第241話 急報
活動報告、ツイッターでも書きましたが、昨日の20:00に投稿しております。
まだ見ていないという方はそちらからお願いします。
2031年11月6日 17時
「なんか、私の方が緊張しちゃうわ……」
「ああ、俺も緊張してきた。クラリスとエリーも2人が危ないと思ったら止めに入ってくれ」
2人は頷いて俺の後ろに下がった。俺達3人が闘技場におりると、目の前ではアイクとレッカが相対している。
「では、今から始めますね。準備はいいですか?」
アイクとレッカに確認すると2人が頷く。
「始め!」
俺の言葉に2人が同時に動いた。まずはレッカが遠距離からあいさつ代わりの魔法が放たれる。
「ファイア!」
レッカのファイアにアイクがウィンドでかき消そうとするが、魔力の差が倍以上もある。この1年でレッカも強くなっていた。
【名前】レッカ・ビスタム
【称号】-
【身分】人族・ビスタム男爵家当主
【状態】良好
【年齢】27
【レベル】53
【HP】124/124
【MP】392/392
【筋力】49
【敏捷】50
【魔力】101
【器用】62
【耐久】47
【運】1
【特殊能力】棒術(Lv6/D)
【特殊能力】火魔法(Lv7/C)
【特殊能力】土魔法(Lv5/D)
【装備】火精霊三節棍
【装備】烈火の法衣
【装備】火の腕輪
魔力が100を超えていたのだ。スキルや装備は去年と変わらないが、これが魔法使いというステータスだろう。
決してアイクも魔力が低い訳ではないが、得意な魔法ではないウィンド1発でファイアを消滅させることはできない。
そんなことはアイクも百も承知だろうがどのくらいの差があるのか試してみたかったのだろう。
ウィンド2発放ったところでようやくファイアの勢いが弱まった。魔力が違うとここまで差があるのか……アイクも俺と同じように思ったのかもしれない。表情が少し曇ったが、今度はアイクから仕掛けた。
「フレア!」
アイクがフレアを放ちすぐにフレアに身を隠しレッカに近づこうとするが
「土壁!」
地面から壁が出てきてフレアは弾かれ、アイクの進路も塞がれてしまった。そう言えばレッカは土魔法も使えたんだった。そしてここからレッカの激しい中・遠距離攻撃が始まった。
「フィンガーファイア!」
フィンガーファイア? なんだそれ? と思っていると、レッカの左の指先から3発のファイアが横に広がりながらアイクを襲う。
なんかこの魔法ってどこかで聞いたことが……あ、五指爆炎弾っていうのが確かあった気が……
生命力を削るから多用は禁物って俺の辞典には書いてあったような……五指爆炎弾は5発だったがフィンガーファイアは3発か。練習次第では5発出そうな気がする……あとで絶対に練習しよう。
アイクはフィンガーファイアをジャンプで躱そうとするが、レッカはそれを読んでいた。
両手で火精霊三節棍を振り下ろしアイクを地面に叩き落そうとしたのだ。
アイクもこれを読んでいたのか槍で火精霊三節棍を払うのだが、空中で膂力の差を生かすことが出来ずになかなか接近することが出来ない。
そして火精霊三節棍の先端には炎が灯っており、槍で払っても炎の熱でアイクのHPが徐々に削られている。
近づこうとすると土壁で進路を塞がれ、少しでも離れると火精霊三節棍で一方的に攻撃される。
そして着実にアイクだけにダメージが蓄積される。レッカのMPが先に切れるか、アイクのHPが削られるかの我慢比べだ。
クラリスは祈る様に顔の前で手を組んでアイクの無事を願っている。エリーはというとただ2人の試合をじっと見ていた。
2人の戦いは一方的にレッカが火精霊三節棍を振り回す展開となっていた。アイクは何故か火精霊三節棍が届くか届かないかの場所でひたすら火精霊三節棍の攻撃を槍でいなしている。
もう少し下がって火精霊三節棍が届かない所に行き、ファイアを撃たせてMPを少しでも使わせるか、もっと接近して土壁を使わせた方がいいと思うのだが、アイクはそれをしなかった。
しばらく火精霊三節棍の攻撃を受け続けて、捌くのに慣れたころ、アイクが変な構えを取った。
右手に槍を構えて左手は自分の腰を抑えるような構えだ。この構えはもしかして……俺の予想は的中した。考えてみればアイクは毎朝、暴走エルフ得意の暴走魔法? を見ているからな。
先ほどまでと同じようにアイクが火精霊三節棍での攻撃を払ったのだが、先ほどまでと違ってかなり力強く弾いた。
そのおかげでレッカの火精霊三節棍はいつもより大きく弾かれ、レッカの体勢も少し崩れた。アイクはそれを見逃さなかった。
「ウィンド!」
腰を抑えている左手からウィンドを放つとウィンドで押されたアイクの体が勢いよくレッカの方に吹っ飛んでいった。レッカは射出されたアイクの勢いに一瞬驚いたがすぐに
「土壁」
土の壁を発現させたが、一瞬驚いたことがあだとなり、アイクは見事に土壁の発現よりも先にレッカの下に辿り着いた。
接近してしまえばもう言わずもがなの展開だった。槍で火精霊三節棍を弾き、近づいてからほんの数秒でレッカの首に槍の穂先を添えたところで2人の試合は終了となった。
アイクはすぐに槍を収めるとレッカに手を差し伸べ
「実戦でやっていれば間違いなく僕の負けでした。手加減して頂きありがとうございます」
「手加減などしていない。俺は勝つ気でいたぞ。スザク様が気に入るだけの事はあるな。リムルガルド城に潜る準備をしておけ」
レッカがアイクの手を取り、笑顔で答えた。まぁ完全に手加減と言うか威力の高い魔法は封印していたよな。フレアボムどころかフレアすら撃たなかったのだから。
「あのファイアを見た時にフレアを撃たれたらまずいなと思いました。でもレッカ様はファイアだけしか撃ってこなかったので勝てたのだと思います」
「フレアも人に放っていいような魔法ではないからな。アイクの事を責めているわけではないぞ?」
おーいレッカさーん。去年俺にフレアボムを放った事忘れていませんか?
「申し訳ございませんでした。どうにかしてレッカ様に近づこうとフレアを使ってしまい……簡単に防がれてはしまいましたが……」
「気にするな。俺は魔法使いだからな。それにリムルガルド城には俺ではなくアイクが行った方がいいとも思っている。スザク様はリムルガルド城ではどんな状況でもツーマンセル以上で行動すると仰っておられた。必ず前衛と後衛で組ませるとな。スザク様はビャッコと組み、クラリスとエリーが組むとなるとマルスと必然的に俺と組むこととなる。リムルガルド城という難関迷宮で急造のコンビを組むよりかは、普段から慣れている者同士で組んだ方が絶対にいいと思ってな」
まぁ確かにそうだな。レッカと組むよりかはアイクと組んだ方がいいに決まっているが、その場合俺は後衛になるんだよな?
2人の試合も無事に終わったのでもう解散しようとした時だった。闘技場にディバルが走りこんできた。
「レッカ様! 大変でございます!」
ディバルが慌てて唾を飛ばしながら言うと
「ディバル、落ち着け。どうしたというのだ」
レッカがディバルの肩を叩いて落ち着かせる。ディバルは俺たちの事を見て少し話しづらそうにすると
「大丈夫だ。マルスたちに聞かれてまずい事なんてない。この場で言ってみろ」
レッカがディバルに話すように促すとディバルが頷き
「たった今、リーガン公爵領とザルカム王国の国境の関所から早馬が来ました! 早馬によると、ミリオルド公爵と名乗る人物が20名ほど従えて、ここに来ようとしているらしいのです。どうやらリスター祭に興味があるから参加したいと言っているらしいですが……」
この言葉に反応したのはやはりエリーだった。
「……あいつが……くる……?」
ボソッと言うとエリーの顔が青くなりまた震えだした。
「レッカ様、ディバル先輩! 少しエリーの調子がすぐれないようですので僕たちはここで失礼させて頂きます」
本当はもっと情報が欲しかったのだが今はエリーの事が優先だ。レッカとディバルの返事を待たずにエリーをお姫様抱っこして、クラリスとアイクと一緒に誰もいない闘技場の医務室にエリーを連れて行った。
「クラリス! この前と一緒で前からヒールを頼む! 俺は背中からヒールをかける!」
クラリスはエリーの胸に手を当てヒールをかけて俺が背中に手を当てヒールを唱えた。
すぐにエリーの顔色が良くなったが、震えはすぐには止まらなかった。俺が後ろから震える体を抱きしめるとエリーは俺の腕を掴み
「……ありがとう……」
とだけ言って俺に身を預けてきた。エリーをここまで震え上げさせる人物とはいったい……
次の更新は水曜日を予定しております。
また早く投稿できるときはTwitterでお知らせいたします。
なるべく活動報告にも書きますが、遅れる可能性がありますのでご容赦を。
https://twitter.com/qdUYSDZf8XzNaUq










