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VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第二章:新たな力
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第八十二話:舞う者同士の戦い

すいません。今回少し短いです。特別話で力尽きました。

しばらく呆然としていると目の前にウィンドウが出現する。


『EXボスバトルのルール説明

・プレイヤー2名×武者鎧1体との戦闘を五回行い、最後に全体バトルに突入

 一回の戦闘時間は5分。全体バトルは無制限。

・武者鎧1体はランダムで決定するが、プレイヤー2名は自由に選択可能

 なお、プレイヤーは何度でも戦闘参加可能だがダメージは引き継ぐ

・最後の全体バトルでは先に登場した武者鎧はダメージを引き継いで出現

・プレイヤーのHPが0になると席で観戦に移動。回復魔法&支援魔法は可能

・勝利条件=要塞華撃団の全滅』


読み終えたところでウィンドウの他に花札らしきもの七枚出現し回転を始める。試しに触れてみると止まり、触れた花札が反転。

そこには薙刀を持った紫色の武者鎧が描かれていた。


「兄さん、そろそろどういう状況か教えてよ」


おっと、ウィンドウは俺にしか見えてないのか。

慌てて他のメンバーに戦闘条件と最初に闘う相手のことを告げる。


「薙刀使いか。それなりに素早いし、攻撃力もある厄介な敵だよ」

「剣と違いそこそこリーチもあるしな。さて、どうする?」


こっちはだれでも何回でも出撃できるがなるべくダメージを受けたくない。となるとこっちは遠距離攻撃でダメージを蓄積させるほうが、最後の全体バトルが楽になる。


俺の考えを伝えてみるとエルジュとティニアさんが同意してくれた。アリサさんはこういう戦略会議には参加せず、スワンとリボンはこちらの指示に従うらしい。


「兄さんの提案だと兄さん以外ならだれでも該当するね」

「そうなるな。逆に俺が盾で防ぐという手もあるぞ?」

「それも考えたけど、兄さんHPや盾の耐久値も考えるとあまりしたくないかな」


エルジュの意見もあり、俺以外でだれが出撃するかだな。


「なら、私とアリサで」

「「え!?」」

「ん? 私?」


いきなりのティニアさんの提案に俺とエルジュが驚く。二人はこのパーティーにおける大火力だ。それをこんなに早く使うのはどうなんだろうか。


「一応理由もあります。見た感じ向こうには遠距離攻撃できる敵が二人います」


その視線の先にいるのは黒と緑の武者鎧。あの二体相手を相手にするのは大変そうだがそれと今出撃するのと何が関係あるのだろうか?


「妖精族特有、特性とでも言いましょうか。それを使おうと思いまして」

「あ、そういうこと」


アリサさんは納得したみたいだが、いったい何なんだ?

見ればエルジュたちも同じように疑問符を頭に浮かべている。


「言葉で説明するより、お見せしたほうが早いですね」

「そうね。なら行ってくるわ」


戸惑う俺たちをよそに二人して歩き出す。その足がステージに上るための階段に足を踏み入れた途端、ステージが光の壁で覆われた。これで外部からは何もできなくなったわけか。てかこれ、上様の一騎打ちと同じじゃないのか?


「それじゃ、私は準備するから」

「ええ。お任せください」


薙刀を振るい準備運動をする紫の武者鎧に対し、ティニアさんが前に出る。アリサさんは特に動いてないな。


そしてスポットライトの光がステージ全体を照らし出すと同時に走り出す紫の、もう紫武者でいいや。

そのまま突撃してくる紫武者に炎を纏わせたスカーレットファンで応戦するティニアさん。


その戦いはまさに舞踊を見ているようだった。


薙刀を小枝のように軽く振るいながらもどこか優雅に見える紫武者。

火の粉を散らしながら紅の姿を鮮やかに、華やかに魅せるティニアさん。


薙刀の銀閃が炎を切り裂き、すぐに再生した紅蓮の炎が相手を燃やし尽くそうと襲い掛かる。


懐に入られても柄を巧みに使って攻撃を許さず反撃してくる紫武者に、炎を盾にして防ぎながらスカーレットファンで切り裂こうとするティニアさん。


剣劇は聞こえない。爆発音も聞こえない。

無音の世界の中で聞こえるのは互いの足音だけ。それすらもリズムを刻むようでまるで全身で何かを奏でているようだ。


そんな中で急に音が響き渡る。それは紫武者が後方に飛びながら下がった音。着地と同時に薙刀を振り回し、中腰に構えると穂先に炎が灯る。おそらく必殺技のようなものだろう。


それに対し、ティニアさんは紅蓮の炎を消し、スカーレットファンを裾に入れる。無防備になったがなぜか全く隙が無いようにも見える。それはティニアさんが両手の拳を握りファイティングポーズの構えをしたからだ。さらに右の拳が紅の光に包まれる。


そのまま対峙する二人。まさに一触即発の空気だ。


その空気を破ったのは一歩踏み出したティニアさんの足音。

それが聞こえた瞬間、紫武者は猛スピードで突撃する。あれがチャージ技だったようだ。


そしてティニアさんは拳を前に突き出し、炎に包まれた穂先と紅の光に包まれた拳がぶつかる。その衝撃波がステージ全体に広がり、光の壁を激しく揺らす。


互角の戦いを繰り広げる二人に対し、アリサさんは一向に戦いに参加しない。一方、その体からはハイフェアリー特有の魔力光があふれている。


確か魔力光は漏れた魔力だったはず。つまり、今のアリサさんは魔力を溜めているようだがそれを放出してとどめを刺すのだろうか?


そのままアリサさんを見ていると「「「あ!」」」という声が聞こえ、その方角に視線を向けるとティニアさんを中心に小さな紅の光の玉が出現しだした。一瞬魔力光かと思ったが、あれはハイフェアリー特有のものだったら違うはず。


「そういえば思い出した!」


急に大声を上げるエルジュに驚くも話を聞く。

エルジュ曰く、妖精族は魔法に優れた種族でありそれは戦闘でも発揮される。その一つが今のティニアさんのように、自身を中心に魔力を放出することでその空間を自分に有利にする魔法らしい。


そのまま戦闘を見続けていると急に光の壁が閃光のように瞬き、目をつむる。

目を開けると目の前にはティニアさんとアリサさんがいた。


「成功?」

「はい。〔フィールド〕は確かに存在しています」


ティニアさんの言葉でステージを見てみると確かにステージの一角に紅の光の玉が集まっている。


「あれ、どういう魔法なんですか?」

「私たちは〔フィールド〕と呼んでいます。自分の魔力を放出させることでその一角に魔力の溜まり場を形成します」

「つまり、自分の魔力が尽きてもあそこで回復できるの?」

「はい。しかも一度溜まり場を形成すれば周辺の魔法の残光を吸い込んで維持してくれるので結果として私一人の限界以上に魔法を使うことができます。それなら遠距離の相手にも匹敵できると思ったので」


なんとも便利だが、形成するのに時間がかかることや形成するまでの間魔力を流し続ける必要があるため、長期戦の時くらいしか使う時がないらしい。


一方、アリサさんは俺のもくろみ通り魔力を溜めていた。その目的も対遠距離武者鎧。その魔力を用いて倒しておくつもりなのだ。


そこまで聞いたところで俺の目の前にまたしても花札が出現したので次の相手を選択する。次はいったい誰になるのか。

次回も水曜日投稿です。

8月中は一週間投稿で、9月になったら放出を始めます。


つまり、9月にはあの子が登場予定です!

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