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お題『本、読書』
「文章が書かれるべくして書かれている」だとか。
「表現として合うものはこれ以上にない」だとか。
私たちは本を読む時、感じているかもしれない。
厳密に選び抜かれた言葉のエリート。
それが書籍化された本の正体である。
でも、世の小説家たちが睡眠時間を削りに削って。
「こんなのは、つまらない!」と。
消して消して消した言葉は、窓からスターダスト。
静かな夜の中へと飛び出して。
雪のように降り積もっていく。
間違えて捨てられてしまった。
ひとつの言葉を探そうとして。
壊さないように、優しく両手で掬い上げると。
肌を刺す痛みを伴いながら、じわりと溶ける。
書かれなかった言葉とは何であったのか。
私は独りになった時、考えることがある。




