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紫露草

ここから先は「紫露草」のネタバレを含みます。

ネタバレを好まない方は本編からどうぞ。







 続いて「紫露草」です。

 紫露草は人物名で遊びました。

 まずはあらすじをどうぞ。




 とある科学研究室にて。

「室長、紫色の露草を発見しました」

「それは露草の変異種ではなく、紫露草という品種だ」

 その花言葉は「尊敬しているが愛していない」。

 部下は上司である室長を尊敬しているが愛していない。そう思って過ごしていた。

 けれど、室長との他愛のないやりとり、馬鹿らしい会話、とんでもないことを仕出かすのをフォローしているうちに、部下は心境の変化に気づく。

 これは星が綺麗なまま、月も綺麗だった物語。




 悲恋ものです。

 さて、この作品を読んだ方にはくすりとしてもらったと思いますが、この作品の印象深いところは登場人物たちの名前です。

 主人公はトウル・ワトソンという一般人の科学者です。この時点で笑う人は笑うでしょう。

 そのトウルの幼なじみの名前がアイリッシュ・ワーグナー。通称アイリーンです。わかる人はくすくす笑ったことでしょう。

 そして事務員のアドラー女史。もうここまで来たらホームズしか浮かばない。

 というところで室長の名前を見ると、エリサ・クリスティ。

 ちょっと裏切られた感があるでしょう? 奇をてらってみました。大方の予想を裏切り、別な推理小説の作者の名前をいただきました。

 こういう錯誤感が堪らなくて、私はクリスティを選びました。名前のバランスもよかったので、よしとしましょう。

 あと、お気づきでない方もいらっしゃると思うので言いますと、12話辺りまではトウルの日記なのです。トウルは第三者のような視点で日記を書くという独特な個性を持っているのでした。



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