第297話 暁
2032年1月16日6時30分
「という訳で、クロムが正式に【暁】のメンバーになった。バロン、クロムを【創成】に入れたいのだがいいか?」
「もちろんだ! クロムこれからもよろしくな!」
マラソンを終え、筋トレを終えて、風呂に入り、ご飯を食べている最中にクロムの【暁】入りをみんなに発表した。
「よろしくお願いします! バロンせんぱ……バロン!」
嬉しそうにクロムがバロンの差し出した手を握ると
「でもどうしてマルスは急に僕をパーティに入れてくれたのですか? 前から入りたいオーラを出していたと思うのですが?」
クロムは敬称は直ったが、敬語がまだ抜けないらしい。それに入りたいオーラって……そういうのは普通恥ずかしくて言えないと思うのだが。
「それは俺がA級冒険者になったからね。A級であれば王族をメンバーに入れてもいいかなと思って」
「え!? マルスはA級冒険者になったのですか!?」
やはりクロムは知らなかったらしい。まぁジオルグもミックから聞いて、そのミックもスザクから聞いたのだろうから当たり前と言えば当たり前か。
「良かったね、クロムっち。一緒のクランに入れて!」
「はい! 正直コディが【暁】に入ったときは相当ショックでした……」
ミーシャの言葉にクロムが素直に答えると、カレンが
「あら? コディは【暁】ではないわよね? お父様が【暁】とコディに依頼をしているからコディも同行しているだけで……マルスは面倒だからスザクお兄様にコディの事を【暁】と一括りにしていたのだけれども」
この言葉にコディが泣きそうな顔をしながら
「そんなこと言うなよ? もう俺だって仲間だろう?」
「ではフレスバルド家からの報酬はコディ個人には払わなくていいのかしら? 【暁】経由でコディに払うとなるとかなり値段が下がってしまうけれども?」
カレンの追及にコディが泣きそうな顔をして助けを求めてくる。
「まぁ久しぶりにコディの困った顔を見られただけでも良しとしようじゃないか。ちなみにコディは【暁】に入りたいのか?」
「もちろんだ! 【暁】には俺が必要だろう!? クラリスも俺がいないと寂しいと思うしな!」
カレンもコディを少し虐めることが出来たようで満足しているようだし、何よりコディは戦力としてかなり貴重だからな。
「じゃあコディ、16人目の【暁】のメンバーとして歓迎するよ。バロン悪いが、コディも頼む」
バロンは先ほどと同じように返事をしてからコディと握手をした。
2032年1月16日16日10時
スザクを迎えに行って昨日と同じ東門から街の外に出る。
なぜ東の方でしか訓練しないかと言うと、恐らく何かあった時の為にいつでも駆けつけられるようにだと俺は思っている。
口ではなんだかんだ言ってもスザクはジオルグたちが心配なのだろう。まぁ単純に西門の方が、人が溢れていて邪魔という事もあるかもしれないが。
「昨日も言ったが、お前たちの連携攻撃を見てみたい。俺とビャッコで攻撃を受けるから攻撃をしてきてくれ。ちなみにマルス、アイク、クラリス、エリー、そしてクロムは見せる必要はない」
俺たち4人はこれからスザクにいくらでも見せる機会はあるが、クロムは戦力外と言われているようなものだ。
クロムは悔しそうな表情をしているが、目は死んでいない。これから【暁】で強くなってやるという意思が感じられる。
まずはカレンとミーシャの連携からだ。
この2人の連携の特徴は静と動だ。
カレンの目立つ火魔法や鞭が地面を叩く音で相手の注意を引き、ミーシャが幻影装備と大精霊の靴の効果によって相手に忍び寄り敵を倒す。基本はこのパターンだが、本命の攻撃がミーシャの攻撃だと思うとカレンの魔法の餌食になる。
「うむ、この2人は凄いな。カレンの火力もだが、何と言ってもミーシャの幻影装備による存在感を消しながらの攻撃はガスターを彷彿させるな」
カレンはスザクの言葉に嬉しそうにしているが、ミーシャはというと何故か傷ついているように見える。そしてなぜ傷ついているのかはすぐに分かった。
「存在感……やっぱりもっと大きくしないと……」
ミーシャはそう言いながら自分の胸をマッサージするように揉んでいた。スザクは決してそこの存在感を言ったわけではないのだぞ?
次にサーシャと眼鏡っ子先輩の魔法使いペアだ。
この2人はスザクが相手にすることになったのだが、こちらもスザクを驚かせた。
「さすが風王なだけあって風魔法の発現が異常に早いな。エーディンの土魔法の防御も完璧だし、こちらも発現が早い。一流の2人のコンビを崩せるものはなかなかいないな」
「よろしくお願いします! ビャッコ様!」
バロンの声と同時にミネルバと2人でビャッコに挑む。
ビャッコの攻撃や動きをミネルバとバロンの鎖で阻害しながら、バロンが隙をついて攻撃する。ミネルバもビャッコが動こうとするたびに鎖に魔法をエンチャントしてビャッコの気を逸らす。
ビャッコの攻撃を食らいそうになると、土魔法ですぐに防御をし、ビャッコをどんどん焦らしていく。さすがにバロンもビャッコの攻撃を受けようとはしない。
「ちっ、この2人と戦うとペースがつかめないな。全く自分の全力が出せない」
この2人の連携もスザクの目に留まったようで2人は同じパーティとの確約を貰っていた。俺が進言する必要なんてなかったな。
次に前衛3枚、つまりライナーとアリス、ブラムの番だが、やはりスザクにはアリスが目に留まったようだ。
「剣王のライナーにそれを補助するブラムは流石だな。だが何といってもアリスか。うーむ……やはりうちのパーティにも欲しいくらいだ」
そして最後はブラッドとコディの通称ブラコの番となった。
「ビャッコ! 強くなった俺の力をしっかり見ろよ!」
ブラッドがビャッコにそう叫びながら突進するとコディが
「ミスト!」
霧をあたりに充満させる。
「獣人の俺は鼻が人よりも利くから、コディとの連携は相性がいいんだ! ビャッコ覚悟……」
そこまで言うとあっさりブラッドは張り倒されていた。
「ぶ、ブラッド様、私も獣人ですので鼻は同じ位利く事を忘れておられましたか?」
あまりにもあっさりとブラッドを張り倒してしまったビャッコが気まずそうにブラッドに声をかけたが、ブラッドは気絶して反応しなかった。
「まぁこの2人も連携が取れているという事でいいな」
スザクが少し苦笑いをしながら言った所で全員の連携の確認が終わったのだが
「スザク様、最後にクロムの戦いを見てもらってもよろしいですか? 今回のリムルガルド城下町のパーティに入れて欲しいという訳では無くて、単純にクロムの実力を見て欲しいのですが……」
俺の言葉にスザクが
「クロムの戦いを? まぁいいが俺は武神祭でバロンとクロムが戦っているのを見ているぞ?」
「はい、ちょっとビャッコ様と戦う所を見て欲しいのです。ビャッコ様もよろしいですか?」
俺の言葉に2人が頷いたので
「クロム、今からビャッコ様と戦ってくれ。何をするべきか分かっているよな?」
「分かりました! マルスの期待に応えて見せます!」
よほどチャンスを貰えたことが嬉しいのかクロムは張り切って剣を構える。
スザクの合図とともにクロムがビャッコの方へ走り、剣を振り下ろすが、簡単にビャッコに受け止められてしまう。そしてビャッコの強烈な一撃がクロムに襲い掛かる。
ちなみにビャッコはこの前装備していたアダマンクローはつけていない。あんなので攻撃されたら死んでしまうからな。
クロムはその強烈な一撃を食らう直前に「スリープ!」を叫ぶ。おそらく遠い距離で撃ってもビャッコに躱されてしまうと思ったのかもしれない。
ビャッコの拳がクロムの装備する王者の鎧の胴回りに直撃するとほぼ同時にクロムのスリープがビャッコに直撃する。
いかに王者の鎧で守られているクロムでもビャッコの一撃は耐えられるものではなくその場でうずくまってしまった。
そしてビャッコはというとその場で地面に伏せていた。やはり寝ているようだ。
「なっ!? どうしたというのだビャッコは!?」
「スザク様、これは睡眠魔法と言って相手を眠らせる効果があるようです。自分よりも魔力が低い者にしか効かないらしく、耐久値の高い者はすぐに起きてしまったりするらしいのですが、魔眼と違い消費MPが少ないのが特徴です。ちなみに実際に検証したわけではないので本当に魔力が低い者にしか効かないとか、耐久値が高いと早く起きるというのは仮説なのでお許しを」
俺の言葉にスザクが唸りながら
「うむ……クロムも十分に戦力になるという事か。優秀な人物はいくらでも連れて行きたいのだがどうしたものか……取り敢えず今日はここまでにしてまた明日だな」
スザクの言葉にクロムは嬉しそうに頷き俺もホッと胸を撫でおろした。
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