護衛依頼 出発
お待たせしました。
遅くなってすいません。第25話投稿です。
昼食を終えた俺たちはギルドへ向かい、依頼の掲示板を見ていた。
「やっぱDランクだと殆どが討伐だな」
「そりゃそうですよ。Dランクからは個人の戦闘能力が求められますから雑用とか採集とかの甘ったるい内容の依頼なんてほぼないんですよー」
「マジか。まあ討伐のほうが稼げるからいいけどな」
そう言いながら依頼を探す。
「おや? コータローじゃないか。暫く振りだね」
聞き覚えのある声で後ろを向くとアッシュがいた。
明るい栗色の髪を後ろで束ね、やや中性的な容姿に男性にしては高めな声、動きやすそうな軽装の鎧にちょっとくたびれた感じの赤いマント、左右の腰についた剣帯には1本ずつ剣が挿してある。
「アンタか。暫く振りだな」
「聞いたよ、Dランクになったんだってね。おめでとう」
「どうも」
「これから依頼?」
「ああ、アンタもだろ?」
「まあね。おや、アレン君も居たのか。彼とパーティーを組んでるのかい?」
「はい、コータローさん達に命を救われて、ボクをパーティーに入れてくれたんです」
「そうかい。それは良かったね」
「アンタ、アレンと知り合いなのか?」
「アッシュさんは冒険者になったばかりのボクと一時期パーティーを組んでくれてたんです」
「アレン君を見てると心配になってね、僕のパーティーに入れたんだけど……その、仲間がね…」
「……そうか」
おそらくアッシュのパーティーメンバーがアレンが使えないと判断して追い出したんだろう。
「僕と一部の仲間は止めたかったんだけど、反対の方が多くてさ、結局アレン君自ら抜けたんだ」
「そうだったのか」
「仕方ありませんよ、ボクが役に立たないのは事実ですから」
「そんな事ないですよ。アレン君は最近頑張ったから魔法が上達しましたし、薬だって作れるようになったじゃないですかー」
「ああ。お前は最初の頃より成長してるんだからもっと自信を持てって」
正直言うと俺はアレンが使えないと思ったらすぐパーティーから外すつもりでいた。
けれど危険が伴う冒険者の世界にまだ幼いこいつを1人にさせても良いのかと思うとそんな考えは消えた。
どっかの孤児院とかに預けるという手もあったけど多分アレンは反対するだろうし俺自身、アレンを放っておけなかった。
だってまだ10歳の子供だもん、俺も一応大人だしそばにいてやらないとって思ったんだ。
それに仮にパーティーから追い出そうとするとウィルが止めるだろうし。
「コータローさん…ウィルさん…」
「ほらほら、男の子は直ぐに泣いちゃダメですよぉ」
そう言ってウィルは目尻に涙を浮かべるアレンの頭を撫でた。
「良かったねアレン君。ところで君達、依頼は決めたの?」
「いや、まだだが?」
「じゃあさ、僕と一緒に依頼を受けない?」
「アンタとか? 内容によるな」
俺がそう言うと、アッシュは1枚の依頼書を俺達に見せた。
「内容はここからマクベルまでの6〜7日間の商隊の護衛依頼さ。報酬は1万エルトだしこれも何かの縁だと思って一緒にどうかな? あ、因みに他のパーティーも何組か同行するから」
成る程。護衛依頼はまだ受けた事なかったし、そろそろ別の町にも行ってみようと思ってたから丁度いい機会だな。
報酬もデカイし受けない理由はないだろう。
「ふむ…俺は構わないけどマクベルってどこだっけ?」
「あれ? 知らないの? ヘルメリアまでとはいかないけどそれなりに商業が盛んな街なんだけど」
「そ、そーなのか。俺、遠い田舎から来たからこの辺の地理はまだ全部覚えてないんだ」
城に居たころ、この辺の地理は姫さんが俺にだけ教えてくれなかったので教官やオリヴィエに聞いてみたんだが、中々覚えられなかった。
「ふーん、そうなんだ。ところで2人はどうするの?」
「私もOKですよー」
「ボクは……」
「大丈夫だよアレン君。難易度はどちらかというと低めだし、最低でもEランクの冒険者を指定されてるから、何も気にすることなんかないよ。それに今の僕は誰ともパーティーを組んでないよ」
「そうなのか?」
「ちょっと色々あってね、抜けたんだよ…」
何かの思いに浸っていてるのか、アッシュはどこか遠い目だ。
「で、どうするアレン君?」
「…行きます。ボクは冒険者ですから」
「決まりだね。出発は今から1時間後だから10分前にここに集合してね」
「了解。あと1人だけ連れて行きたい奴がいるんだけどいいか?」
「それは後で依頼主に聞いてよ。多分大丈夫だろうけどね」
「分かった。じゃあ準備してくる」
そう言ってアッシュに見送らながら俺たちは宿へ戻った。
「ん? どうしたコータロー? 忘れ物か?」
宿へ戻るとカウンターにいるジョセフさんがそう言った。
「いや。ジョセフさん、アンジェいるか?」
「あのメイドさんなら今厨房にいるが…何だ、急用か?」
「ああ。実は依頼でマクベルに行くことになったんだ」
「護衛依頼か。で、メイドさんも連れてくんだな」
そう言われて頷くと、ジョセフさんは「ちょっと待ってろ」と言って、厨房へ消えていくとアンジェが出てきた。
隣にはミレーヌさんもいる。
「コータロー様。何用でございますか?」
「アンジェ、急なんだが俺たちは護衛依頼でマクベルに行くことになった」
「マクベルでございますか」
「で、お前はどうする? ここに残るか否か」
「私はコータロー様のメイドです。従者は主人に付き添うのは当然のことでございます」
「じゃあお前も行くってことだな」
「ええ。因みにマクベルには何日間滞在するつもりですか?」
「依頼では役一週間だけど、もしかしたらそれ以上になるかもしれない」
「そうでございますか……ミレーヌさん、急で申し訳ないのですが暫しの間休暇を取らせて頂きたいのですが?」
「勿論構わないさアンジェ、アンタのおかげでここまで繁盛したんだ。アンタ達には感謝しきれないよ。だから何日でもいいから羽を伸ばしてきな」
「…ありがとうございます」
「んじゃあアンジェ、20分で支度してくれ」
「畏まりました」
アンジェがそう言うと俺たちは荷物を取りに部屋へ戻った。
「とうとうコイツらを持ってく日が来たか」
俺は城を出る前に用意した野営用のテント等の道具一式や携帯食料が詰め込まれて膨らんだリュックサックを背負った。
このズシリとした感じも久しぶりだな。
今回は防具も付けてるから重さはさらに増している。
「コータロー様、準備は整いました」
「こっちもOKですよー。というか、持ってく物がこれしかないですからねー」
ウィルは革製の肩掛け鞄を指差しながら言った。
まぁ、寝巻きとかはアンジェのトランクの中に纏めて入ってるしな。
「俺らは終わったがアレンはどうなんだろ?」
「ボクも準備は終わりましたよ」
と、部屋の入り口のところでアレンが立っていた。
彼は革製の鞄を両肩に掛けて、同じく革製のリュックサックを背負っている。
薬品やら調合の道具やら詰め込んでるのか、パンパンに膨らんでいた。
「ん、そうか。じゃあ行こうか」
そう言って宿を出ようとするとジョセフさんに止められた。
「コータロー、これを持ってけ」
そう言ってジョセフさんが渡してきたのはお金だった。
「ジョセフさん、これはなんの金だ?」
「お前さん昨日、宿泊日数を延ばしただろ。これはその時払った金だ。1日分は抜いてあるがな」
「ああ、あん時か。確かに勿体無いよな。ありがとうジョセフさん」
「おう。アンジェさんにも渡すモノがある、ほら」
そう言ってジョセフさんはアンジェにずっしりと膨らんだ袋を渡した。
「これは……大量のお金が入ってますが、もしかして私のお給金でございますか?」
「それもあるが、俺逹からの個人的な礼みたいなもんだ。受け取ってくれ」
「……ではお言葉に甘えて」
アンジェは受け取った袋を大事そうに鞄の中に入れた。
「じゃあジョセフさん、ミレーヌさん。お世話になりました」
「ああ。頑張れよ」
「戻ってきたなら飯でも食いに来な」
ジョセフさん達に見送られながら俺逹はギルドへと戻った。
ギルドに戻ってみると、入り口の近くに武装した冒険者達が十数人と荷馬車が何台か停まっていた。
「あの馬車が今回の護衛対象っぽいな」
「でしょうねー。周りの冒険者さん達も同じ依頼を受けてるみたいですねー」
「そうか。なあウィル、1つの依頼を複数のパーティーが受注する事ってあるのか?」
「基本的には可能ですよ。主に討伐依頼か護衛依頼ですねぇ。こーゆう護衛依頼とかは護衛が多くいた方があらゆる危機に対処できるので依頼主やギルドも人員を多く集めてますねー」
「成る程な。そういや俺逹受けるって言ったけど、まだ受注手続きしてないよな?」
「そう言えばそうですね。アッシュさんが手続きを済ませてるなら話は別ですが...」
「ちょっとアンナちゃんのところに行って確認してくるから、お前達はここで待っててくれ」
俺がそう言うとアンジェ達は頷き、俺はギルドの中へと入った。
「アンナちゃん、俺達今から護衛依頼を受けるんだけど何か聞いてない?」
「護衛依頼…ああ、あの外にいる商隊の護衛依頼のことですね。コータローさん達はまだ受注されていませんよ」
「マジか。なら直ぐに手続きさせてくれ」
「分かりました。ではこの書類にコータローさん達の名前を書いて下さい」
アンナはそう言って1枚の書類を差し出した。その紙には何やら人の名前が多く書かれている。
どうやらこの護衛依頼を受注したパーティーのメンバーリストのようだ。
「これでいいか?」
一応アンジェの名前は書かなかった。
冒険者じゃないから一般人として連れていっていいか後で依頼主に聞いてみよう。
「どれどれ…はい、これで問題ないですよ。護衛依頼頑張ってくださいね」
「ああ」
そう言ってアンジェ達の所に戻った。
「待たせたな。やっぱ手続きされてなかった」
「そうですかー。なら後は時間まで待つだけですねー」
ウィルがそう言って暫く待ってると、一人の男が俺逹の前に立った。
「すみません、貴方がコータローさんですかな?」
「そうですが、あなたは?」
「これは失礼しました。私、この商隊の護衛を依頼したセルゲイと申します。本日の護衛、よろしくお願いします」
この男が今回の依頼主か。なんというか、裕福そうな服を着てでっぷりと肥えてる姿はまさに商人って感じの人だな。
「ああ、これはどうもご丁寧に。俺はコータロー・アサヒナ。そしてパーティーメンバーのウィルとアレンです。 で、こっちは俺のメイドのアンジェです。こちらこそよろしくお願いします……ところで俺に何か用ですか?」
「用と言っても大した事ではありません。今回の護衛依頼に参加してるパーティーの方々にはこうして宣伝も兼ねて挨拶に回ってるのですよ」
「そうですか」
「ええ、私はマクベルで店を開いていましてね、もし宜しければセルゲイ商店という店に一度寄ってみてください。サービスしますので
「分かりました。あ、そうそう一つだけお願いがあるんですが」
「なんでしょう?」
「アンジェは見ての通り冒険者じゃないんですが、同行させてもいいですかね?」
「それは構いませんが…何かあっても責任は取れませんよ?」
「問題ありません。自分の身を守れるくらいの技術は持っておりますので」
と、アンジェがそう言ったが実際にその通りであって、この前ウィルがアンジェと一緒に街を歩いていたらガラの悪そうな男達に絡まれたらしいが、アンジェが体術で軽く蹴散らしたらしい。
「それでしたらいいでしょう。では私はこれにて失礼します」
そう言ってセルゲイさんは去って行き、その数分後にアッシュと合流し、商隊は出発した。
馬車に乗るのかと思ったら徒歩での移動と聞いた時、ウィルはこの世に絶望したかのような表情をしていた。
そんな訳で俺逹はアースガルド皇国を出発し、商業都市マクベルへと向かっていた。
マクベルはここから北東にあり、馬車を飛ばしても3日はかかる距離らしい。
その距離を歩いて行くとなると3日以上はかかるかもしれない。
俺達が配置されたのは3台目の馬車でセルゲイさんは1台目の馬車に乗っており、ベテランの冒険者達が他の馬車より多く配置されている。
ウィル曰く、こうゆう護衛依頼は依頼主の安全が第一で荷物は二の次なんだそうだ。
まあ確かに依頼主が死んじゃったら意味がないもんな。だから彼が乗ってる馬車には人員を多く配置してるんだろう。
「コータローはどこから来たの?」
「ここからずーっと東にある山に囲まれた田舎からだよ」
「じゃあ山を越えて来たんだ。なんで冒険者になろうと?」
「別に大した目的じゃないさ。ただ、冒険者となって旅をして色んな場所を見てみようかと思ったんだよ」
「へー。ところでそっちの子、ウィルちゃん…だっけ? コータローの妹なの?」
「あー…なんというか…ん? どうした?」
答えようとしたら指先で肩をちょんちょんと叩かれたのでウィルの方を向いた。
「(お兄さん、アッシュさんには年の離れた腹違いの妹という設定で行きましょう)」
「(え? お前はそれでいいの?)」
「(構いませんよ。どうせ今回だけの付き合いですしなんか一々説明するのも面倒ですし、その方が後々楽になるんじゃないかなーっと思うんですよー)」
「(俺はそうは思わないが…分かった、今回はそれで行くか)……あぁ、ウィルはちょっと年の離れた腹違いの妹だ」
「へーそうなんだ」
「ああ。俺が子供の頃にお袋が病で死んで、数ヶ月後に親父が別の女性と再婚してウィルが産まれたんだ」
「成る程ね。道理で似てないと思ったけどそういうことだったんだ」
そう言うとアッシュは納得して満足したのか、再び前だけを見て歩いた。
ウィルが魔族である事は俺達と勇者達だけが知ってる事だからこれ以上、他人に知られるのは避けなければならない。
アッシュは信頼出来そうだけど、なんかこちらを探ってくるような感じで話してくるからまだ本当の事を言えるほどの信用は出来ない。
そんなこんなでアースガルドを出てから数時間が経ったが、今の所魔物や盗賊の襲撃はなく日も暮れたので1日目は見晴らしのいい高原で一泊することになった。
少し離れたところには林があった。
冒険者達は一斉に野営の準備をし始め、俺達もテントを建て始めた。
「コータロー、僕はあの林から燃えやすい小枝を探してくるよ」
「1人で平気か?」
「心配ないよ。僕だってCランクの冒険者だよ? それに何人か小枝を集めに行くらしいしね」
「ならいいけど、用心しろよ?」
そう言うとアッシュはニッコリと笑い、カンテラを持って林に向かって行った。
彼以外にも何人か林に向かう冒険者達がいた。
そして夜、アッシュが戻ってきたので焚き木を起こし、テントも張る事ができ、アンジェが作ってくれたスープで腹を満たした。
一体あのトランクの何処に鍋や調理器具等が入ってるのか不思議だが気にしたら負けだ。
「さて、腹も満たされたところで見張りと火の番を決めようか」
「そうだな」
野営をする時は全員で寝るのは危険すぎる。
寝ている間に魔物や盗賊とかに襲われたりしたら笑えないからな。
それに今回は他の冒険者もいるから中には盗みを図ろうとする奴もいるかもしれない。
まあ、各パーティーも見張りをするからそんな奴はいないと思うがな。
兎に角、代わり番こで周囲を警戒しながら火を絶やさないようにしなけれならない。
で、話し合った結果次の出発が朝の8時みたいなので6時間交代とし、俺とアンジェが前半、後半がウィル達だ。
「じゃあコータロー、時間になったら起こしてね」
「ああ、おやすみ」
アッシュ達はテントに入っていき、俺とアンジェは焚き火の火を見つめ続けた。
「そう言えばこうしてアンジェと二人っきりになるになるのも久しぶりな気がするな」
「そうでございますね。城を出てからはウィルさんも一緒でしたし、アレンさんにも出会いましたからね」
「そうだな…なあ、アンジェ」
「何でございましょう?」
「今更だけど後悔してないか? 城を出てさ」
「………」
アンジェは何も言わなかったが暫くすると急にクスクスと笑いだした。
「何が可笑しいんだよ…」
「申し訳ありませんコータロー様、あまりにも真剣な表情でそんな事を言うものですからつい笑ってしまいました。そうでございますね…多少、やり残した事はございますが、大した事ではございません」
「そうか…」
「それに私自身…好きな殿方の側に居たいのでございます」
「え? アンジェ、今なんて…」
好きな殿方? それって……
「フフ、冗談でございますよコータロー様、本気になってはいけませんよ」
悪戯が成功したかのように妖しく笑いながらアンジェは言った。
「そ、そうですよねー……ハァ…」
所詮、主人とメイドだけの関係か…いや、分かってたけどさ、なんかショックだなぁ。
……あれ? 俺さっきからアンジェの事意識してないか? 胸がドキドキしてきたぞ?
「コータロー様?」
「ハッ!? ど、どうしたアンジェ?」
「いえ、声を掛けても反応がありませんでしたので…もし眠いのであれば紅茶を用意致しますが?」
「あ、ああ、頼むよ。飯食ったせいかな、なんか眠くなってきたんだよね……」
これは嘘ではなくてホントだ。
「ではすぐにお入れします」
そう言ってアンジェはいつの間に用意したのか、ティーポットを取り出し、カップに紅茶を入れて渡してきた。
「お待たせしました。リフレッシュ効果のある紅茶でございます」
「ホントにすぐだな、ありがとう」
そう言ってカップを受け取り、1口飲んでみた。
爽やかなレモンに良く似た香りが口いっぱいに広がる。レモンティーっぽいが何か違う気がするが美味しいので気にしなかった。
「それにしても随分用意がいいな、こうなることは分かってたのか?」
「そうでございますね、見張り中は眠らないようにしなければなりませんので、こうして紅茶を飲んだりして、集中力を切らさないようにするのでございます」
「そうか…」
そう言って再び紅茶を飲んだ。
心なしかさっきより眠気が取れた気がする。
アンジェの口ぶりからして、何度か経験してるのだろう。
その後は何事も無く時間だけが過ぎて、交代の時間が迫ってきた。
「そろそろ時間だな。ウィル達を起こしに行くか」
「そうでございますね、コータロー様は先に睡眠を取ってください。私はウィルさん達に紅茶を淹れてから眠りますので」
「分かった」
そう言ってテントに戻り、寝ている3人を起こした。
「アッシュ、時間だ。起きてくれ」
「ん…おはようコータロー。交代だね」
「ああ。頑張れよ、何かあったらすぐに叩き起こしてくれ」
「分かったよ。お疲れ様コータロー」
そう言ってアッシュはテントを出てった。
あとはこいつらか。
「二人とも、交代の時間だ。起きろ」
そう言うとアレンはすぐに目を覚ましたがウィルは眠ったままだった。
「おはようアレン。よく眠れたか?」
「おはようございますコータローさん。なんとか…」
「そっか…ホントはお前にやらせたくはないけどそう言うわけにはいかないから頑張ってくれ」
「大丈夫です。ボクだって子供だからと理由で甘える気はないので」
「そうか…ならいいけど」
「じゃあ僕は行きますね」
「ああ」
そう言ってアレンはテントを出てった。
「あとはコイツだけか…ほらウィル、時間だからさっさと起きろ」
「ん〜…あと5時間寝かせてくださいよぉ〜…」
「お前が言うと冗談に聞こえないんだよ……ほらいい加減起きなさいよ。このまま朝まで寝る気ならそうはさせんぞ?」
そう言ってウィルの体を激しく揺すった。
「もぉ〜分かりましたよ起きますよ……お兄ちゃんのバカ〜」
そう言って嫌々ウィルは起きた。
ちなみに寝ぼけて言ったのか、お兄ちゃんと呼ばれて何かキテたのは内緒である。
「アンジェが紅茶を用意してるから早く行きなさい」
「はーい…ふぁ〜〜」
眠そうな目をこすりながらのそのそとテントを出て行った。
「よし、やっと寝れる……」
そう言って倒れるかのように横になると俺の意識はブラックアウトした。
感想・アドバイスなどございましたら何時でも言ってください。




