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少し残念なお嬢様の異世界英雄譚  作者: 雛山
第四章 魔王領再建準備編
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第六十三話 次はガラス屋だ

63話となります今回もマウナ視点ですよ

 鍛冶屋の親父さんの説得が終了し、準備も終えたところで隣にある西の村を目指します。

 私達は馬車に乗り込み街を出発します。


 ――

 ――――


 村は馬車で約四時間ほどかかる所です、西の村へ行く途中はよく盗賊が出るそうです。

 というか既に囲まれていますけどね。


「よーし、金目の物と女は頂いてジジイはぶち殺そう」


 下品な声です、不愉快な声です。マナカさんがいたらとっくに殴り飛ばしていたでしょう。

 盗賊の数は約一〇人ほどです。

 仕方が無いのでさっさと片付けてしまいましょう。そう思った時に馬車からシェンナが降り立ちました。


「マウナ様ー、この程度のザコならシェンナにお任せください。マウナ様の手を煩わすこともありませんよー」


 降り立ったシェンナを見ると盗賊たちがざわつきます。


「おいおい、こいつは上玉の魔族じゃねぇか」

「ヒュー、こいつはお楽しみの後に奴隷として売ればいい金になるんじゃねぇか?」


 盗賊は何故下品な会話しかできないのでしょうか? 謎です。

 シェンナが盗賊たちの前に行きますと、スカートの両端をつまみ上げるとトストスと音がします。

 盗賊たちは何事かとシェンナの方を見ています。

 シェンナのスカートから包丁が落ち地面に刺さっていきます、その数計一二本

 シェンナの目が少しツリ上がるとニターと笑います。


「さあて、キサマ等シェンナ達にちょっかい出すって事は、食材になりたいらしいな」


 少し低い声でシェンナが言いました。

 豹変したシェンナにたじろく盗賊たち、シェンナは正直怒らせると怖いです。


「……そうだな、貴様等は活け造りにしてやるよ。カット方法だけ選ばせてやるよ」


 ニヘラと笑い包丁を一本拾い上げると包丁に舌を這わせます。

 これが怖いんですよ……普段のシェンナから想像が出来ない姿ですから。


「な、なんだ。この嬢ちゃん……」

「ほら選べよ? 千切りか? 角切りか? かつらむきでもいいぞ? はやく決めないと適当にみじん切りにするぞ?」


 そう言うとシェンナは盗賊の一人に歩み寄ると一閃。

 ボトという音共に盗賊の一人の手首から先が無くなっています。


「シェンナ嬢ちゃんの包丁捌きはエグイのぉ」

「バウスさん、あれでシェンナは手加減してるんですよ。そもそも全員殺すならとっくに全員、活け造りになってますよ」

「おぉ、くわばらくわばらじゃな」


 数秒してから手首が無くなったことに気付く盗賊。


「ぎゃーーーー!」

「ぎゃー、じゃねぇよ。次は何だ?角切りか?」


 盗賊の悲鳴が木霊します。


「シェンナ、その包丁で料理はしないでくださいね」

「大丈夫ですよマウナ様、この包丁はシェンナの狩用の包丁ですからー。料理用は別にありますよ」


 シェンナはたまに自分で食材も取りに行きますから、その時に使ってる包丁が十二本です。

 そしてシェンナの異常さに盗賊たちは完全に戸惑っています。


「お、親分……こいつ普通じゃないですぜ」

「あ、あぁ。正気じゃねぇ」

「に、逃げましょうよ」


 どうやら盗賊は逃げるようですね、シェンナの狙い通りですね無駄な争いは避けるべきです。


「あ? 逃がすわけねーだろうが」


 ……あれ? 逃げてくれた方がいいと思うんですが?

 どちらにしても逃げてもらっては困ります。盗賊は捕まえて労働力にしたいところです。


「マウナ様、シェンナのヤツ困った事に狩猟者モードになっていますね」

「なんですかそれ?」

「シェンナがターゲット認識したら発動するモードですね」

「マ、マウナさん、と、止めた方がいいのでは?」

「そ、そうですね」


 コリーの説明だとシェンナはあの盗賊を殲滅するようですね。アルティアさんの言う通りに止めましょう。


「シェンナ! 無益な殺生はダメです!」


 私は叫んで走りだそうとしたシェンナを止めます。

 シェンナは少し不服そうな顔をしますが止まってくれました。

 盗賊たちも私の制止の声に安堵し、足を止めてしまいました。


「どうしてですかー?」

「マナカさんが言ってました、盗賊は労働力だと。殺さずに捕まえてください」

「はーい」


 そして安堵したのも束の間でしょう、私とシェンナの声に再び盗賊たちが逃げようとします。

 再びシェンナは走り出し、あっという間に盗賊たちを気絶させていきます。


「こんなとこですかー?」

「ええ、盗賊たちには奴隷印の魔法をかけて魔王領に行ってもらいましょう、逃げたら足の裏が死ぬほど痒くなる呪いが発動するようにしましょう」


 私は盗賊たちが気絶している間に呪いをかけておきます、そして盗賊たちを起こしこの事を説明します、すると盗賊たちは全員泣きそうになっていましたが問題はないでしょう。


「と、とりあえず、盗賊の傷の治療はしておきましたよ」

「ありがとうございます」


 アルティアさんが盗賊の治療をしてくれたので、盗賊たちは自力で魔王領に行くことができるでしょう。


「済みましたかな?」

「ええ、お待たせしました」


 私達は盗賊を魔王領に向かわせて、街への移動を再開します。


 ――

 ――――


 その後は大した問題もなく目的地へとやってきました。

 ここでの仕事は簡単です。

 この話をガラス屋の親父さんに話すだけです、以前来た時に息子さんの工房の話をされておりますので簡単に話は進むと思っています。


「マウナ様、ここが目的地の村ですな」

「ええ、皆さんご苦労様です。ここでの交渉はすぐに終わると思いますが、本日はここで宿を取りましょう。」


 私がそう言いますと全員が頷いてくれました。

 そして私達はガラス屋に向かいます、すでに夕方なので挨拶だけして明日また伺うことにしました。親父さんも了解してくれたので詳しい話は明日、親父さんの息子さんを交えて話をすることになりました。


 私達はガラス屋を出ると村に一軒しかない宿に向かいます、するとガリアスさんがそこにおりました。


「おや? マウナの嬢ちゃんじゃないか」

「こんばんは、ガリアスさんはまだここに身を隠してるんですか?」

「いや、今は別件でここに来てるんだ。まあ、センネル関連ではあるけどな」

「そうでしたか、何か新しいことが分かりましたか?」


 私はバウス達に部屋を取っておいてくれるよう頼んでおき、ガリアスさんに話を振ります。

 するとガリアスさんが声を潜め話します。


「そうだな、マウナ嬢ちゃん達なら話しておいてもいいだろう、どうやらセンネルの野郎はどこかの国と繋がってるみたいなんだ。ただ、王国に喧嘩売るような国はそうそうないから逆にどこと繋がってるかがわからん」

「ヨネダ中尉の予想が真実味を帯びてきましたね」

「ああ、近いうちにアクションを起こすだろうな、どうやらギルドの根回しはほぼ終わったようだしな、有力な冒険者を王都近くの本部に集めてるようだしな」

「私達も召集されますかね?」


 巻き込まれては面倒ですね。


「いや、異例の早さでの昇級はしてるが五等級だし。息子の件があるからお嬢ちゃん達は問題ないだろうな」


 それは良かったです、しかしコルリスの街には私にも良くしてくださった方々もいますので何かあれば助けたいと思います。


「もし、何か手伝えることがあれば言ってください、手伝える範囲でならお手伝いしますよ」

「ああ、助かるよ。ではまた何かあったら連絡しよう、それじゃあな」

「はい、おやすみなさい」


 挨拶をかわしガリアスさんは宿の奥へと消えていきました、そして少しするとアルティアさん達が部屋を取ったと呼びに来てくれました。


「ま、マウナさん。ガ、ガリアスさんは何か言ってましたか?」


 アルティアさんが気になっていたようで先ほどの事を聞いてきました。


「いえ、今のところはこれと言ってないようです。ただ、すでにギルドへの根回しは終わったようなので、近いうちに何かアクションを起こすかもしれない。とガリアスさんは読んでましたね」

「そ、そうですか。街に何も無ければいいのですが……」

「状況を見守るしかありませんね、最悪の場合は私が国王に謁見し援護を申しでるつもりです」

「そ、そんなに簡単にいきますかね?」

「わかりませんね」


 アルティアさんの孤児院はまだコルリスにあります、何かあれば心配なのは仕方ない事ですね。


「とりあえず、今日はもう休みましょう」

「そ、そうですね」


 私達はこの後食事を取り休むことにしました。

 明日はガラス屋の親父さんと話をして街に戻り一度ギルドに行ってみる事にしましょう。



次回は9/21の更新予定です

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