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お題『酒』
水辺には鳥がいる。
食べものは不足していた。
それでも鳥は集まってくる。
9羽、10羽と集まると酔い始める。
いやいやいや……。
スナックのママとの間に台がないと始まらないが。
日が門の中へ入ると、いつも台はそこにあった。
ム口。無口。
もちろん、台は話さない。
わたしも舌が回らないので、ちょうどいい。
静まりかえっている。
青の争いが始まった。
そういえば刀はあったが、ジッと耐える。
一寸先は闇。
音も門の中へ入ってしまった。
とっくに、わたしは酔っている。
1羽、1羽といなくなる鳥。
ちょっと酔いが覚めてくるとき。
スナックのママは、わたしを見る。
「閉店のお時間です」
わたしは言葉の重みを受け止めたあと。
ふらふらと帰り支度をするのだった。




