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VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第三章:希望を照らす想い
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第二十五話:シュリちゃんの魔武具

今回いつもよりもかなり投稿が遅れて申し訳ありません。何度も「こうじゃない、ああじゃないか?」と悩んでしまいました。そろそろ頭が限界ですかね?

「夜分遅くにすみません」

「そんなに遅くないから大丈夫だよ」


時間的には夜11時過ぎ。正直これくらいなら普通に起きてる時間帯だ。


「それで相談なのですが」

「うん」

「その前に、コレを見てもらえますか」


シュリちゃんが出したのはウィンドウ。あれ、武器じゃないのか?

ウィンドウを見せてもらうとそこに表示されているのは一本の剣。見た目は鉄でできた普通のロングソードみたいだが、いったいこれが何だというのか。


「このロングソードなんですが、例の魔武器なんです」

「え、そうなの?」

「はい。それでこれが性能です」


ウィンドウを下げると確かに性能が書かれていた。どれどれ……



〝マジックソード″・長剣・R

見た目は普通のロングソードだが、持ち主が戦闘に入ると刃が若干発光して攻撃力を増す。

【攻撃力上昇・小】



説明を見せてもらった第一印象は「マジックソードならもう少し外見を何とかしろよ」だ。

それはさておき、付属する効果が【攻撃力上昇・小】だけなのは寂しいな。これは作った人の【鍛冶職人】レベルが足りなかったからなのだろうか。


「それで、私が作った同じマジックソードがこれなんです」


シュリちゃんが自分のアイテムウィンドウから取り出したマジックソードは見た目全く同じだ。【看破】を発動させて性能を確認す……る?



〝マジックソード″・長剣・R

ロングソードと同じ外見でありながら性能はまるで別物。

【攻撃力上昇・中】【氷属性付与】



「えっと、どういうこと?」


ここまであからさまに性能が異なってると間違いなく何かしら要素が関わってくるはずだ。先ほども考えた【鍛冶職人】レベルとか、素材とか。


「まず、同じように【特級鍛冶職人】の方が作ったマジックソードが先ほどの剣です」

「となると、素材の違いでああなるの?」

「おそらく間違いない、と思い……ます」


なぜか語尾が弱くなるシュリちゃん。そういえば【錬金術】で作ったインゴットってシュリちゃんしか使ってないのか。それだと憶測にしかならないよな。

それに気づいた俺だが、シュリちゃん以外の人にインゴットを渡すのは危険だ。「何で今まで隠してたんだ!」って怒られるのは目に見えている。


一応知り合いとしてはリンネとルーシアの二人がいるが、迷惑をかけるのはさすがに悪い。となると、憶測を確かな事実に変えるために、俺の知り合いで他に鍛冶職人かつ俺のインゴットを使ってる人物…………







「ふむ。これでロングソードを作ればいいのか?」

「ああ、ちょっとした実証実験みたいなものだ」

「……爆発したりしないよな?」

「それは安心してくれ」


シュリちゃんと一緒に訪れたのはオウルの工房だ。オウルの実力は知らないが、シュリちゃん曰く「アルケさんが装備している鎧を見る限り【上級鍛冶職人】は超えていると思います」とのことなのでお願いすることにした。何気にすごい実力者だったんだな、オウル。


俺が感心していたあっという間にロングソードの形をしたマジックソードは完成。早ぇー。


「これでいいのか? これだとマジックソードだが」

「ああ。そのマジックソードが欲しかったんだ」

「それならいくらでもあるぞ? なんでわざわざ」

「あの〝清鉄″を使ってほしかったんだよ」


俺がオウルと話している間にシュリちゃんはマジックソードの性能を確認していた。そして俺に向けて頷く。つまり、性能は同じということだ。


さらにお願いして弟子の一人に同じようにマジックソードを作ってもらったところ性能はほぼ同じだが【氷属性付与】は無かった。


ついでに同じく【錬金術】で作った〝鉄″の方でも試してみた結果。オウルと弟子両方に【攻撃力上昇・中】が付属され、オウルが作ったマジックソードには【裂傷・小】という効果が付属された。効果は『切り付けた相手に更なるダメージを与える』。


「まとめると【錬金術】で作った〝鉄″を使えばエリア3で手に入るインゴットの効果を強化した効果が付属される。また【鍛冶職人】のレベルが高い人ならさらなる効果が見込める」


俺の言葉にシュリちゃんも同意する。これによりまたしても【錬金術】の新たな価値が判明したわけだが、これってかなり面倒なことだよな。いまだに〝職人の心得″を俺以外のプレイヤーが発見したという話は聞いたことないし。

まあ、黙ってれば何とかなるでしょう。それに各種族の街には図書館があるのは知ってるからもしかしたらそこに置いてあるかもしれないからな。


「それで、この剣いくらで売れると思う?」

「ふむ。ここまで性能が上がるとなると10万セル以上は確実じゃの」

「そうか。ならそこにもう一つ情報を加えてほしい」


俺がオウルに先ほどシュリちゃんが教えてくれた『この剣の劣化版マジックソードが8万』ということを伝えて再度いくらで売ればいいか訊く。


実は今回の相談内容とは『私が作った魔武具の方が効果高いのですが、いくらで売ればいいと思いますか?』なのだ。錬金アイテムなら何となくわかるが、武具は専門外だ。

そこで長らく鍛冶職人をしているオウルに相談して値段を決めてもらうことにしたのだ。なお、さっきの実験はついでのようなものだ。単純に俺が知りたいだけだった。


「その状況なら15万でいいんじゃないのか?」

「倍だと16になるが?」

「いくら高くしたところで本当に欲しい者はいくらでも金を積むものじゃ。なら倍よりも少し低めに設定しておけばおのずと性能が低い物はさらに安くなる。結果として倍以上の差が付いているから区分けが自然と形成される」

「それでも文句を言うやつは?」

「聞く耳持たずでいいじゃろ。あまりしつこいようなら剣を売るのを止めるか『ならより性能がいい剣を持ってこい!』と強気で言えば相手も引き下がるじゃろう」


チラッと見るがシュリちゃん思いっきり首を左右に振ってるよ。俺もシュリちゃんがそんなこと言えるとはとても思えない。ここはあのNPCの人にお願いしてもらうことにしよう。


俺たちはオウルにお礼を言い、シュリちゃんは掲示板にマジックソードを始めいくつかの魔武具の情報を掲載。さて、どうなるかな。






翌日は月曜日なので学校で勉強だ。それを過ごし、昼休み。いきなり努が俺に頭を下げてきた。ついでに空も。


「そこまでして欲しいか?」

「「強力な武器が手に入るならいくらでも下げる!」」


この二人の反応からわかるように、シュリちゃんが情報を掲載してからの掲示板はまさに祭り状態となった。掲載情報には『販売場所は私の工房横のオートショップ。開始時間は現実時間の8時、13時、18時、22時に分け、それぞれ5~10本ずつ』というコメントも書かれており、情報が掲載された瞬間からシュリちゃんが掲載前に設置しておいたオートショップ付近に集結しているらしい。


あ、オートショップっていうのは自分の店を建てた、もしくは買ったプレイヤーのみが設置できる物で、見た目や売られているアイテムの表示形式、買い方など全て現実の自動販売機と同じ。

すでにスクリーンショットなるものが掲載され、そこには普段はジュースとか飲料水が表示されているところにマジックソードやら同じくらいの性能を持った槍や斧などの武器、そして盾が表示され、それぞれの下に『購入』と書かれたボタンがある。


「確か購入できるかどうかはクジなんだろ? おとなしく運命に身を任せろ」

「それでもお前なら何とか一本くらい確保できるだろ!?」

「そうだよ兄さん! かわいい妹のお願いなんだよ!?」

「というかなんで空がいるんだ? お前弓だろ?」

「今一緒にパーティー組んでる子が装備してくれれば戦力の増強につながる!」

「ならその人が当たることを祈れ」


二人の懇願を無視して弁当を食べる。さすがに身内や知り合いだからといって不正はダメだ。






その後、調合を繰り返しているときに22時を回り、結果を聞いてみると二人とも外れたらしい。「まあ、次がんばれ」と伝えておいたので、意味を考えればすぐにでも復帰できるだろう。



数日後シュリちゃんから≪オートショップ撤収完了しました≫とメールが届いた。そう、俺が調合していたのは〝清鉄″で、待ってるプレイヤー全員に魔武具が行き渡るようにしたのだ。中には何回か当たった人もいたようだが。

なお「どうやって作った?」などの質問もオウルに事前に聞いておいた通りに答えて納得してくれたようだ。さすがに俺のことは内緒にしてもらっている。



さて、これでエリア3のほうは大丈夫だろう。

俺は俺で、いい加減ルーチェを再開すべく、新たな調合に挑戦しよう。

次回から少し錬金術回が続きます。一応メインは錬金術だから問題ないよね?


次回はなんとかいつも通りの時間に投稿できるようがんばります。

どこかの課長を見習って冷えピタでも買ってこようかな?

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