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13章 少年期 ~リスター帝国学校 2年生 魔の森編 ~

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第208話 推察

2031年6月20日


 今日も砦の周辺で魔物と戦っていた。


 魔の森付近に行くとテリトリーの中からどんどん魔物たちが湧いてくる。


 今はもう砦を警備するというか魔物を倒しにテリトリー付近まで行き魔物をおびき寄せている。



 アリスは攻撃魔法が使えないため、アサルトドッグをまとめて倒す事が出来ないし、まだアサルトドッグと1対1の戦いでも苦戦することが多かった。


 そのため、レベルがなかなか上がらない。アイクに言わせるとそれでもアリスは異常な速さでレベルが上がっているというが、死の森でのレベル上げを経験してしまった俺たちからすればどうしても物足りない。まぁ1番レベルが上がるのが遅い俺が言うなという話だが……


 現在17時、もうそろそろ日が暮れてきそうなときにバーグット方面から2人、こちらに向かってくるのを俺のサーチが捉えた。


 もしかしてバーグットで何か起きて俺たちを呼びに来たのか? そう思ってその2人の方に向かうと見慣れた顔だった。


「ライナー先生! ブラム先生! どうしたのですか? お2人は死の森にいたのでは?」


 歩いてきていたのは、ライナーとブラムだった。俺の言葉が聞こえたのかサーシャがすぐに駆け付けてきた。どこかライナー達が来て嬉しそうなサーシャの顔を見るとやはりまんざらではないようだ。


「ああ。レッカ様が死の森に戻ってきてな。どうやらスザク様がマルスをべた褒めしたのを聞いてレッカ様が志願して死の森に戻ったようだ。このままでは自分が足手まといになると思ったらしい。

レッカ様が戻ってくるとさすがに戦力過多になるからな。2人でリスター帝国学校に戻るとリーガン公爵に魔の森に行ってきてくれと言われて今に至る。

バロンとミネルバはイザーク辺境伯に鎖術を教わるからそのまま死の森に残る事となった。そしてブラッドはレッカ様が戻ってきたら余計に死の森から離れる事が出来ないと言っていた。

しっかりとフレスバルド騎士団との関係を築くと張り切っていたな。ブラッドが1年Sクラスの制服を着て死の森に来たときは驚いたぞ。マルス! とんでもない大手柄を挙げたな!」


 ライナーが嬉しそうに俺に話しかけてきた。するとサーシャがライナーに対して


「本当は私の事を追っかけてきたんでしょ? もっと素直になりなさい」


 笑顔で鎌をかけた。ライナーは笑っていたが、本心はどうなんだろうか?


「マルス様……いや、マルス、アリスはいるか? リーガン公爵から預かっている物があるのだが……」


「アリスは今魔物と戦っております。あとでブラム先生から直接渡してくれませんか?」


 ブラムの質問に俺が答えると


「いや、できればマルスから渡してくれ。アリスもきっとその方が喜ぶだろう」


 ブラムは空間魔法の中に収納していたリーガン公爵から受け取った物を俺に渡した。



【名前】戦姫の法衣

【防御】15

【特殊】敏捷+2

【価値】B

【詳細】火耐性UP、水耐性UP、状態異常耐性UP


 相当いい物をくれたな。それだけアリスの事を気にかけてくれているのか。


 2人をみんなの所に案内する前に聞いておきたいことがあったので先に聞いてみた。


「お2人はザルカム王国にあまりいい思い出がないと思うのですが大丈夫ですか?」


「ああ。確かにこの国には嫌な事しかなかったが、俺達2人の業は深いからな。逃げるわけにはいかない」


 ライナーが言うとブラムも頷く。


 待機所に2人を案内すると、ちょうどカレンとミーシャが起きてきて、待機所でご飯の用意をしているところだった。


 そしてそこに腹を空かしたアイクたちが全員戻ってきた。1階にエリー以外の全員が集まった。折角だからと言ってクラリスがしっかりとしたご飯を作ると言って夕食づくりを始めるとミーシャがいつものように、余りものを狙ってクラリスについて行った。


 その間にヒュージとライナーたちが自己紹介を簡単に済ませた。ヒュージもライナーたちの事を知っているようで簡単に打ち解けてくれた。ヒュージという人間はかなり出来た人間だ。A級冒険者で伯爵位……俺が目指している物を全て持ち合わせている。


「アリス、さっきブラム先生からアリスの装備品を受け取った。あとで渡すから楽しみにしておいてくれ」


 俺の言葉にアリスは嬉しそうに頷いた。


「それにしてもリスター帝国学校のレベルはどうなっているんだ? 歴代でも絶対に今年が一番強いぞ。マルスたちと同世代だったら間違いなく序列6位だろうな。それにアイクにも勝てなかっただろう。信じられるか? これでもA級冒険者中位近くはあるのだぞ?」


 ヒュージが俺たちを見て褒め称えてくれた。


「やはり身近に神聖魔法使いがいるからですかね? それにその神聖魔法使いは一緒に迷宮に入ってくれるからその場で回復できるし、何より神聖魔法使いを守らないといけないという意識が全くないですから。それに先生にも恵まれていると思います。特に今の2年Sクラスはライナー先生、ブラム先生、サーシャ先生とスペシャリストが居りますからね」


 アイクがヒュージの言葉に返答するとヒュージが唸った。


「さて、料理が出来ましたよ。マルス、エリーを呼んできて」


 クラリスの言葉に従い、エリーを起こしてみんなでご飯を食べ、今後の事について話し合った。


「さて、もうそろそろ魔の森の中にも入ろうと思う。ライナー、ブラムという猛者が駆けつけてくれたしな。最初は魔の森に入るメンバーを固定したい。いくらここに居るメンバーが強いと言っても全員が魔の森での戦いに参加できるわけではない。

マルス、クラリス、エリー、アイク、サーシャ、それに私の6名で魔の森に入ろうと思う。慣れてきたらそれぞれまた班を作って魔の森にローテーションで入ろうと思う。

来月から少しずつ中の様子を窺おうと思うがいいか? 本格的に中に入るのはマルス達が魔の森に慣れてからだ。なにせ魔の森には危険な植物が咲いているからな」


 本当はアリスがレベル30になってからと思ったが、その前に俺たちが魔の森に慣れておく必要があるかもしれない。俺が頷くと他の者も頷いた。


「それでは私を含めた6名は明日に備えて万全な態勢で臨むように」


 ヒュージの言葉を受けて俺とクラリス、エリーの3人はそれぞれ風呂に入り、6人で寝られる寝室へと向かった。


 エリーは相変わらずですぐに俺の隣で寝息を立てた。確か頑張って強くなると言っていた気がするが、ずっと寝てばかりいるのは気のせいだろうか?


「ねぇ、マルス。気になっていたことがあるんだけど」


 俺の右腕に絡みついている女神が俺に話しかけてきた。


「なんでデーモンは魔の森に来たのかしら?」


 全くそんなことを考えなかったな。確かに気になるといえば気になる。


「うーん……魔の森の魔力に惹かれてきたのかな?」


「そうね。私も最初はそう考えていたんだけどだとしたらデーモンはどこから来たと思う? いくら魔の森の魔力に惹かれたからといって 遠いところからは流石に分からないと思うわ」


「そこらへんで自然にポップしたという事は考えられない?」


「私もヒュージ様にそう思って聞いてみたのだけれどもデーモンがポップするというのを聞いたことがないらしいわ。そもそもデーモンという魔物がここ何十年かは目撃されていないらしいの。もちろん神聖魔法使いが風王という常識外れなことが現実にはあり得るから一概には言えないのだろうけれども」


 じゃあデーモンはどこで生まれたのか?


「クラリスはなんでデーモンが魔の森に来たと思っているんだい?」


 俺の考えがまとまらないからクラリスにされた質問をそのまますると


「デーモンが不利になって逃げた時があったじゃない? だからデーモンは物事をある程度考えられる魔物というのを前提で話すから笑わないで聞いてね」


 クラリスの言葉に俺が頷くと


「逃げるため……」


 何から? とは聞かなかった。そしてクラリスの言葉を待った。


「ごめんなさい。私もうまく考えがまとまってないの。だからマルスに聞いてみたんだけど……あれだけの残虐性を持ち合わせているデーモンがバーグットを襲わずに魔の森に行く理由はなんだろうなと思って。

デーモンからしても魔の森は非常に危険じゃない? 私たちから逃げたのに危険な魔の森からは逃げない……もちろん魔の森の魔力に惹かれたというのもあるかもしれないけど、私にはどうしてもそれだけでは無いように思えて……

もしかしたら魔の森から出ている魔力のカーテンで自分たちの存在を隠したいのかなぁと思って……」


 確かにクラリスの言う事も一理ある。というかその考えを聞いてしまうとそれしか考えられなくなってきた。


「俺も考えておくよ。デーモンがなんで魔の森に行ったのかを」


 魔物の行動に意味なんてないと思っていたが、デーモンに関してはクラリスの言う通り何かしらの意味があるのかもしれない。


 デーモンが魔の森に行った理由を考えながら2人の美女を抱き寄せて眠りについた。


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― 新着の感想 ―
[一言] ヒュージへの嫉妬?どこの事?
[良い点] デーモンに関する考察 [気になる点] >マルスたちと同世代だったら間違いなく序列6位だろうな。 学生時代の力量でそのメンツに混じって6位なら、充分にすごいと思う。 [一言] >もちろん神聖…
[気になる点] 主人公の闇落ちフラグは意図しているもの? それとも傲慢になっただけ? かなり前から、ナチュラルに仲間を見下ろすし、ここに来てヒュージへの嫉妬、怖えー。 せめて意図しているものだと祈る…
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