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第25話 友達の作り方extra3

 

 騒ぎの有った次の日の学校はどこか浮き足立っていた。

 校舎のどこかしらでヒソヒソと噂話が行き交う。

 ただの野次馬だよね。自分が関係ない場所から楽しんでいるだけ。


 教室に入ると当事者の一人である飯島由紀が何食わぬ顔で席に座っていた。


「由紀ちゃん!」私は由紀ちゃんに駆け寄る。

「おはよう。育ちゃん」

「……おはよう」彼女の隣の私の席に座る。

 どうしたら良いんだろう……。

 隣の席をうかがう。

 視線に気づいた由紀ちゃんがこっちを見て微笑む。

 これ、私が気をつかわれてるの?


 教室中の視線がこっそりとこちらを盗み見しているのを感じる。

 由紀ちゃんが昨日の当事者だと言うことをみんな知ってるんだね。


 私は当事者ではない。

 当事者になれなかった。


「由紀ちゃん、昨日はごめんね」

「んー、育ちゃんに謝られる理由がわかんないんだけど? 育ちゃん、何も悪くないよね?」

「……ごめん」関係ないと言われるのはこんなにもツライんだね。


 由紀は初めから私をあてにしていない。暴力の前では私は何の役にも立たない。


 むしろ公太が、私が由紀を守れると思っていた事の方が驚きだ。

 過剰な期待をかけられて、それに答えられないのがツライ。

 何で公太や幼馴染みたちは私を親分扱いするかな?

 今となっては幼馴染みたちの方がよほどケンカ強いのに、いまだに親分扱いはどうなの?


 由紀は私がケンカできるとは思ってない。だから由紀を守れなかったことで私に何も怒ってない。期待していなかったから、怒ることもない。


 それはそれで何かイヤだ。


 教室の空気が変わった。

 公太と鈴原が登校してきたときのいつもの雰囲気だ。


 公太がこちらを見る。

 私も公太を見る。

 学校では公太と絡むのは視線だけにしている。公太が嫌がるから。


 由紀ちゃんは公太に向かって軽く手を上げて、「おはよー、公太くん」と言った。

 公太が驚いた顔をする。

 私も驚いた。

 吹っ切れた由紀ちゃんは怖いもの知らずだ。

 昨日の今日で悪目立ちすることが怖く無いのかな?

 違うか。強がるためにわざと悪目立ちすることをしたのか。


 公太は視線を反らして無視を決める。

 鈴原が立ち止まった。

 そして公太を見上げる。


 公太は身を屈めて耳を鈴原の口元に近づける。

 まるで内緒話をするかのよう。


 公太は顔をあげると鈴原に優しく微笑んだ。

 そしてこちらを見る。

「おう」片手を上げて由紀ちゃんの挨拶に返事をした。


 公太は鈴原に視線を戻す。

 鈴原が公太に視線を返す。それから席に向かった。

 公太は彼女の後をついて席まで送った。



「公太くんが鈴原を脅して無理やり彼女にしてるって噂は嘘だとわかるよね」由紀ちゃんは二人を見ながら言った。


 そんな事はわかってる……。


 由紀ちゃんが私を見て驚いた顔をする。そして面白そうに、「育ちゃん、凄い顔してるよ」と言った。




「私って、あの時トイレで公太くんにレイプされたらしいよ?」

「はあ?」

 公太の驚いた顔を見て由紀ちゃんが面白そうに笑う。


 公太の家。

 放課後、私と由紀ちゃんは公太の家に遊びに来ていた。

 公太と由紀ちゃんは台所でお菓子を作っている。アップルパイを生地から作っているらしい。


 私は一人居間で座って公太が淹れた紅茶を飲んでいた。


「あの短い時間で?」

「ねー。そうだとしたら公太くん、凄い早漏だね」

「ちょっ!」公太が顔を赤らめる。「由紀、下ネタやめて……」

 由紀が笑う。「公太くん、下ネタダメなんだ?」

「いや……」何か言おうとして、そのまま黙った。


 公太は下ネタに弱いらしい。


「ごめんごめん。やめる。……育ちゃんの視線が怖いから」私を見ながら楽しそうに言う。

「育を煽れるのは由紀ぐらいだよ」


 そうだね。幼馴染みたちは私がにらむとみんな視線を外して大人しくなる。何でかな?


「かずくんも?」

「がずくんも」

「あんなにケンカ強いのに?」

「育だからね」


「ちょっと。私って何なの?」

「育だろ?」公太は真顔で私を見た。




 あの事件から後も何も変わらなかった。

 公太の悪名が増えただけだった。公太は何も気にしてない。

 由紀ちゃんは鈴原に続いて公太に無理やり付き合わされてる女の子ってことになった。いや、ムリがあるよね?

 由紀ちゃんは何も気にしていない。


 私は気にするけどね!

 公太の奴隷ハーレムにどうして私が入ってないの?!


 変わったことは、クラスメイトの何人かがずっと休んでいることぐらいか。


 ドウデモイイケドネ……。




「公太、最近由紀ちゃんと仲良すぎない?」

「友達と仲良くして何が悪いんだ?」

 夜の私の部屋。

 窓の外、公太が自分の部屋の窓からこちらを見ている。

 いつもの窓越しの逢瀬。


 虫が近寄らないように虫除けを窓際に置いてみた。効いてるみたい。


「公太、由紀ちゃんに気を使ってる?」

「……、まあな」

 由紀ちゃんを守りきれなかったことが負い目になっているんだね。

「由紀ちゃん、もう気にしてないんじゃない? 前より好き勝手してる感じだけど?」


 そう言うと、公太は呆れたような表情を浮かべた。

「育。みんなが育みたいに強くはない。由紀が強がって無理してる事位わかってるだろ?」

 うん、わかってる。

 だけど公太が私の事を強いと思っている理由がわからない。


「由紀ちゃんも公太に甘えすぎだよ。公太には私と言う恋人がいるんだから遠慮してほしいな」

「いや、俺の彼女は鈴原だから」




読んでくれてありがとうございます。

いいねボタンが実装されたらしいです。|д゜)チラッ

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