第二十七話:広がる可能性
なろうの規約変更でいろんなところで波紋が広がっていますね。自分も「とあるおっさんの~」の昔からのファンなので削除にはかなり驚きました。
そしてまたしても時間を過ぎて間もなく23時。どこかに一日を48時間にする錬金アイテム売ってませんかね?
とりあえず採取してきた薬草を全て〝ヒーリングポーション″に調合し終えた。なんとかすべて成功したので数だけは確保できた。
次の調合で使うのは〝イグナボム″だ。
実は存在忘れてたんだよな。使う機会がほとんど無かったためだが、フェアリーガードへの卸用で思い出した。
今回使うのは〝イグナボム″と各種毒草。前々から状態異常を引き起こすアイテムがあればいいと思って〝パーリィードラッグ♪″を作ったのだが、アレ液体だから相手に当てづらいということに気づいたのだ。
そこで思いついたのが『煙幕のように煙の中に毒成分を含めれば拡散できるのでは?』ということ。まあ、本音を言えば〝イグナボム″の存在を思い出したからこそ思いついた考えなのだけど。
そんなことはさておき、まずは定番の毒草から試してみたい。〝イグナボム″自体はすでに完成しているから調合の難易度は上がっているだろう。でも、〝アクアブリザドン″や〝ヴェノブリザスタル″の調合と比べれば簡単だろう。
「そんなことを思っていた自分が懐かしい」
つぶやきながら換気を行う。煙はセリムさん特性の蓋で問題ないが、気分的に。そのセリムさんとエイミさんは完成した調合アイテムを持ってフェアリーガード本部に向かっているので今は俺一人しかいない。
「さて、失敗した理由は……やはり毒草単体だからかな?」
以前セリムさんから聞いたアイテムが持つ魔力の話を思い出す。おそらく毒草の魔力が〝イグナボム″よりも少ないのが原因だろう。
というわけで毒草を一度〝ポイズンタブレット″に調合してからもう一度行う。今度は調合粉末も多めにしてより結びつきやすくしておく。
その考えがよかったのか、何とか成功した。
〝ポイズブロ―ジョン″・攻撃アイテム・R
投げて当たった場所に爆発する。その後毒煙が周りに広がる。
HP-120
【毒付与・小】:20%の確率で相手を【毒】にする。
想像通りの効果なので一安心。この調子で【麻痺付与・小】の〝パララブロ―ジョン″なんかも完成させた。
でも作っておきながら疑問に思ったが、魔族って状態異常になるのだろうか? もし意味がないのなら売り物にならないのでこんなのも作ってみた。
〝ポーションスモーク″・回復アイテム・HR
ポーションの一種だが瓶の中の液体を飲むことはできない。
瓶ごと地面に叩きつけることにより、そこから黄緑色の煙が発生する。その煙を吸い込んだプレイヤーにHP+80を与える。ただし、一人一回。
これはパーティーを組んでる人たちに売れそうだな。回復量が少ないが、一つで大勢のメンバーを回復できるのは需要があるはず。
ついでで完成したが、回復アイテムは新規二つあれば十分だろう。
そういうわけで、あと作るのは攻撃アイテム。とりあえず〝アクアブリザドン″は確定かな。これは広範囲系だから後は単発系だな。しかし〝グレンダイム″はすでに販売してるからまた新たに作らないといけない。
一応〝クリムゾンフォール″があるとはいえ、できればやはり目玉商品が一つは欲しい。
まずは最も重要な攻撃方法を考える。これまでの錬金アイテムの攻撃方法は爆発・雨・吹雪・稲妻。それ以外で単発に向いてる攻撃方法……直接殴るってそれだと投石で十分だな。
「う~ん、思いつかない。一度ダイブアウトしてリフレッシュしてこよう」
ダイブアウトしてキッチンに向かって冷蔵庫を開ける。中からほうじ茶が入った容器を取り出し、グラスに注いでのどを潤す。
適当にテレビを見ながら過ごしていると母親が帰ってきた。
「あれ? ずいぶん早いね」
「ちょっとあってね」
どうやら不機嫌のようなのでそれ以上は追及しない。過去に失敗してやけ酒に付き合わされた思い出があるからな。
「あ、ほうじ茶もらえる?」
「ちょっと待ってて」
もう一つグラスを取り出して渡すと一気飲みした。これはヤバいな。すぐに退散しよう。
なんとか捕まる前に部屋に戻ってくるもアイディアは思いつかない。そこでPCでいろいろ検索してみると面白そうなモノを見つけた。
さっそくダイブインして試してみることにする。その前に実際どうなっているのか見せてもらうことにしよう。
いつも通り樹海の誰も来ない広場に向かい、右手にはめている指輪を突き出す。
「確か顕現だっけ? では改めて、顕現せよ! アスフィリナ!」
指輪が光りだして空中に魔法陣が浮かび、砕けると同時にアスフィリナが現れる。
「お久しぶりです、ご主人様」
丁寧にお辞儀してくるアスフィリナ。というか、チョトマテ。
「そのご主人様って何?」
「契約主ですからご主人様と。いけないですか?」
「せめてマスターで頼む」
するともう一つの指輪が点滅し始める。もしかしてパルセードが抗議してる?
「……主は?」
今度は明らかに「抗議してます!」と言いたげに眩しく点滅する。こちらは間違いなくスフィレーンだよな。どうやら呼び方はそれぞれのプライドがあるようだ。
「えっと、どうしましょうか?」
「もう、なんでもいいです」
仕切り直しとしてアスフィリナにあるお願いをする。アスフィリナはすぐに了解してくれ、広場に向けて両手を前に出す。
「〔アーススピナ〕!」
その言葉により地面が振動し、次々と隆起していく。そのすべてが鋭く、まるで剣山のようだ。
これが思いついた攻撃方法。結局単発ではないのだが、鉱山のように密集している場所では単発よりもやはり広範囲のほうがいいだろう。それによくよく関考えれば単発系って普通のプレイヤーは攻撃系のスキルで十分なんだよね。
「このように地面から串刺しにする魔法です」
「えげつないな」
「一応私が出来る最大威力の魔法なんですが……」
しょんぼりしてしまったアスフィリナを慌ててなだめる。う~ん、こういうのは空の方は上手いんだよな。パルセードのことを知ってるから今度相談してみるか。
なんとか機嫌を直してくれたアスフィリナにその後も何回か見せてもらってイメージを固めてからルーチェに戻ってみるとセリムさんとエイミさんも戻ってきていた。
「どこか行ってたんですか?」
「ちょっと新しい調合の実験に」
行っていたと続けようとしたら急に眼をキラキラし始めるエイミさん。あれ? なんかスイッチ押した?
「それは新しい攻撃アイテムを発見したということですか!?」
「なんですかその反応?」
「ここ最近同じような調合ばかりだったので新しい情報が欲しいんですよ!」
ああ、そういうことか。確かにここ最近ようやく新しい調合をし始めたばかりでそれまではルーチェの商品かフェアリーガード用のアイテムしかしてないな。錬金術師としてそれはどうなんだろうか?
「それで!? どんなアイテムなんですか!?」
「えっと、まだアイディアだけで上手くいくとは限らないですよ」
「そうなんですか~」と残念そうにこれまでのことを書いたノートを広げて別のノートにまとめる作業を始めた。それがここしばらくのエイミさんの日常だと気付き、本気で焦り始めたのは秘密だ。
一度両手で頬を叩いて気合を入れ直し、机に向かう。ノートを開き、アイディアを書き記していく。
(イメージはさっき見せてもらった〔アーススピナ〕だ。でも土属性の攻撃アイテムは作ったことが無いからいきなりは成功しない。となれば、同じように鋭いモノを作るには固形物だから……ベースの素材は〝スノープリズム″にしてみよう)
〝スノープリズム″は広範囲に吹雪を起こすアイテム。それを全て固形にするには吹雪を固めるのが一番早い。こういう時の素材は幸いなことに近場にある。
再びアスフィリナを顕現させ、保護しているパニヤードたちから〝パニヤードのきのこ″を分けてもらう。その胞子の力でなんとか固めることはできるだろう。これで第一条件はクリア、だろう。お礼に俺のMPが尽きるまでアスフィリナを顕現させておく。今日くらいは指輪の中にいないでみんなと遊んでもらおう。
次の課題は鋭い穂先だ。正直これさえクリアできればあとは何とかなると思っている。地面に設置する方法は劣化版の〝ライジンディスク″を利用すればいい。攻撃力が低くてどうしようかと放置していたが、どんなものも素材として利用できるのが錬金術の強みだ。
さて、どうしようかね。
回復効果を持つ煙ってあるんですかね? 自分がプレイしたことあるゲームでは見たことないのですが、どなたか「○○というゲームに登場してたよ」と言う人ぜひ情報下さい。
ではまた来週。




