死なない調律師
ここからは夏ホラ出品作品「死なない調律師」のネタバレを含みます。
ネタバレを好まない方はぜひ本編を読んでからいらしてください。
では、どうぞ──
さてさて、今回で夏ホラスペシャルも最後です。
夏ホラスペシャルのトリを飾るのは「死なない調律師」。
まずはすぱすぱあらすじをば。
「死なない調律師」
とあるコンサートホールにはこんな都市伝説があった。
「夜にそのホールのピアノを聴くと死ぬ」
そんなコンサートホールでピアノ調律師として働くことになった加瀬谷縁。
彼はそこでピアノに寄り添う幽霊の女性・由依結生と出会う。
普通より変調の頻度が高いピアノ、都市伝説に信憑性を持たせるに至ったコンサートホールの様々な事件、ちょっと癖のある加瀬谷の引っ越し先の住人たち。
いつしか"死なない調律師"と呼ばれるようになった加瀬谷は全ての謎を一つに繋げていく!
活劇みたいな文句になったな。
これの言葉遊びといったらやはりサブタイのあれですね。
今年も「いろは歌」にしました。
でも実質45話で本編終了して、最後の"せす"二話をキャラクター紹介に回しました。
では"せ"と"す"のキャラクター分けにはどのような意味があったのでしょうか。
まず、いろは歌全編を振り返りましょう。
いろはにほへと
ちりぬるを
わかよたれそ
つねならむ
うゐのおくやま
けふこえて
あさきゆめみし
ゑひもせす
漢字仮名混じり文
色は匂へど
散りぬるを
我が世誰ぞ
常ならむ
有為の奥山
今日越えて
浅き夢見じ
酔ひもせず
となるのはご存知かと思います。
訳は今回省きますね。
今回の該当部分"せす"は"せず"になっているのですが、これを単語に分解すると"せ"と"ず"になります。
古文で"せ"はサ行変格活用"す"の未然形。"ず"は助動詞で動詞の未然形にくっつく打ち消しの意を持つ助動詞です。
動詞"す"の意味は現代の"する"と同じ。助動詞"ず"は現代の"〜ない"と同じ。
と考えると。
"せ"で紹介された人たちは
叶李(三十年前の犯人)
細軒(調律師殺人の犯人)
梶(クリスマス事件の関係者)
半村(警備員殺人の犯人)
紗菜絵(黙秘した共犯)
灯(子ども不審死の犯人)
柚花梨(殺人未遂)
犯罪を"し"た人の集まり。
で、"す"の人はというと
富貴屋
柄仁枝
紫埜浦
箕舟
竜胆
加瀬谷
由依
特に何もして"ない"というかどちらかというと巻き込まれた系の人たち。
"せ"の人では"ない"人たちですね。
といっても、本音は梶さんも"す"に入れたかったんですけどね……
そんな言葉遊びでした〜。
尚、今回使用した私的"裏野ハイツ"の設定について、設定集を掲載したので、そちらも見てみてください。
夏ホラスペシャルでした〜。




