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転生ヒロインの学院生活  作者: 笛伊豆
第二章 学院本科

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40.謎

 本科に編入して三ヶ月くらいたつと私の学院生活も安定(パターン)化してきた。

 私はあいかわらずサエラ男爵様の寄親の伯爵家に居候している。


 すっかり馴染んだ使用人宿舎だけど、社交シーズンになって伯爵様ご一家が王都にやってくると、臨時の使用人が一気に増えて追い出された。

 その時は本邸の客用寝室を使わせて頂いて恐縮してしまった。

 もっともお屋敷にも社交目的のミルガスト伯爵家の皆様がお泊まりになっておられるので、私が使わせて頂いたのはどうも寄子の貴族用のお部屋だったみたいだけど。

 それでも豪華だった。

 ベッドに天蓋はなかったけどね(笑)。


 伯爵様ご一家には使用人に混じって一度挨拶したきりだ。

 個体認識されなかったんじゃないかな。

 だって私はまだデビュタント前だから、正式なご挨拶は出来ないのよ。

 そこら辺は執事の人が上手くやってくれた。


 社交シーズン中には伯爵邸で何度かパーティや舞踏会が開かれたけど私は出席しなかった。

 だってドレスもないしエスコートしてくれる人もいないし。

 出たくもなかったからいいけど。

 それ以前に招待されてなかったから、どっちみち参加は出来なかったけどね。


 ちなみにサエラ男爵家の人たちは王都に来なかった。

 男爵様ご自身は国王陛下にご挨拶したり領地について役所に報告したりするために上京してきたけど、やっぱり社交はしなかったみたい。

 地方の男爵なんかお呼びではないってご本人が苦笑いしていた。


 ミルガスト家の皆様がパーティだか舞踏会だかで出払っていて静かなお屋敷の応接間で一緒にお茶を頂く。

 サエラ男爵様(お兄様)との面談? だ。


「どうだい? 何か問題は?」

「ないです」

「学費はとりあえず2年分は支払い済みだ。

 あと、物入りがあったら言いなさい。

 我慢などしないように」

 するとあと1年半くらいは大丈夫か。

「ありがとうございます」

「寂しくなったら帰ってきてもいいんだよ?

 みんな待っている」


 いや、それはさすがに社交辞令でしょうけれど。

 それでも嬉しい。

「ありがとうございます。遠慮はしません」

 本当にいい人たちだ。

 しかもイケオジ。

 血の繋がった兄でなければ惚れていたかも。


 ちなみに男爵様はお兄様と呼ぶには歳が離れすぎてはいる。

 何せお子様方が全員、私より年上だ。

 先代の男爵様が私の母上とヤッたのは結構お歳を召してからだったらしい。

 母上は何を考えていたんだろう。

 ていうかメイドだったらしいけど経歴が謎なんだよね。


 母上の母上、つまり私の母方の祖母こそが「王族に連なる高貴なるどなたか」と契って母上を産んだ元凶なんだけど、その祖母の行方も不明。

 もっと言えば経歴も謎なのよ。

 いや、その「王家に連なる家」自体が謎なんだけどね。

 エリザベスも教えてくれなかった。

 まさか聞けないし。


 それでも私の経歴ははっきりしているから一応は調べて貰ったんだけど、母上も私を産んだ後は行方不明だ。

 不吉だ。

 出来れば知りたくないので聞いてない。

 とにかく私の母方は謎が多いのよ。

 そもそも、祖母がどうしてメイドをやっていたのかとか、どういう家系の人なのかもよく判らない。

 情報がまったくないらしい。

 エリザベスでも調べられなかった、というよりは調べていくうちにきな臭くなってきたので打ち切ったそうだ。

 怖っ。


 というわけで母方の先祖については忘れることにしている。

 父方つまりサエラ男爵家の経歴ははっきりしているし、男爵家の係累として認めてもらっているから別にいい。

 イケオジなお兄様がいれば十分。

 お茶を頂きながら存分に話した後、イケオジ男爵様はお小遣いをくれて去って行った。

 ありがたや。

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