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泥状のギギルコン「と」  作者: がら がらんどう
吉井とみきとみきと吉井
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第138話 初めての横スクロールアクション


 深夜2時。1泊27万円の空間及び16万円分の性的なサービスを捨てた自分はあほなんじゃないか。本日2度目の入店となったケンタッキーを出た吉井は多少後悔しつつ徒歩で病院に向かっていた。


 まあね、こんなもんはある種やらせだ。どうしても欲したらまたやればいい。しかしケンタッキーの部位指定ができないのはどうにかならんのか。あれ?前この話みきとしたっけ? いや、それともおれが1人で。よし、それでもいい。もう一度でもいい。だってさあ、人気の部位ってあるわけでしょ。多分。だったらそれを多めに用意しとけば。他はそうじゃないか。焼き鳥を買いに行って何が入ってるかランダムっていうのはさすがにないよ。まあでもあれか、知らんけど1羽を丸ごと使うってなったらどっかだけ余るのがっていう。でもそこに価値の有無が生まれた場合は水が流れるが如く値段に反映されるのが世の常。しかし、そこもひっくるめて欲しかったら買えよ、って言われたらなんも言えないんだけど。実際そこもひっくるめて欲しいから。その気になれば、今のおれがその気になれば、10ピースぐらいかって好きなのだけっていうのもできる。できるけど、それは生き方としてどうかなって。さっきも40万ぐらい無駄にしたけど、その無駄とは種類が違うんだよ。あ、着いた。


 病院の前に立った吉井は病棟を眺め、あの辺だと思われるという大体の目安で着地点を決め、屋上に向かって跳躍した。


 どうん、という地面を蹴る音と自分の体が跳ね上がった感覚に驚き、慌てふためいた吉井は、病棟を通り越し反対側の駐車場に左肩から激しく落ちた。


 あ、あぶねえ。全然制御できてねえよ。っていうかこんな飛ぶ? 恥ずかしがらずにもっと練習しとけばよかったなあ。でも痛くない。どういう理屈かしらんがそれはよかった。


 意味なくパタパタを服を払った吉井は近くにあった外灯から少し離れ、暗がりに立つ。


 しかし人いたらかなりしんどい行動だったな。でもここまで来たら一緒か。色んなことがばれるのも時間の問題だし。


 駐車場は一か所5、6台が固まって停まっている他は空いており、吉井は車の上に落ちなくてよかったとも思った。


 よし、じゃあ気を取り直して。今度は慎重に行こう。先程の失敗から慎重になった吉井は建物の壁際に立ち、そのまま真上に向かって飛ぶ。そして一瞬で到達した5階建ての病院の倍程度の最高到達点で苦笑いを浮かべていると、目の前にみなとみらいが見えた。


 まあ他もあると思う。横浜だよ、おれから見たら超巨大都市だ。でもおれみなとみらいしか知らないからその周辺が目立つっていうか。そこばっかり見てる風になってるだけで。でもそれは置いといて……。


 吉井はゆっくりを息を吐きながら下降し、出来るだけ衝撃を和らげようと膝関節を上手く使い着地したが、どがっ、というそれなりの音が辺りに響く。


 これは病棟にいる人気付いたか? まあいい、それも同じく置いといて。あー、もう、だからあ! こういうボケはいらんねん! 行き過ぎた次は真上に飛んで屋上に行けない? しょうもない! 誰が観るねん!


 吉井は外灯の2、3本でも叩き折って観ている側に自分の怒りをアピールしようかと思ったが、余計に辛い思いをするだけなので止め、一刻も早くこの場を離れようと建物の窓枠のようなものに適当に足を掛け屋上に降り立った。


 そうそう、この位置。この駐車場を見下ろしてたから。吉井は記憶を頼りに屋上を動き回ったが、夜という昼間とは違う視界環境に戸惑いを覚えつつ、これは一回懐中電灯を取りに行った方がいいのでは、という気持ちを押さえ込んで同じ場所を何度も探していると、ふと端末のライトを使えばいいことに気付く。


 おー、すげえ明るい。これはコンビニに懐中電灯を取りに行かなくてよか、あ。そこだ、壁のとこ。思ったよりすぐ見つかるっていう。

 端末のライトに照らされた入江は薄く目を開けたまま横たわっていた。

 

 吉井は入江の傍でしゃがみ込み、ケンタッキー店内で調べていた死亡確認に必要な事項、「心停止」「呼吸停止」「瞳孔散大および対光反射の消失」を見様見真似で行った結果、すべてに反応が見られなかったため死んでいると判断して立ち上がった。


 病衣を着ていた入江を見下ろしていると、吉井は自身の感情に変化が訪れていることに気付いたが、だから何?という思いが上回り端末のライトを切る。そして再び、静寂と暗闇。


 吉井はここまで無駄なことをしている自分がどういう表情をしているのか気になったが、自撮りは意識してしまって自然体ではいられないし、どうせ次の自分のターンで終わりだと思い、あっさり諦めた。


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