表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第二章:新たな力
153/229

第七十話:実力差

まずはご連絡から失礼します。

感想コメントの誤字報告ですが過去のも含めて全部読んで確認しています。しかし現状、新しい話を作るので精一杯なのでなかなか修正ができません。

そのため、修正は第二章が終わったら一気に行います。


いきなりこんな話になってしまい申し訳ありません。

では、本編をどうぞ。

転移泉からドワーフ族エリアに転移する。しばらく来てなかったため、なんだか懐かしく感じる。かつて魔族に占拠されていたことを覚えている人はどれくらいいるだろうか?

……さすがに忘れている人はそこまでいないか。




シュリちゃんの店に行く前に探索してみると、第二陣の参加があったからか、以前よりも街がずいぶん活性化している。あちこちで出店が出てるしそれを買い求めるプレイヤーも多い。お、杖専門店もあるな。


「いらっしゃいませ!」

「こんにちは」


店番をしている女性はどうやらプレイヤーのようだ。

そして売っている杖だが、やはり魔法使い系用の武器のため俺には使い道がない。【杖】は持っているが魔法系スキルはまったく持っていないからな。


「お客さん、どうだい?」

「残念ながら希望の杖は無いかな」

「そりゃ残念だ。ぜひともお近づきになりたかったんだけどね」


(うん? どういう意味だ?)


そんなことを考えているとそれが表情に出ていたらしく向こうは笑みを浮かべた。


「実はあたいもルーチェには世話になってる一人でね」


ああ、そういうことか。


「もし希望があるなら杖を用意しておくよ?」

「そうだな……【杖】はあるがあまり魔法は使わないんだ。それに合った杖があると……」

「え!? そうなのか!?」


俺の発言に驚く女性。その反応だともしかしてそんな杖あるのか?


「ならこれなんてどうだい? 作ったはいいけど実用性がないからどうしようかと思ってたんだ」


その言葉と共に出してくれた杖なんだが……これって杖なんだろうか?


「まあ、そうなるよな。これは〝ガーディロッド″ていう杖さ」


〝ガーディロッド″・杖・UC

防御もできるように普通よりも幅広に加工された杖。そのせいで魔力伝達率が低く魔法使いには向かない杖。



見せてもらった杖は説明どおり通常の杖よりも大きく、装飾等は一切ない。簡単に言えばインゴットをそのまま杖に加工したような感じだ。

色が白いので使った素材は鉄ではないみたいだな。


「見て分かるように普通の杖とは違い魔法攻撃力が低い。その反面物理攻撃力が高いんだ。そして耐久値も高い」

「なるほど、それでガーディってことか」

「想像通り、ガーディアンからもじってるんだろうな」


これはどうするかな。

少し考えてみると、今俺が持ってる杖は〝錬金術師の杖″だけだ。壊れない性能があるとはいえさすがにこれだけでは心もとない。

そして魔法を使わない俺にとってはこの杖は使える武器かもしれないな。


……防具を一新するから杖を新調するのも悪くないか。


「ならそれを買おうか」

「ありがとうございます! ならいつもお世話になってるから少しおまけしておくよ」

「おまけ?」

「ああ。これさ」


女性が見せてくれたのは別の杖だった。今度はずいぶん小さい、というかキーホルダー?


「これは〝チャーム・ロッド″。杖系の耐久値を少し上昇してくれるアイテムさ」

「いいのかい? そんなものタダでもらって」

「それの値段以上にお世話になってるから問題ないさ」


そういうことなら遠慮なくいただこう。

俺は代金を支払い〝ガーディロッド″と〝チャーム・ロッド″の二つを受け取る。


なお、〝チャーム・ロッド″の効果はこんな感じだ。


〝チャーム・ロッド″・アクセサリー・R

装備している杖系の武器の耐久値を少し上げる。



ついでに他の〝チャーム・~″も見せてくれたが俺には必要ないので受け取らなかった。


「そうだ。フレンド登録しよう。あたいはリンネだよ」

「そうだな。知ってると思うがアルケだ」


フレンドリストにリンネの名前が登録されたのを確認する。

そういえばシュリちゃん以来二人目の知り合い以外でのCWOのフレンドとなるんだな。……マジでもう少しフレンド増やそうかな。


「今後もご贔屓に」

「こちらこそ」


リンネと別れ、俺はシュリちゃんの工房を目指した。






そして到着したのだが、そこにあったのは長い行列だった。失礼だが先ほどのリンネの店や他の出店と比べると雲泥の差だな。これがシュリちゃんの実力というわけか。


「最後尾はこちらで~す! ただいま一時間くらいの待ち時間となっておりま~す」


てか列整理用の人までいるのか。どんだけ人気なんだシュリちゃん? しかもあれプレイヤーじゃないのか?


疑問に思いながらも列の最後尾に並ぶ。列は二回ほど折り返しているようで想像以上に長い行列となっていた。さらに少し経てば俺の後ろにどんどん人がやってくる。

その後ろから「今日は無理かな?」とか「時間大丈夫か?」なんて声が聞こえてくる。


さらに待っていると工房から一人の女性が出てきた。すると落胆の声があちこちから上がる。どういうことだ?


「なあ、なんでみんながっかりしてるんだ?」

「なんだ知らないのか? あのNPCが出てきたってことはシュリちゃんがそろそろダイブアウトするから今日はこれで店仕舞いってことだよ」


前に並んでいたプレイヤーに訊いて納得。確かに結構遅い時間になったからな。こればかりはしょうがないか。


踵を返すプレイヤーたち同様帰ろうとするとクイクイっと誰かに引っ張られる。振り返ると例のNPCの女性が立っていた。


「えっと?」

「申し訳ありませんが、主人がお呼びですので中に入ってもらえませんか?」


その一言で周りにいる大勢の視線が俺に集中する。中には殺気まで混じってるようにも思える。


「……人違いではありませんか?」

「いえ、間違いなくアルケさんにご用があるそうです」


(名前まで言われてしまえばもう逃げられ……あれ?)


「なんで俺の名前を?」

「主人から教わりました。では行きましょう」


腕を掴まれそのまま引っ張られる。とっさに足に力を入れるがまるで意味がない。周りの視線も戸惑いへと変わり、中には呆然としている者もいる。

俺はそのままシュリちゃんの工房へと引きずられた。






「すいませんでした」

「いや、シュリちゃんが謝ることじゃないから」


場所は変わってシュリちゃんの自室。シュリちゃんが淹れてくれたお茶をいただく。

なおNPCの女性、ナナさんは仕事が終わると自宅に帰った。


彼女はシュリちゃんがいつもインゴットを購入している店の一人娘さんらしく、シュリちゃんがお客の相手をするコツを店主さんに訊いているときに自ら手伝うと言ってくれたとのこと。

ちなみに、NPCを従業員として雇うのは店を持つ者にとっては常識となりつつある。俺みたいにティニアさんの紹介もあればシュリちゃんのように親しい人から申し出るケース、その逆でこちらの申し出を引き受けてくれるケースもある。

ここらへんも好感度システムの影響なのだろう。


「それで、どんな用件?」

「それなんですけど、先にアルケさんのご用件からでいいですよ」


こっちとしては先にシュリちゃんの用件を聞いておきたかったけどこのままだと「そっちから」「いや、そちらから」というループが発生しそうなので〝翡翠の盾″が壊れたことを告げた。


「そうですか」

「ごめんね。せっかく強化してもらったのに」

「しょうがないです。使えばいつかは壊れるモノですから」


そうは言ってくれるものの落ち込んだシュリちゃんが立ち直るのを待ち、その後どうして壊れたのか訊かれたのでダンジョン遺跡での戦闘を話した。特に一騎打ちの話は興奮してくれたが、俺にはそれ以上に衝撃を与えられた。


「ところで、上様ってだれですか?」

「……エ? 知らないの?」

「はい。有名な人なんですか?」


……これがジェネレーションギャップか。思わずorzの態勢になってしまったのでシュリちゃんに心配されてしまったが、なんとか復帰した。思った以上にダメージ大きいんだな。


「それで、シュリちゃんの用件は?」

「あ、はい。実はお客さんたちが言ってたんですが、クエストが終わったら本格的にエリア2を攻略しようって感じになってるみたいなんです」

「ふむふむ」

「それで、エリア3が解放されたら例の武器たちを売るという話でしたよね?」

「追加能力付きの武器のことだよね」


俺が【錬金術】で生み出したインゴットからシュリちゃんが作った武器たち。ようやく彼らが日の目を見る時が来たか。


「そこで、どこまで出したらいいのかお尋ねしようと思って」


しかし俺の感動を壊すような発言に今度は俺が落ち込む。


「……どこまでってどういうこと?」

「実はですね、私の【鍛冶】スキルがランク4の【特級鍛冶】までランクアップしたんです」


え、まじで?


落ち込みから驚きに一気に変わったのが面白かったのかクスクス笑うシュリちゃん。


「【鍛冶】としては初めてらしいので、それ以降は多くのお客さんが来てくれています」

「ああ、だからあの行列」

「はい。中には『私のファンです!』って言ってくれる人もいてとても満足してます」


シュリちゃんは満面の笑みを浮かべるが俺はそれに乾いた笑いしか返せない。まさかファンクラブが本当に存在するなんて言えるわけないからな。

もしかして行列の大半がファンクラブ会員だったりしない……よな?

いや、最後尾を誘導していたあのプレイヤーってまさか……


「そしてそのせいでこんなものまで出来たんです」


そう告げるとシュリちゃんはアイテムボックスから一本の槍を取り出した。

会長「シュリちゃんファンクラブに入会したいのなら、シュリちゃんの魅力を語り、我々が同志として認められるかどうかだけです。みなさまの入会をお待ちしております」


なお、ラインは会長ではありませんし、会長の出番は永遠にありません。


次回も水曜日に投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ