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12章 少年期 ~リスター帝国学校 2年生 人と獣人編~

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第195話 フレイヤ

2031年4月28日


「それでは、フレスバルド公爵領へ行って参ります」


「頼みましたよ。私の方からも早馬で事情を説明しておりますので話はすぐに通じると思います。道中体には気を付けてください」


 校長室に行き、リーガン公爵に出発の挨拶をした。


 学校を出発して早速フレスバルド公爵領へ向かう。今回も馬車2台だ。【黎明】で1台と【創成】+問題児で1台だ。


「なぁカレン。ブラッドがフレスバルド公爵領に来た事はあるのか?」


「多分無いと思うわよ。セレアンス公爵も来た事無いと思うわ。バーンズ様がセレアンス公爵だったころは円卓会議がフレスバルド公爵領で開催されることが多かったらしいけど、今はどこでやっているか分からないわ。ちなみに今年はリーガン公爵領で円卓会議をするらしいわよ?」


 ふーん。円卓会議って持ち回りでやるのか。もう1つ気になる事があったから今度はミーシャに聞いてみた。


「なぁミーシャ。サーシャ先生たちはどこに行ったんだ?」


 馬車の中でお菓子のような物を頬張っていたミーシャに聞くと、口の中のお菓子と一緒に答えが返ってきた。聞くタイミング間違えたな。


「ライナー先生とブラム先生と3人で死の森に行ってるって聞いたよ。カレンのお兄さんのスザク様が各騎士団長を集めてリムルガルドに潜るメンバーを選抜するから、レッカ様も呼ばれてその穴埋めに3人が死の森に行ったんだって」


「じゃあもしかしたら私たちと合流する可能性もあるかもしれないって事?」


 クラリスがミーシャに聞くと


「そうだね。フレスバルド公爵領で用事が済めば私たちもまた死の森に行くんでしょ? そしたら【暁】全員集合だね。賑やかしが1人ついて来ているけど。そういえばブラッドからパーティに入りたいとは言われてないの?」


 今度はミーシャが俺に聞いてくる。


「ああ。ブラッドからは何も言われていない。その代わりクロム殿下から、入りたいなぁっていうようなニュアンスの話は頂いた。流石に殿下を自分のパーティに入れることは出来ないからやんわりと断ったよ。どう考えても俺が殿下のパーティに参加しないといけない立場だと思うからね」


「そう考えるとブラッドを【暁】に入れるのは躊躇うわよね。ブラッドがセレアンス公爵になった時に【暁】のクランマスターがマルスだったら、マルスはある意味セレアンス公爵よりも上の立場になるって事でしょ? セレアンス公爵は他の公爵と同じ立場。そしてそのセレアンス公爵よりもマルスが上。相対的に考えるとマルスの方が他の公爵よりも上というように思われたりしない? そうすると他の公爵から絶対にいい顔をされないと思うんだけど?」


 クラリスが俺に疑問を呈する。確かに言われてみるとそうかもしれない。カレンの場合はフレスバルド家の跡取りはもうスザクと決まっているからまだいいが、セレアンス公爵家の場合は……


「そう言えばブラッドから聞いたんだけど、次期セレアンス公爵候補って誰だ? 俺はブラッドしかいないと思ったんだが、ブラッドはあくまでも候補の1人という感じで俺に話してきたんだけど?」


 俺の疑問に答えたのは左隣でウトウトしていたエリーだ。


「……私だと思う……金獅子が公爵……でも女金獅子は過去にいない……だから叔父さん困ってる……前例がない……それに私はならない……どうしてもなれと言われたら……夫のマルスに譲る……」


 は……? 俺がセレアンス公爵になる可能性があるって事か?


「でもそれは許されないだろ? セレアンス公爵って獣人の代表だろ?」


 俺がエリーに言うと


「……許される……私が公爵になる……公爵の言う事絶対……マルスに公爵譲る……それに人間が獣人の代表……ダメな事はない……と思う……」


 ここは是非! ブラッドにセレアンス公爵になってもらおう! 俺がセレアンス公爵になったらクーデターを起こされる可能性がある。


「俺はセレアンス公爵にはなりたくないから、ここはブラッドに頑張ってもらおう。エリーもそれでいいか?」


「……もちろん……公爵になると……マルスとの時間が無くなる……さっきも言ったけど……公爵になりたくない……」


 エリーがそう言うと再び俺の左腕に巻き付いてウトウトし始めた。


「さっきの話に戻るけど、ブラッドがセレアンス公爵になったら【暁】から脱退すればいい話じゃないかしら? 確かに心象としては良くないかもしれないけど、ブラッドをこのまま放置しておくと違う所で問題を起こすと思うの。そしてそのままセレアンス公爵になってごらんなさい? 何度も言うけどリスター連合国の上級貴族、ましてや公爵でバカは困るのよ。教育の為にも【暁】で、姐さんのクラリスに躾なり教育をしてもらえばブラッドがセレアンス公爵になった時、そんなに問題は起きないと思うわ」


 とカレンが俺に進言してきた。


「た、確かに……ここは姐さんに任せるのが一番かもな。ブラッドに入りたいと言われたら【創成】に入ってもらうか」


「もう面倒だからって私に押し付けて……まぁブラッドも可愛いところあるから別にいいけど」


 俺がクラリスに振ると文句を言いながら了承してくれた。



 2031年5月1日 10時



 フレスバルド公爵領の領都フレイヤに着いた。学術都市リーガンからフレスバルド公爵領の領境まで1日。そしてそこから1日とちょっと走れば領都。かなり近いな。


 領都フレイヤの街の前方には大きい湖が、後方には大きな山々が連なっているのが見える。そして街の規模は今まで見てきたどの街よりも大きいし明るい。


「さて、ここがフレイヤよ。私が案内するからみんな馬車から出て歩いてついて来て。そしてブラッド、私の隣に来なさい。ブラッドの事をフレイヤの民が知っている訳ないと思うけど、少しでも領民の心証を良くしておかないとね。私が獣人と一緒に歩いているという事だけでも大分違うと思うわ。まぁブラッドがそのリスター帝国学校の制服を身に纏っている時点で領民が受ける心証はかなりいいと思うのだけど」


 カレンもよく考えているものだな。領都フレイヤの東側から入り、街の中心に向かって歩く。まずフレイヤの街は人がかなり多い。学術都市リーガンほどではないが、かなり賑わっており、それに街を巡回するフレスバルド騎士団もかなりいた。あの隊服は朱雀騎士団だろう。


 カレンとブラッドの後ろを俺達が歩いているとフレイヤの住民たちが、「お帰りなさい、カレン様」と次々にカレンに挨拶をしてくる。


 カレンは挨拶を受けるたびに隣にいるブラッドの事を紹介し、友好関係をアピールしていた。正直ここまでするとは意外だった。


 そして巡回しているフレスバルド騎士団員がカレンを見かけると綺麗なお辞儀をしすぐにまた街の警備に戻った。


 しばらく歩くと街の中心と思われる場所に着いた。街の中心には食事処やショップが整然と並んでいる。


「フレイヤって綺麗な所ね。ゴミも落ちていないし、区画整理がしっかりされているから街の遠くまで視線が通るわね。それに騎士団員が巡回警備しているから治安もとてもよさそうね」


 クラリスがフレイヤの街を見渡しながら言うと、カレンが


「ここが街の中心でお店や飲食店がたくさんあるわ。今度ここでショッピングでもしましょう。ここから北に向かうと貴族街があってその先にフレスバルド公爵家の屋敷があるの。行きましょう」


 みんなにフレイヤの街を簡単に紹介してくれるとブラッドの手を引っ張って街の北へ向かう。


 背の小さいカレンが俺よりも背の高いブラッドの手を引いているのを見ると、子供が大人の手を引っ張っているように見える。


 北に向かうとフレスバルド騎士団員たちが貴族街に向かう者の身分の確認や手荷物検査をする場所があった。当然カレンがいるから顔パスだったが。


 街の北の貴族街に着くと先ほどまでいた中心街とは違い、とても閑静な空間が広がっていた。当然1軒1軒の屋敷も大きかった。


 カレンの後をついていくと目の前に大きな屋敷が見えた。大きな屋敷は恐らくフレスバルド公爵家の屋敷だろう。


 セレアンス公爵家の屋敷よりも大きい。だが、フレスバルド公爵家の屋敷よりも目につく建物があった。そのフレスバルド公爵家の屋敷の手前に真っ赤な建物があったのだ。


「なぁカレン。大きな屋敷がフレスバルド公爵家の屋敷だろ? あの真っ赤な建物はなんだ? 火の紋章が入っているように見えるけど?」


「あれはフレスバルド騎士団の本部で朱雀騎士団の本部でもあるわ。常時50人以上があそこで待機しているのよ」


 リーガン公爵がここに避難しろっていう訳だ。リスター連合国で間違いなく一番安全な場所だろうな。


 カレンが俺の質問に答えると、ブラッドと繋いでいた手を解くと、ブラッドは少し寂しそうにカレンと握っていた手を見ていた。


ブラッドのキャラが・・・

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― 新着の感想 ―
[気になる点] この世界、日本語ではないのに公爵と侯爵が口語で同じになるというのは、少し違和感があります。
[一言] ブラッドのキャラが段々と下っ端クラスに堕ちていってる気がする
[気になる点] >まぁブラッドも可愛いところあるから別にいいけど」 新しい恋の始まり・・・
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