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ベロニウス王国の九代目国王シーラ・ベロニウスは、初代女王として即位したのち、数々の功績を上げ、後世に名を残すことになる。
圧政を行う父王のもとで冷遇されていた第四王女、のちのシーラ女王は、臣下と民による謀反で父王が斃れたのち、臣下らに望まれ、次期君主となるべく研鑽を積まれた。王族教育は通常、幼少期から成人までの十数年かけて行うが、それを五年で終了し、レセン宰相の助力を得て、即位前から精力的に執務をこなしたとされている。
女王の功績として、生活困窮者や孤児を救済する救貧院、疫病対策の薬学研究機関、身分に関係なく誰もが平等に学べる王立学院の創設などが挙げられる。
なかでも王立学院においては、創設直後に初代首席を実力でもぎ取り、卒業後に王宮事務官として採用されたのは、シーラ女王が王女時代に縁のあった城下の元孤児だったという噂だ。
王立学院創設後は国内の識字率も上がり、有能な人材を多く輩出できるようになったことで、国力増強に大きく貢献した。隣国からは、その成功事例を参考にしたいと外交使節団が幾度も見学に訪れたと記録されている。
また、のちに宰相拝命の最年少記録を更新して宰相の職についたのは、北部領主の養子であり、王女の補佐役兼護衛騎士だったエイナル・ルオリであった。彼はのちに名宰相と言われ、周辺国にまでその名を知られる人物となった。
後年、シーラ女王と彼は正式に婚姻。
夫となったエイナル王配は権力の集中を防ぐことを理由に宰相の職を退き、王女のかたわらに常に寄り添い、その生涯を支えた。
ベロニウス王国はシーラ女王のもと、大きく発展し、人々は安寧と豊かさを享受した。
後世に残っている非公開の女王の肖像画はいくつもあるが、美しく凛とした女王の隣には、必ず夫であるエイナル王配が寄り添って描かれているのだった──。
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