクシが中年兵士と話しております間に、ナルリアちゃんは聞き耳を立てておりますわね。この子耳が異常に良いんですのよねぇ。

 ナルリアちゃんの耳が可愛らしくピクピク動いております。


「――ん? 寅の方角から物音がする」

「寅? 方角ですの?」

「――うん、キノコ中尉が教えてくれた」

「この付近の住人は全てここに集まっているぞ」


 寅の方角を指さすナルリアちゃんを見て中年兵士が言います。


「なるほど、灰色の虎だけに寅の方角ですのね。おそらくそこにいますわね」


 ワタクシは指さす方の建物を睨みます。

 少しボロくなった建物ですわね。


「あそこはもう使ってないが倉庫だな……まさか!」


 中年兵士が声をあげます、ワタクシとナルリアちゃんはビックリして中年兵士を見ますわ。


「何がまさかですの?」

「あそこの倉庫には隠し階段があるんだった! 下水の方に繋がっているはずだ!」

「……な、なんとー!」

「――なんとー!」


 てことは、あの音は階段を探す音やもしれませんわね。


「ナルリアちゃんあの倉庫に急ぎますわよ!」

「――了解!」

「兵士の方々は下水へ先回りして出口の封鎖をお願いしますわ!」

「わかった!」


 ワタクシ達は倉庫に走ります。

 中年兵士は兵士を三名つれて下水へと向かいます。


 ――

 ――――


 ワタクシとナルリアちゃんが倉庫の扉を蹴り開けて入ると……

 丁度階段を降りようとした五人組がおりましたわ。


次回は11/1の予定です

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