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VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第三章:希望を照らす想い
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第六話:専門家に相談してみよう

久しぶりにちゃんと22時に投稿。いや、これが本来あるべき姿なんだよね。ハハハ、はぁ~。

何にせよ情報は必要ということでシュリちゃんとリンネの二人と連絡を取ることにする。フレンドリストから二人宛てに『質問があるのでお時間もらえるかな?』とメールを送った後でリストのシュリの名前が黒くなっているのを見つけた。つまり、シュリちゃんは今ダイブインしてないということだ。


一方でリンネのほうは白文字表記なのでおそらく今も商売をしているのだろう。


(さて、連絡が来るまでこちらも少しでも情報を……ん?)


何か音が聞こえたと思ったらそのリンネからリンクチャットが届いていた。


《ハロハロ~。どうしたの急に?》

《ちょっと質問があってな。少し時間をもらえるか?》

《構わないよ~。今はどこも攻略重視であまり商売にならないから》

《なら直接話したい。前と同じところにいるのか?》

《そうだね~。なら転移泉に移動するよ》

《助かる。こちらもすぐに移動する》


そこでリンクチャットを切って急いで転移泉を目指した。





到着した転移泉で転移先をドワーフ族エリアに指名し、転移するとすぐ目の前にリンネがいて思わず「おわっ!?」と変な声を上げてしまった。


「あはは。タイミングバッチリだね」

「驚かすなよ」

「いいじゃん。せっかくフレンドになったのに連絡来ないからちょっと悪戯したくて」


ペロッと舌を出しながらそんなことを言われたらこちらからは何も言えない。事実だしな。


「それは悪かったよ。それじゃさっそく話を……」

「ちょっと待った。こんなところで話す内容じゃないでしょ? 近くにいいお店あるからそこに行こ?」


そう言うと俺の腕をつかんで走り出すリンネ。そのまま数分走らされ、たどり着いたのは女性受けしそうなオシャレなカフェタイプのレストランだった。


「最近見つけた穴場なんだ。あ、店員は全員NPCだから何言っても問題ないよ」

「それはたすか……なんでそういう話だと?」

「私の勘。案外外れたことないんだけど、ビンゴだったみたいだね」


やれやれと両手を上げ降参する。そして適当に軽食みたいな料理を注文したリンネはこちらに顔を向けてきた。


「それで、何を聞きたいの?」

「ああ。〝黒曜虫の甲羅″というアイテムが欲しいんだが、知らないか?」


ここで俺が考えた道筋は二つ。

知っている場合は情報をできるだけ入手し、俺一人で難しいようならばブレイズのメンバーを借りる。ラインたち主力勢は第三エリアにいるが、ブレイズには他にもたくさんのメンバーがいるから何とかなるだろう。


もう一つは知らなければすぐさま解散。面倒だがダイブアウトしてネットや掲示板から情報を探る。あまり得意ではないが、こちらは空の協力が得られるだろう。好物でも作ればどうにかなる相手だからな。


「へ!? あんな時代遅れ何に使うの?」

「じ、時代遅れ?」


どういう意味だという表情をした俺にリンネはため息をつく。


「そういえばアルケさんは独自の防具職人さんがいるんだっけ? なら知らなくても無理ないか」

「ちょっと待った。なんだその独自の防具職人って?」

「有名なプレイヤーとなると装備を真似したがる人が増えるんだよ。それで錬金アイテムとかで有名なアルケさんも真似したいっていうプレイヤーは多いんだよ」


つまり、俺のコスプレみたいなものか? うわ、想像したくない。


「でも、アルケさんが装備している防具ってプレイヤーメイドで作った人誰もいないんだよ。その鎧も前の鎧もね。あ、でも前の鎧が妖精族の街を守ってる部隊の人たちと似ているからアレに関してはNPC作品だって噂だけど……もしかしてそれもだったりする?」

うーん、どこまで話していいのやら。まあ、誰かは特定できないだろうからいっか。


「確かに前の鎧もこの鎧もどちらもNPC作だよ。悪いが誰かは言わないぞ」

「ううん。それだけでも十分。ならいつか作れる可能性が出てきたからね」

「は?」

「これも知らないの? NPCが作った作品は必ずプレイヤーが作れるようになってるの。運営もそれは保証してくれてる。当然、レシピとかの公開は一切ないけど」


へぇ~、そんなこと言ってたのか。でも、このヴィリディアメイルは翡翠とメノウが必要だ。今のところ天然、つまりドロップや洞窟での発見の報告はないから当分同じものを作るのは無理だろうな。

俺も今のところ鉱物をシュリちゃん以外に与えるつもりはないし。


「さて、脱線したのはこちらだが、そろそろ本題に戻っていいか?」

「あ、うん。〝黒曜虫の甲羅″だよね」


するとリンネは右手を動かし始めた。その動きからウィンドウを表示し何かをしていることはわかるがそれが何かさっぱりわからない。しかし、それは数秒後判明した。


しばらく動かしていた指で何かを押すような動作をした途端リンネの前に両腕で抱えられるほどの黒く光る甲羅が現れた。


「これが〝黒曜虫の甲羅″だよ。私も持ってるのはこれ一個だけだけど」

「見た感じ頑丈そうに見えるけど、なんで時代遅れ?」

「アルケさんの言う通り防御力はそこそこ優秀なんだけど、元が虫のせいか耐久値が低いの。同じ防御力でインゴットで作った鎧とかと比べると耐久値が半分になることもあるから」


なるほど、そういうことなら確かに使い物にならないな。


「発見された当初は高値で取引されたけど、今となってはNPCに売って小遣い稼ぎくらいしか用途がないね」

「だからこそ、時代遅れか。ちなみに、黒曜虫自体は狩りやすい敵か?」

「一番近い森林でも出てくるから弱い部類だと思うよ。でも、欲しいのならもっといい手が今はあるじゃない」

「いい手?」

「……ねえ、さすがにアップデートの内容くらいは確認してるよね?」

「いや、別に。さらっと見て錬金術関連があるか確認するくらいだな」

「えっと、そこそこ錬金術とも関連するものだったんだけど、まあそれは後で確認してみてよ」


その時注文していた料理が運び込まれたので一旦食事にすることに。俺はハンバーガーのようなものでリンネはパスタのようなものだ。なお味は食べられなくないレベルとだけ言っておこう。


レストランを出ると先に出たリンネが振り向いた。


「悪いね。おごってもらって」

「情報量だと思ってくれ。それで、これからどこに行くんだ?」


そう。食事が終わり黒曜虫についてさきに訊こうとしたところで「甲羅が目的ならいいところがある」とリンネが言ったのだ。


「この時間ならちょうど知り合いがインする時間なの。あの子深夜にしかインしないから」

「その子のところに行くのか?」

「そう。あの子なぜか虫系統の装備を好んで素材に使うから多分余ってるはずよ。アルケ、コルならあるでしょ?」

「ああ、そうだな……」


若干戸惑う口調になったのは訳がある。このところほとんど【錬金術】しかしてこなかったせいでコルはまもなく30万を超えそうなのだ。ルーチェを運営するために売り子になった皆様には給料を支払ってはいるが全く減る様子が無い。いや、無いよりはいいのだが、さすがにここまでいくとなぁ。


そんな俺の苦悩を知らず「あるなら大丈夫。ついてきて」と先導するリンネ。

来た道を戻り、転移泉を通り過ぎ、前にリンネに会った露天職人が密集しているエリアに到着する。

それでも歩みを止めることなく歩き続け、ようやく一軒の露店で止まる。


「ハロー。元気してる?」

「そっちこそ。あら? お友達?」


事前に虫系統を好んでいると聞いてたから元気系かと思いきや、見た目はおとなしそうな女性だ。

ツインテールにした茶色の髪を肩まで伸ばし、トレンチコートのような緑色の服に白い軍服みたいな服を着ている。シュリちゃんもそうだが、服装だけ見ればとても鍛冶職人には見えないな。

……翠色の鎧を着ている錬金術も珍しいと言えば珍しいか。


「どうも。アルケと申します。リンネとはフレンドですよ」

「……あ、アルケ!? あの錬金術のお姉さん!? ちょっとリンネ! あんたこんなにすごい人と知り合いだったの!?」

「る、ルーシア? どうしたの? 目、怖いよ?」

「当たり前でしょ! この人私たち生産職の一番星みたいな人じゃない!」


おいこら。なんだその要らない称号は。

というわけで、新章突入ということで新キャラです。

三章では新キャラ、そして既存プレイヤーの出番が増えるのでお楽しみに。


アルケ「いや、それが普通のVRMMO小説じゃないのか?」

作者「それはわかってるけど、なぜか考える新キャラがNPCに偏る不具合が……」

ティニア「これ以上恋敵は必要ないのですが」

アルケ「ん? 何か言いました?」

ティニア「いえいえ♪」


作者「次回も水曜日22時投稿目指してがんばります」

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