TIPs:櫛引木葉の夏休み
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突破しましたありがとうございます!一重に読者様方が読んでくれてるお陰です!じゃんじゃん感想・評価・レビューまでしたくなっちゃうくらい面白い物語を書いていきますので今後ともよろしくお願いします!
また、1話から大量に編集・改稿してますのでこれを機会に読んでいただけると嬉しいです!昨日から3倍くらいにpv増えたんですけどなんかあったんですかね?
夏休み、木葉は剣道部の練習試合を終えて街をぶらぶらしていた。今日は顧問の山形先生が風邪気味ということもあり、部活が午前で切り上げだったのだ。
(お母さんの面会の時間まで結構時間空いちゃったなー)
という訳で千鳥とご飯でも行こうかと思っていたのだが、千鳥は千鳥で何でも祖母の営む定食屋の手伝いがあるらしく、早くに帰ってしまった。先輩達は反省会があるらしく、他の部員もそれぞれ宿題が終わってないとのことで家に帰ってしまっている。勿論木葉は既に終わらせてある。なんなら数学以外は初日に終わらせてあった。
(うーん、花蓮ちゃんは今日ピアノレッスンって言ってたし、樹咲ちゃんはバレー部の合宿期間だから県外だし〜……梢ちゃんはSNS見た感じなんかドイツに居るみたいだし……)
アンスタグハムというSNSをついついーっとスクロールした1番上のところには、ドイツのブランデンブルク門で家族とピースしている梢ちゃんの写真があった。家族ぐるみの付き合いということで、いつも一緒の米沢瓶子ちゃんも一緒だ。この2人仲良いなぁって考えながら溜息をついた。
まぁ木葉が呼んだらベルリンからシュバっと飛んできそうだが。
「いいな〜海外」
コンビニでアイスを買って公園のベンチに腰掛ける。真夏の炎天下の中だとお腹が空いてこないのでこれで持つだろう。だがあまりに暑いのでクーラー付きのファミリーレストランにでも行こうかなと考え始めていた。その時、
「あれ?木葉?」
「おー!!木葉ちゃんじゃん!!」
「ちっすー」
白鷹語李、天童零児、戸沢菅都の3人がこちらに歩いてきた。
「3人とも久しぶりー!夏季講習ぶりだね!何してるの?」
「あぁ、俺たちはゲーセン帰りだ。木葉は?部活終わったのか?」
「え、語李くんってゲーセンいくの?」
「失敬な」
「あはは!えっと、私は今日部活早上がりなの!ほら、制服でしょ!」
汗で透けた木葉のセーラー服に、零児達は釘付けとなっていた。スカートの下の生足もなんだかとても眩しい。
「えっちだ」
「えちえちだ」
「言いたいことはわかるが自重しろ2人とも」
語李が2人の首根っこを掴む。
「あ、折角だからファミレス行かない?あっつくてさー!」
「いいな、いくか!2人もいいよな?」
「もち!木葉ちゃんと飯行けるとか最高かよ!」
「俺も俺も!あー、ナイスな思い出になるわー!!」
…
………
…………………
「あははは!この編成やばいね!」
「だろだろ!フォワード選手のレアキャラがこれまた強くてさ!」
「私もディフェンダーはいい線行ってると思うんだけどなぁ」
ファミレスでスマホゲームを通信対戦して遊ぶ4人。人気のサッカーゲームらしい。
「ほれ語李!色々混ぜてきてやったぜー!」
「零児……なんか海鮮の匂いがするんだが、まさか蟹スープなんて入れてないよな?」
「ぎくっ!」
「蟹!?蟹あるの!?」
「蟹ピラフ頼んどいてまだ蟹欲してんのかよ木葉ちゃん!俺のパスタ食うか?」
「食べる!ん!」
「え、あ?」
木葉がその場で口を開く。一瞬あまりに扇情的な光景にドキっとする3人。だが無自覚無意識だと気づいて赤面しながら零児はパスタを木葉の口の中に入れた。
「もぐもぐ♪んー!美味い!やっぱパスタは蟹クリームだよね!」
「あ、あぁ、そだな」
(((あざとい……)))
「そういやぁ、最上先生んちにノート届けに行く用事あるんだけど今日みんなでいかね?」
「零児、また唐突にどうしたんだ?てかなんでお前がそんなこと頼まれてるんだ?」
「いやさぁ、職員室のじーさんに捕まっちまってよぉ。仮にも20代の女性の家に入るのに男子高校生に頼むとか頭おかしいだろあのじじい……」
「それは、災難だったな。木葉もいるし4人で行くか。菅都、いいか?」
「もちのろんっしょ!ま、笹ちゃん先生ロリっ子だし襲わねえ襲わねえ!」
戸沢菅都は女関連では何股もかける性欲お猿さんだという噂がある。語李はそれを憂慮していたのだろうが、菅都の言い分は語李ですら腑に落ちてしまった。どう見ても見た目が幼いのである。化粧していても、背伸びした子供にしか見えない。
「笹ちゃん先生のお家楽しみだなぁ!」
「だなぁ。ぬいぐるみでいっぱいだったりして!」
……
……………
………………………
ピンポーン
「はぁい……ってえぇえええ!?戸沢さん、天童さん、白鷹さん……それに櫛引さん!?」
「遊びに来ちゃったー!」
「違うだろ……。学年主任から頼まれてノートを届けに来ました」
「あぁ、これはどうも丁寧に……丁度お菓子があるので上がってください!あ、でも、少し掃除するので待っててください!」
そう言って笹乃が鍵を閉める。中からは凄まじい音がしているが何をしているんだろうか。
「どうぞ〜……って櫛引さん!」
「わぁあああ!……なんか普通」
シュババっと入っていった木葉の目に飛び込んできたのはあんまりにも色味のない寂しいお部屋だった。
「笹ちゃん先生のマンションこんな近いところにあったんだな」
「今お茶出すので座って待っていてくださいね、絶対ですよ!」
「……そう言われるとパンパンの押入れ開けたくなる」
中からヌイグルミの手が出ていたが開けたらヤバそうなので開けることはなかった。
「お茶をどうぞ、こっちはどら焼きです。皆さん宿題は進んでいますか?」
「おう!笹ちゃん先生も進んでるー?」
「私はありません!」
「あれ、ベランダに朝顔ないな」
「小学生!?私小学生だと思われてるっ!?」
「零児……そろそろやめて差し上げろ」
泣きそうな笹乃に木葉が頭を撫で撫でする。
「ありがとうこの……こほん!櫛引さん。えっと、皆さん午後は暇ですか?」
「え、うん!私は暇だよ!」
「それじゃあ少し出掛けましょう!」
「ん?出掛ける?どこに?」
「それは……」
カキーン!!
「セイっ!ひゃっほー!ホームラン!」
「お、櫛引さん上手ですね!」
「……なんでバッセン?」
「さぁ?笹ちゃん先生の趣味だろ」
5人は近くのバッティングセンターに来ていた。どうも笹乃は地元の野球チームのファンらしく、自身もストレス発散にはバッティングセンターで身体を動かしているらしい。
「うわー!菅都くん上手いなぁ!零児くんもゲームばっかり上手いわけじゃないんだねえ」
「木葉ちゃん……そりゃあ傷つくぜえ……」
「夏休みが明ければ球技大会と文化祭が待ってますからね!私も、頑張りますよお!」
笹乃も出る気らしい。やっぱり生徒なのか先生なのか分かりづらい。
「サッカー、ソフトボール、バスケだっけ?サッカーはここにいる男子3人や……まぁ出るかどうかはわからんけど船形荒野もいるし、バスケは語李がいるからな。木葉ちゃんも全般得意だろ?」
「零児くんもバスケ以外は得意だもんねー!」
「うっせーやい。突き指してから軽くトラウマなんだよ」
木葉の場合は全般ができると言うわけではないのだが褒められて悪い気はしないので言わないでおく。
「あ、もうこんな時間……私ちょっと病院に行かなきゃなので」
「ああ、櫛引さん送りますよ!」
貼り付けた笑みを浮かべる木葉を心配そうに笹乃が病院へと送り届ける。そのまま面会許可も得てちゃっかり笹乃はついてきていた。勿論この時点で男子3人は車で家に送ってある。
「木葉……辛いことがあったら相談してくれよ?」
「そーだぜ!?俺たち友達だろ?また遊ぼうな!」
「今度は2人で、へへっ……」
「あはは……ありがとね、みんな。また遊ぼう!」
とそのまま病院へと向かう。笹乃は木葉を切なげな目で見ながら病室の扉をスライドさせた。
「お母さん……きたよ」
今日もお見舞いの品のところに父親のものはない。勿論親戚のものも。それを見て木葉は胸がキュッとなった。
「木葉ちゃん」
2人きりの時は木葉ちゃんと呼ぶ笹乃。そのまま木葉を後ろから抱きしめた。
「元気出してください木葉ちゃん。今日は先生の家でご飯でも如何ですか?」
「ほんと……?いいの?」
「ええ、勿論。腕によりをかけて作りますからね!」
「あはは、うん、楽しみ!」
今日も母親は目を覚さない。父親は姿を見せない。親戚なんて見舞いにこない。叔母はきっと今日も家に来て宗教像を置いていく。
けれど木葉は周りの人に救われていた。これからもみんながついていてくれると信じて……。
夕暮れ時、笹乃の車の中で木葉は物憂げに空を見つめていた。
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