表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第二章:新たな力
150/229

第六十七話:雑魚キャラ

いつの間にか150話目だったので久しぶりにアクセスを見てみたらすでに700万を超えており、ユニーク数も100万人以上となっていました。


いつもご愛読、ありがとうございます!

〝翡翠の盾″を刀で受け止めた将軍様、いや上様はそのまま押し返してきた。やはり力では向こうのほうが圧倒的に上だ。


対抗することをせずにその力を利用してバックステップする。そして生まれた隙に〝錬金術師の杖″を装備し、右手に杖、左手に盾の構えを取る。


スキル欄に【盾】がある場合、盾を装備しながらも片方の手で別の武器を装備することができる。そのため、片手剣+盾は前衛ではこれを戦闘スタイルとしているプレイヤーは結構いる。

当然デメリットもあり、この状態ではどちらの攻撃力も-30%となってしまうが、やはり防御手段があることで得られる安心感が重要なのだろう。


俺は上様の連撃を盾で防ぎ、杖を主に脇腹めがけて振る。大振りにすると上様によけられた上にこっちの防御がおろそかになるのでこまめにコツコツとダメージを与えるしかない。


普段ならこの戦闘スタイルに文句はないが、やはりできれば剣と剣で戦ってみたかった。向こうは刀だけど。


(というか、刀は今までなかったはず。つまり、次のアップデートの宣伝も兼ねているのかこのクエストはって、あぶね!)


余計なことを考えていると俺に向かってくる一閃。基本連撃の上様だがこうやって一閃をしてくることもあり、この時に受けるダメージがかなりやばいのはすでに情報済みだ。

まあ、こっちには盾があるのでなんとかなるが。





そんな感じで、攻撃を盾で防ぎながらコツコツダメージを与えているが次第に体が重くなっていく。それも当然で俺のHPが徐々に減っているからだ。


(わかってはいたけど、オーバーダメージがここまでとは!)


オーバーダメージとは自分の攻撃力が相手の防御力を一定以上上回っていた場合に起こる超過ダメージのことで、この場合上様の攻撃が俺の盾で防げる攻撃力より高いということになる。

しかし、一般的にモンスターであろうとプレイヤーであろうと盾を超えてのオーバーダメージはめったに発生しない。それほど、盾は防御力があるのだが俺にはその理由もわかっていた。


(なんだかんだで自分の装備には手を入れてないからな。【錬金術】に行動を重視した結果がこれか)


そう。俺がCWOをプレイし始めたのは【錬金術】を体験できるから。それ以外のこと、冒険などには一切興味が無かった。


それが変わったのは今まさに矢を放ち、自分から上様を遠ざけた一人のNPCの存在だろう。

そして入れ替わりに火の魔法を拳に纏わせ接近戦をする花魁とそれを支援するために魔法を放っているハイフェアリー。

この三人との出会いが俺のCWOでの行動理由を大きく変えた。


「大丈夫ですか!?」

「大丈夫です。助かりました」

「ならいいですけど。勝手な行動しないで下さいとティニアが怒ってましたよ」


苦笑しながら俺にポーションを渡してくれるアリアさん。

それを飲みながら戦闘に目線を向けるとティニアさんが苦戦していた。いくら近接戦闘できるようになったとはいえ、さらに魔法を纏っているとはいえティニアさんは素手だ。さすがにそれで刀と対決なんてできるわけがない。


そのため、ティニアさんは拳を振って上様を誘導し、アリサさんの雷属性魔法とスワンとリボンの矢で上様のHPを削っていく。

一応アリアサンにはまだ〝鋭羽弓″を預けたままなのでアリアサンも攻撃に参加できるが俺の回復待ち兼護衛を任されているようだ。







そしてしばらくすると鳴り響いていた戦闘音楽が途端に止んだ。

つまり、戦闘開始から20分が経過したことになる。


(ここから十分間は守りの時間だ。雑魚キャラとはいえこちらの主力は魔法。ここらで魔力を回復させておかないと)


「ティニアさん! アリサさん!」

「わかっています!」「了解!」


二人に声をかけ、スワンとリボンも俺とアリアサンのほうへと戻る。

全員集まったところで話し合っていた通りに背中合わせの円陣を組み、俺が盾を持ち戦闘で構える。HPはすでに満タンになっているので問題ない。


こちらの準備が整った瞬間、部屋のあちこちで光が発生する。人がすっぽり入れるくらいの大きさなのであそこから雑魚キャラが湧いてくるのだろう。


緊張と警戒をしながらもボスの正体が上様であったことから俺の心に再び興奮の火が点き始めていた。


(この状況における雑魚キャラといえば切られ役しかない。つまり、あの殺陣を目の前で見られる!)


そしてとうとう光の中から人影が見え…………え?


「われらの野望のため、貴様らの命をもらう! かかれ!」

「「「「「イー!」」」」」













プチン






「ふ、ふざけるなー!」


その人物たちが何なのかを認めた瞬間、俺は再び突撃していた。

頭には顔を隠すためのマスク。そのマスクも含めて全身真っ黒のまさに黒ずくめ。そして胸に描かれる白い肋骨。


たしかに彼らは雑魚キャラだ。それもある意味もっとも有名な人型雑魚キャラと言えるだろう。


しかし! だがしかし!!


「ここはお前らが出てくる場面じゃねえだろうがー!!!!!」


興奮の灯が怒りの業火に変わる。


俺は出てきたばかりの一体を目標に思いっきり〝錬金術師の杖″を振り下ろした。


「イー……」


情けない声を残してポリゴン片へと爆散する雑魚キャラ。初級だけあって本当に雑魚だ。しかし、一体倒すと別の場所から新たな一体が登場する。つまり、十分間は永遠に数が減らない使用のようだ。



なら、容赦する必要はない。




いや、情けなどかける必要もない!




「死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!死ね!シネ!シネ!シネ!シネ!シネ!シネ!シネ!シネ!シネー!!!」


他の人から見たらまさに暴走状態だっただろう。しかし、俺の心はせっかくの興奮を台無しにされた影響でそんなことを考える理性など欠片も残っていない。


そして、そんな俺を上様が見ていたことにも気づかなかった。







結果、十分の雑魚キャラタイムは終了し、倒すたびに減っていく雑魚共。


そして最後の一体は初めに「かかれ!」と命令していた奴だった。


「くそ! ならばせめてお前だけでも!」


そいつは無謀にも上様に向かっていく。思わず上様を助けようと体を動かすも、すでに上様は刀を振っていた。


それでもしぶとく生き残る雑魚の親玉。再び上様を襲う前に仕留めようと思った次の瞬間、それは起こった。


「成敗」


上様の一言でいったいどこから現れたのか男女の忍者がそれぞれ手に持つ苦無で親玉を切り裂く。そして上様に向かって座り込むと同時に親玉はポリゴン片となった。


それを見ていた俺の心境を一言で表すとするなら(かっけー!)のこれに尽きるだろう。


「ご苦労。下がれ」

「「御意」」


上様の一言で一瞬にして姿を消す忍者二人。


そして上様は俺に向かって歩いてくる。しかし、刀は下げている。


「どうやら拙者が追っていた悪党はあの者たちだったようだ。疑いをかけてしまったこと申し訳ない」


言葉と同時に頭を下げようとする上様をなんとかする。正直上様に頭なんて下げられてもどうすればいいかわからなくなるのが本音だ。


「はは。面白いの、そなたは」


そして上様は刀を鞘に納める。もしかしてこれでクリアとなるのか思ったら俺の前にウィンドウが現れた。


『エクストラステージ“一騎打ち”に挑戦できます。挑戦しますか? YES / NO』


その下に説明文があったので読んでみるとYESを選んだ場合、今いる広間に結界が展開され、YESを選択したプレイヤー以外のチームメンバーは戦闘に参加できなくなる。なお、能力向上系の支援魔法と回復魔法の使用や道具の譲渡は可能のようだ。

つまり、戦うのは一人だが他のメンバーからサポートを受けることは可能ということだ。


一方NOを選択した場合は先程までと同様にチーム全員と上様だけで戦闘を続行することになる。


個人的には一騎打ちは非常に魅力的だがさすがに俺の一存で決めるわけにはいかないので一度全員と合流することにしよう。

大変申し訳ありませんでした!(土下座)


せっかく明るい話題の前書きで始まったのに、殺陣シーンが無いこと、本当に申し訳ありません!

映像を見ながら挑戦してみたのですが、文章力・語彙力ともに足りませんでした。チクショー!


というわけで、別の雑魚キャラに登場してもらいました。誰だかはすでにご存じと思うのであえて書きません。

もし「これ誰?」という平成世代の方々は人気シリーズの第一作目を見てみましょう。


次回も水曜日に投稿します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ