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少し残念なお嬢様の異世界英雄譚  作者: 雛山
第三章 昇格試験と国の特産物
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第四十三話 醤油道はじめました!

醤油道とは発行することとみつけたり!


そんな国の財源になる品の開発する話数です

 

 さあこうしてはいられませんわよ、麹作りをせねばなりませんわ。


「マウナさん! セルカドやモルテさんを食堂でいいので集めてくださいまし! 緊急会議ですわ!!」

「わ、わかりました。あと、うちにも会議室はありますからそっちで集まりましょう」


 ふと、疑問に思うのですがこの世界の通信手段でどのようなものがあるのでしょう?

 マウナさんは小型の使い魔らし物を出して伝言を伝えておりますわね、いずれその辺りも改善したいですわね、やはりベルは偉大であったようですわね。


「さあ、皆さん食堂に向かいますわよ。ベティさん米田中尉を運んでくださいな」

「いいけど、プチっと抜いて大丈夫なのかしら?」

「問題ありません、自分の事だからわかります大丈夫であります」

「じゃあ、遠慮なく行くわよ」


 ベティさんは米田中尉を手に取るとワタクシ達と会議室へと向かいます。

 ワタクシも少しの間此処にいましたがまだ知らない場所が色々とあるようですわね、会議室ってどこですの?

 マウナさんに着いていくと食堂と同じような扉の部屋がありました、ワタクシ達はマウナさんの後に続いて部屋に入ります。するとそこは二十人程度が同時に入る事ができる広さの部屋ですわ、内装は相変わらず質素ですわね。


 ――

 ――――


 少しするとセルカドにモルテさん、モルテさんが指示をだしたメイドの二名が来ました、確かオッパイがシェンナでヅカ系がコリーでしたわね。


「揃ったようですわね、ワタクシがこの場を仕切らせていただきますわ」


 ワタクシはそう言いつつ中央にある椅子へと向かいます。

 メイドさん達がお茶を持ってきました、さり気なくサティさんが壁際におりますわね。

 お茶も行き渡ったようなので醗酵会議を開始しますわ。


「さて先ほどマウナさんが召喚の書を使い、新たな協力者を得る事が出来ましたわ、そこのキノコこと米田義臣中尉ですわ、皆さまも米田中尉とお呼びになるとよろしいかと、では米田中尉から挨拶をお願いできます?」


 ワタクシが米田中尉に挨拶を促すと、咳払いをして米田中尉が。


「ハ! ただいまマナカ殿からご紹介預かった、米田義臣であります、元々は大日本帝国海軍軍令部所属、階級は中尉であります、新参者ですが誠心誠意お国の復興のために尽力したいと思います」

「中尉、挨拶が少し硬いですわよ」

「申し訳ありません!」


 軍ではないのでそこまでビシっとしなくてもよろしいのですが……本人があのような感じなので放っておきましょう。


「ヨネダ中尉ですか、ダイニッポンテイコクという事はクナギ殿と同郷ですな」

「そうであります」


 モルテさんは骨ですが鋭いですわね、日本と大日本帝国を瞬時に同じ国と理解するのですもの。

 さて、本題に入るとしましょう。


「では、本題に入りますわ。ワタクシはこの国の再建計画として大豆製品の製造に着手したいと思っておりました」


 ワタクシはおさらいとして前日にあった事を皆様に話します、米田中尉に対しての説明の意味もありますわね。


「そこでひょっとしたら米田中尉のギフトで時間の短縮が出来ないか考えておりますわ」

「なるほどであります、自分のギフトである『菌類の君主』で麹菌を作りそのまま味噌と醤油の醗酵まで時間を短縮するという事ですね」


 米田中尉流石ですわね、ワタクシの意図を組んでおりますわね。

 ワタクシが米田中尉スゴーイと思っていたところ、マウナさんがおずおずと手を上げておりますわね。


「マウナさん何か疑問でもありますの?」

「はい、お二人で納得されてる所申し訳ないですが、ミソ、ショーユを作るのには普通はどれほどの期間が必要なんでしょう?」

「そう言えば、そうよねぇ。 お姉さんたちその辺の事は聞いてないわねぇ」


 確かに詳しい事を説明してはいませんでしたわね。


「そうですわねぇ、味噌も醤油も良い物を作るならば一年近くかかりますわね」

「け、結構、かかりますね」

「――そこまで待てないよ」

「ええ、流石に待ってはいられませんわ、ですので米田中尉のギフトで醗酵を早めるという荒業を試そうと思います」


 醤油なら瓶で保管すれば約一年は持ちますわね、これなら腐ることなく輸出も可能ですわ。

 インフラ整備と生産ラインの確保は優先事項ですわね。


「モルテさんにはインフラ整備……馬車などが通る道の整備ですね、そのための人材を確保お願いいたしますわ」

「モルテ、私の名前を使ってもかまいませんので、マナカさんの言う通りにお願いします」

「分かりました。前日にクナギ様が言っていたので、この国から出て行ったものでアテがある者にはマウナ様の名を使った手紙を送ってあります」

「ファーレ魔王領出身ではない種の集落でもアテがあるならお願いします」

「了解しました」


 仕事が早くて助かりますわ。

 この後もワタクシは皆に指示を出したりしましたが時間がかかったので割合させていただきますわね、主な内容は以下ですわ


 人材確保の指示、インフラ整備のための材料の確保、味噌や醤油を入れる容器の確保この辺りがまず最初に行うべきことと判断しますわ、各指示を出して取り合えず解散ですわね。


 さて、ワタクシ達は今から米田中尉と醤油や味噌がギフトで作れるか試しますわよ。


「ベティさん達はどうされます? ワタクシは米田中尉と味噌と醤油を作れるか試しますが」

「そうねぇ、マナカちゃん達についていこうかしら」

「――当然ついていく」

「わ、わたしも行きます」


 醤油が気になるようですわね。

 ワタクシが皆さんにこれからの事を聞いていると、メイド二名とセルカドもこちらに来ましたわね


「マナカ様ー、シェンナ達もお供していいですか?」


 お? 豆腐担当のメイド二名もついてくるようですわね、大いに結構ですわね


「ええ、よろしくってよ」

「ではお供させていただきます」

「よろしくお願いします」

「ではマナカ殿、俺も付いていってよろしいか? 青豆がどう変化するのか見てみたい」

「よろしくってよ」


 結構いろいろな方が気になるようですわね。

 マウナさんにもどうするか聞いておきましょう。


「マウナさんはどうされます?」

「私は別行動したいと思います、マナカさんの言っていた人材集めについてモルテと詰めようと思いまして」

「分かりましたわ、ではワタクシ達は醗酵テストをしてまいりますわ」

「ええ、吉報をお待ちしていますね」



 ――

 ――――


 ワタクシ達は倉庫の一つを借り準備してから実験を開始しますわ。


「まずは、麦麹を作りますわよ。 コリーさん言われた者は用意できまして?」


 コリーさんはタルを持ってやってきましたわ、流石は魔族ですわね力持ちですわ


「これですね、トウフ用に用意しておいた青豆です」

「炒った小麦ももってきましたー」

「待っておりましたわ」


 シェンナさんもこちらにやって参りましたわ、あとは綺麗な水と塩を用意して準備完了ですわ。

 では作っていきましょう。


「では作業を開始しましょう、コリーさんは持って来た大豆を弱火で煮込んでくださいな、二時間ほどが目安で豆をつまんですぐに崩れるくらいまで煮込みますわよ、そしてその間に小麦を準備しますわよ」


「調味料を作るところなんて初めて見るわねぇ」

「は、はい薬の調合とは違いますね」

「ええ、自分も醤油作りは初めて見ます」


 まあ、普通はあまり見る機会は無いでしょうね、ワタクシは趣味でやっておりましたしクナギグループでも大豆製品は扱っておりましたから割となじみ深いのですわ。


「さあ、大豆を煮てる間も準備を進めましょう、次は炒った小麦を砕きますわよ、ミキサーは無いのですり鉢で軽く擦りますわ」


 ワタクシの言ったことをシェンナさんが実践していきますわ、台所を預かるメイドのうちの一人なので手際はとても良いですわね。

 ワタクシとメイド二名で準備を進めていきます、なんだかんだで時間大分立っておりました

 目の前に炒った小麦に茹でた大豆があります、当然熱いままではダメなので冷ましてありますわよ。


「さあ、準備が出来ましたわ、米田中尉の出番ですわよ」


 ワタクシがそう言うとベティさんが米田中尉を大豆と小麦の前に置きます。


「では、いきますよ」


 そういうと米田中尉の身体が少し光ります。


「ギフト発動、『菌類の君主』」


 米田中尉の身体の光が少し強くなったと思ったらすぐに光が収まります、すると大豆が白っぽい粉上の者に包まれていきますわ。


「おお、麹菌ですわね」

「成功するもんですな」


 ここから三日ほど寝かせるのですが、ここでまた菌類の君主の出番ですわ。


「米田中尉この麹菌の成長を早めて醤油麹にできますかしら?」

「やってみます」


 米田中尉の身体がまた光るとみるみる麹菌が醗酵を始めましたわ。


「す、すごいですね」

「――むぅ、少し臭う」

「素晴らしいですわ」


 ワタクシの計算通りですわね。

 メイド二名やベティさん達にセルカドも食い入るように見ておりますわね、ナルリアちゃんだけ少し離れておりますわ、独特の臭いはニガテな人にはきついかもしれませんわね。


 この調子で一気にもろみまで持っていきますわよ。


「米田中尉、諸味(もろみ)まで一気に行きますわよ」

「了解であります!」


 半年分の成長を一気にするべくしてギフト全開で作成していきますわ、イースト菌等で醗酵させていくのでここも米田中尉の能力の範囲内でしたわ。

 流石に半年分となるとギフトでも少し時間がかかりましたわね……ですが半年から一年かかる作業が数時間で終わるとは恐ろしい能力ですわね。


 ――

 ――――


「なんと半日で完成してしまいましたわ……」

「――あ、匂いが良くなった」

「成功ですなマナカ殿」

「ええ、立派に醤油の臭いですわ」


 あとはこの諸味を布で絞って瓶に移せば完成ですわ。

 セルカド達に用意しておいてもらった綺麗な布を使い瓶に絞っていきますわ


「か、完成ですわ!!」

「へぇ、いい匂いね」

「ほぉ、このようになるのですか……錬金術のようです」


 ベティさんが薫りを褒めて、セルカドも驚いております

 シェンナが醤油の匂いを嗅いだり少し舐めております、ワタクシも少し舐めてみます


「む、味は醤油なのは確かですがコクが少ないですわね……やはり早送りではこの辺りがおざなりになってしまいますね」

「マナカ殿ダメでありましたか?」

「いいえ、味はちゃんと醤油ですので成功ではありますわ、ただワタクシ達には物足りませんわね」

「この辺りは流石にしっかりと熟成させないとダメということでありますな」

「そうですわね。しかし、この世界の方々には十分な商品になると思いますわ、まずはこの量産型醤油で資金を稼ぎちゃんとした倉を造りそこで本格的に一年かけてもっと美味しい醤油を作ることにしましょう」

「そうですね」


 ワタクシと米田中尉が話しておりますとお地味を終わったシェンナが。


「不思議な味ですねー」


 味見をしたシェンナは腕を組んで考えておりますわね、腕にオッパイが乗っておりますわね。

 少し考えた後、コリーに話しかけます。


「コリーちゃん、このショーユを昨日作ったトーフにかけて食べたらどうかな?」

「なるほど、いい考えだ。早速試してみよう」


 素晴らしいですわシェンナとコリーこの二人天才ですわね、瞬時に豆腐プラス醤油のゴールデンコンビに気付くとは天晴ですわ。


「お二人とも素晴らしいですわ、醤油と豆腐の組み合わせはワタクシの国ではゴールデンコンビですのよ」

「やはりそうですか、このショーユという調味料は基本的に直接少量をかけて使ったり水やお湯で薄めて味をつけるのに使う者だと思いましたよー」


 シェンナがうんうん頷きながら満足そうな顔をしておりますわね

 そしてコリーがワタクシに


「マナカ様この醤油を一瓶頂いてもよろしいでしょうか?」

「ええ、ええ、良くってよ今晩の料理にでも使ってみます?」

「はい、色々試したいと思います、今晩の食事に使ってみます」


 コクが少ないですが久しぶりの醤油味の料理は楽しみですわね。


「た、楽しみですね」

「えぇ、お姉さん初めての経験よん」

「――ベティ、キモイ」

「ひど!」


 明日は味噌でも作りましょう、こうして本日は醤油が完成したところで満足しこの場を解散となりましたわ。



次回は7/6更新予定

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