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VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第三章:希望を照らす想い
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第一話:新たな日々は忙しい

今日から始まると言っておきながらこんなに遅くなって本当に申し訳ありませんでした! 体が弱いわけではないのですが、風邪をひきやすい自分にとって冬はまさに地獄です。

あと、章分けは明日行います。


そして日曜日、無事に1000万PV突破しました! どうやってお祝い&お礼をすればいいか考えてたらもう水曜日。そろそろ企画を決めないと……


では、第三章のはじまり、はじまり~。

アップデートも無事終わり、アトリエと合体した新装ルーチェが開店して三日。初日こそ忙しかったが今となっては落ち着いて新たな錬金術の習得に没頭している……はすだった。


「〝グレンダイム″調合完了! 持って行って!」

「はい!」


調合したばかりの〝グレンダイム″を籠に入れて下へと降りる女性。その人は新たにルーチェに雇った遊女さんだ。今日が初日なのでいろいろと教える手はずだったのだが、その目論見は見事に崩れた。


その理由は今もなお店の外にまで続いてる行列にあった。


(次は〝スノープリズム″か。なんでこんなに客来るんだよ!)






もうそろそろ日付が変わるころ、ルーチェは閉店時間となった。待っていたのに買えなかったプレイヤーからは「もっと営業延ばせ!」とか「今必要なんだ! 開けてくれ!」なんて声も聞こえたがこちらにもリアルの都合があるので無理だと告げるとしぶしぶ帰ってくれた。


「本当にすいませんでした」

「いえ。さすがにこれではしょうがありません」


先ほどの女性、確か名前はネルさんは笑っていたが足が震えているのが目に見える。


「お疲れでしょう。今日のところはゆっくりお休みください」

「申し訳ありません。お言葉に甘えさせてもらいます」

「それじゃ、今日は私の部屋貸してあげる。行きましょ」


ネルさんの手を取り三階の部屋へと案内するマリルさん。立派に先輩やってるな~、なんて思うがネルさんは遊女としてもマリルさんの後輩らしいので、ある意味当然のことなのかもしれない。


「セリムさん、在庫の状況はどんな感じですか?」

「草関係は問題ないし、魔力石も十分。でも、この調子が続くと近いうちに危なくなるかも」

「ですよね~」


三日前の開店より前は改装のためルーチェは営業してなかった。その間に集めた素材のおかげで今も経営できているが自分もセリムさんも調合する日々を送っており素材が減る一方だ。



なぜここまで錬金アイテムを買い求めるプレイヤーが多いのか、それはアップデート前に達成したあることが関係している。

それは、とうとうエリア2の最終ダンジョンの発見だ。攻略こそアップデートが終わってからだがすでにやばい状況であることが判明している。


まず、出てくるモンスターがアシッド系と呼ばれる武器の耐久値を減少させる能力を持つモンスターばかりらしい。そのため攻略には遠距離可能な魔法使いが必須となっている。

どこのギルドも魔法使いはいるが質と量が異なるのも当然のことだ。

またCWOはVRMMOということもあり、やはり剣や槍などの武器系をメインとする人が多い。そういう人たちは耐久値を気にしながら戦わないといけないので普段の戦いができなくて困っている。


そこで注目されたのが錬金アイテムだ。

魔法使いがいなくても遠距離攻撃可能で、誰でも使える。お値段もお手頃。しかもアップデートが終わってようやく〝グレンダイム″が発売開始になったこともきっかけとなり買い求める攻略組が増えてきたのだ。

自分としても錬金アイテムが評価されているのは非常にうれしい。最初はクズスキル扱いだった【錬金術】が今では『ギルドに一人いれば攻略が楽になる』とまで評価されているのだ。これほどうれしいことはないだろう。


しかし、それとこれとは別だ。改めて残り在庫を確認し、三日間の売り上げから計算するとあと一週間以内には在庫がなくなる。


「やはり明後日は休みにするか? 月曜日だから忙しい人も増えるだろうし……ってメール?」


したくない決断をしかけたところで届いたメールを確認する。送り主はラインだ。


「何々? 『明日〝グレンダイム″を20個予約したい』? できるわけないだろうが」


すぐさま『予約を引き受けてる状況じゃない』と返信し、今後の予定を立てる。

明日いきなり休みにするとプレイヤーからの批判が怖いのでやはり週末は営業し、平日になったら一旦素材回収に切り替えよう。


決断したことをセリムさんにも告げると「私もそうしたほうがいい」とお互い意見が一致したので今日はこれでダイブアウトした。







翌日、今度は努が直接交渉してきた。


「だからどうしてもいるんだ!」

「欲しかったら並べ。昨日も答えたがそんな余裕はない」

「そこをなんとか!」

「できたら初めから答えてるよ」


それでもなお食い下がる努にさすがに違和感を覚える。いくらなんでも焦り過ぎてる。

そのことを追及すると「え、それは」とは「ああ、でも」とか話せないような態度をとるので「いっそのこと、ブレイズへの協力取り消すぞ?」と脅すと観念したのか答えてくれた。


「お前アップデートの内容どこまで理解してる?」

「どこまでって、各種族エリアの拡大とスキルの称号化と……他なんだっけ?」

「そうだと思ったよ」


ため息が電話越しに聞こえてくる。


今回のアップデートで追加された目玉は各種族エリアの拡大、つまり他の街にも行けるようになったことやスキルランクを5まで上げ、さらに上限まで上げるとそのスキルが称号になり、スキル枠が空くという情報だ。いまだにランク5の情報は出てきてないが、今そんなことを明かすということはランク5にすでになっているもしくはもうすぐランクアップするプレイヤーがいるということだ。廃人どもめ。


そこまで思い出してようやくラインが求めているものがわかった。確かにこれも目玉だったな。


「ギルド機能拡張だっけ?」

「正解だ。むしろこれが一番重要だぞ?」

「俺ギルド加入してないし」


ギルド機能拡張。文字通りギルドシステムを拡張できるのだが、その条件はエリア3に到達することらしい。正直何でそんな仕様にしたのかさっぱりわからない上に、なんとこれ先にエリア3にたどり着いたギルドには特典があるらしい。


「で、どんな特典だっけ?」

「本当に興味ないんだな。個人職人の職場と連結することができるんだよ」

「連結?」

「具体的にはその職場、お前からすれば工房だな。そこに直接行ける転移魔法陣がギルドに設置されるそうだ」


へぇ~、あの魔法陣があるのは俺の工房だけじゃなかったのか……ってちょっと待て。


「そこに相手職人の意思は無いのか? 強制なのか?」

「そんなわけあるか。当然了承の上でだ」

「そうか、安心したよ」

「ただ、職人にも悪い話じゃない。職人プレイヤーは戦闘スキルが限られるから採取できる素材が不足することがある。そこにトップギルドとのパイプができるからどちらも得できるってことだ」


言いたいことはわかるが、それならギルドの所属すればいいのでは?という俺の疑問をまるで読んだかのように努は続けた。


「今のギルド内の職人スペースは正直微妙だ。あれなら自分で店を持ったほうがいいし、実際ギルドを辞めて店を出したプレイヤーも多い」

「ならなんで特典なんだ? 全体にやればいいのに」

「それは運営に言ってくれ。俺も知らねえよ」


その後も話を続けたが結局俺は努のお願いを聞くことはなかった。


「悪いな。昼飯遅くなった」

「いいよ。努さんと何話してたの?」


出来上がったオムライスをテーブルに置くといきなりそんなことを聞いてくる空。大した話ではなかったのでそのまま伝えてると「あ~やっぱり兄さんわかってない」と言われてしまった。


「いい、兄さん? さっきの話からして一番影響しているのは兄さんなんだよ?」


真剣な目をする空とさきほどの努の話を合わせて整理する。


「つまり、あれか? 俺のルーチェと直接関係を結びたいギルドが多いってことか?」

「イエス。あとは高レベルの武器職人だね」

「シュリちゃんとか?」

「あれは……ファンクラブが怖いからたぶん誰も手を出さないんじゃないかなぁ~」


冷や汗を流す空を見ると確かにとも思う。そういえば最近会いに行ってないな。


「よし、今日ダイブインしたら『俺はどこのギルドとも直接リンクするつもりはありません』って言ってみるか。効果あるかもしれない」

「私が知る限りのトップギルドからもお誘いあるかもしれないよ? そうなれば素材集まり放題じゃない」

「そのかわりギルドの厄介ごとに関わりそうでごめんだ」

「ちぇー、密かに狙ってたのに」


まさかこんな身近にもいたことに少し驚きながらオムライスを口に運んだ。うん、美味い。

というわけで、第三章の始まりです。1000万PV突破の報告も明日行います。


この時期はほんと風邪をひきやすい自身の体質が嫌いになります。


来週こそ22時に更新できるよう体調を整えます。

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