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お題『猫』

 今日のお空は、くもり顔。

 ぽつぽつと、また泣きだした。

 夏まっさかりには似あわない。

 お日さまのいない部屋。

 ひとしきり空は泣く。

 ヒステリックな声をあげて。


 切り取られた庭のなか。

 子ねこのように、置いてきぼりにされた日。

 冷たい雨は、わたしを弾く。

 ——おまえなんかいらない、と。


 思いがけず傘をさしのべてくれたのは。

 顔のみえない君だった。

 雨を、代わりに弾いてくれる。

 アンバランスな音を奏でて。


 いつも決まって、わたしの手を引いてくれる君。

 屋根の下で、やわらかな毛布に包まれて眠る日々。

 そんな毎日が。

 ずっと続いていくと思っていたのに。


 わたしはまた、ひとりぽっち。

 心だけが、うるさくて。

 それは、雑音だらけの雨に似ている。

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