表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第二章:新たな力
147/229

第六十四話:成長した力

先月末にモンスター文庫受賞作品が発表されましたね。同じタイトルつながりで密かに応援していた〝こんどうさん″の『VRMMOの料理人』や〝金髪ロり文庫″さんの『田中のアトリエ ~年齢イコール彼女いない歴の錬金術師~』が受賞すればいいなぁと思っていたのですが、残念です。


そして見事受賞された〝月夜 涙″さん、〝ゼミル″さん。遅くなりましたが、受賞おめでとうございます!

苦戦した四階を降りた先の五階はトラップが多かったが【看破】を活用して突破。

六階は盾持ちや石でできているなど防御系のモンスターの巣窟だったが魔法耐久力は低かったようなのでティニアさんとアリアさんにお任せ。

七階はモンスターが複数で出現し、スピード重視のモンスターが必ずいたが〝フェザーチュリー″を装備したスワンとリボンがそのモンスターを仕留めてくれたのでなんとかなった。

当然戦闘をすればHPを消耗するがアリアさんと俺のポーションで回復しているので問題無し。

……もしかしてこのパーティーって実はバランスよかったのか? 最初の頃は後衛ばかりでバランス偏ってると思っていたのだが。




さて、いよいよ八階。この八階だが、ボス部屋を除けば一番難しいステージとなっている。


「……よし! 当たった!」

「やったねスワンちゃん!」


思わずガッツポーズをするスワンに抱き付きながら祝いの言葉を告げるリボン。

どういう状況かと言うと『50m離れた的に五回連続で矢を当てる』という試練を今突破したからだ。


八階では戦闘は無く、個々の力を試される。


スワンの前にティニアさんとアリサさんが魔法の腕前を、アリアさんが薬術の腕前を試された。それぞれの内容はティニアさんが炎の魔法で空中に浮かぶ氷の的を次々に撃ち抜く、アリサさんが雷の魔法で動いている的を一撃で全て破壊する、そしてアリアさんは薬草の選別だった。


次はリボンの番で内容はスワン同様的に矢を当てるモノだったが『三回連続』になっている。なるほど、同じ試練内容でも個々の力が異なればこういう変化があるということか。


弓道の経験があったスワンはストレートで五回連続出来たが、リボンは弓を扱うのはCWOが初めて。そのため、一回しか当たらなかったり、二回連続当たっても三回目は外れたりとかなり苦戦したがなんとかクリアできた。


最後は俺の番だ。当然内容は【錬金術】関連だろう。一応【上級錬金術】まで鍛えてあるし、自作アイテムも持ってきている。おそらくは大丈夫だろう。


俺の前にウィンドウが浮かび、試練内容が表示される。さて、どんな内容が……


『【錬金術】で作ったアイテムのみを使ってモンスターを倒せ』


途端俺だけが別の部屋に転移され、少し離れた先にモンスターが出現した。


血濡れた斧を持ち、骨だけで構成された人型モンスター“スケルトンウォーリアー”だ。骨だけとはいえ防御力が高く、しかも普通の斧ではなく〝ブラッドアクス″ということは攻撃力も増している。さらに大きさも通常の個体よりも大きいから中ボスクラスの強さはある。


正直、こいつを錬金アイテムだけで倒すのは面倒だ。何よりこいつは【火属性耐性:中】を持っているから最強アイテムの〝グレンダイム″を活用できない。つまり、使える攻撃アイテムは〝レインティア″と〝ライジンディスク″のみ。


これだけなら苦労しただろう………………かつての俺なら。



戦闘の始まりを告げる鐘の音が鳴り“スケルトンウォーリアー”が突撃してくる。その攻撃をギリギリまで待ち、振り下ろそうと腕を上げると同時に“スケルトンウォーリアー”に向かって走り、すぐそばを抜けるように走る。

いきなりの行動に戸惑っている間に〝ライジンディスク″を足元に投げ、雷を落とす。ちょうど斧に当たり、全身にくまなく雷が流れていることを確認し、顔面に〝フレイムボム″を投げつける。


【火属性耐性:中】の効果でダメージは対して与えられないが爆発で視界を遮っている間に〝レインティア″を複数設置する。

顔面で爆発を受けたせいか怒りの咆哮を上げながら突撃してくる“スケルトンウォーリアー”。そして〝レインティア″を踏み、雨が発生するがその威力は霧雨程度。その程度なら脅威にならないと思った“スケルトンウォーリアー”はそのまま足を進め、途中何回も霧雨レベルの強さの〝レインティア″を踏みまくる。


再び目の前まで迫った“スケルトンウォーリアー”は斧を横薙ぎに振るう。これなら横を通ろうとしてもそのままの動きで切れると考えたのだろう。


しかし、俺は〝フレイムボム″を斧にぶつけ爆発させることで斧を勢いを弱め、後ろにジャンプしてかわす。

そして大振りしたことで隙だらけの“スケルトンウォーリアー”目がけて最大威力の〝ライジンディスク″を投げつける。


いくら霧雨とはいえそれを長時間浴びれば当然体は水浸しになる。そしてお決まりだが、水は電気をよく通す。その相乗効果はCWOでも健在で、〝ライジンディスク″の威力がさらに増し、悲鳴を上げる“スケルトンウォーリアー”。


ダメ押しに同じ威力の〝ライジンディスク″を投げ、さらにダメージを与える。


これでHPを0にできればよかったのだが、前に倒れただけでまだ体は残っている。

というわけで切り札〝グレンダイム″を倒れた“スケルトンウォーリアー”に投げ全速力でその場から逃げる。


クエストフィールドに入る時に持ってきた〝グレンダイム″は5個。ここで1個使うのはもったいない気がするがクエスト期間も残り少ないのでためらわないことにした。

なお、全速力で逃げているのは以前に比べてさらに強化しているのだが、完成したのがクエスト前日だったのでどこまで有効範囲なのか調べていなかったのだ。


前にも増して大爆発を起こし、爆風が後方から襲ってくる。これだけの規模なら間違いなく死んだだろうからクリアということで早く転移してほしい。てか、爆風が思ったよりも近づいてきてる!?


(あ、俺、死んだかも……)


もはや死を覚悟したが爆風の熱さを感じたと同時に俺の体を光が包み、元いた場所に転移された。ギリギリで助かったようだ。


「「アルケさん♪」」

「うん?」

「「ちょっとオナハシいいですか?」」


アレ? 何デ二人ガコワイ笑顔ヲシテル?







スワンとリボンに連行された俺はそれから説教タイムに突入した。と言っても、二人は以前のイベントでグレンダイムによる爆風に巻き込まれて死亡した経験者だからそれに関することばかりだったが。

そういえば、あの時はエルジュだけが抗議に来て、二人ともショックのあまりダイブアウトしたんだっけ。先に説明しておけばよかったな。



余計なフラッシュバックのせいで最後は二人して泣きながらポカポカ殴られることになったが甘んじて受けることにする。

そのまま殴られ続けること十分位、二人とも落ち着いたのでNPC三人の元へ向かう。なお、CWOでは泣くことはできても眼が赤くなることはないらしい。


「もういいんですか?」


アリアさんがスワンとリボンに問い、二人とも首を縦に振る。その様子を見て二人の頭をなでるアリアさん。わかってはいるけど、完全に俺悪役だな。


「アルケさん、お怪我はありませんか?」

「ええ。大丈夫です」


そんな中ポーションを持って声をかけてくれたティニアさんがまぶしく見えます。

……ところでアリサさん? なぜティニアさんに向けてグーサインを出しているんですか? そしてなぜそれを見て慌ててるんですかティニアさん?


「さて、全員突破ということで下の階に行ける階段が出てきましたね」


アリアさんの声に従いその視線の先を見ると確かに階段が出現していた。


残すは九階とボス部屋がある十階のみ。最も十階はボス部屋だけだけど。


「全員体力は問題ないですか?」

「大丈夫です」

「問題ありません」

「私も大丈夫」

「HPは減っていませんから」

「むしろアルケさん以外は戦闘してないしね」


全員の返答を聞き、全員頷いた後階段に向かう。









全員が階段に向かっている中、俺だけが考え込んでいた顔をしていることに気づく者はいなかった。



(リボンが言うまで気づかなかったが、確かこの八階は『戦闘は無く、個々の力が試される場』という話だったはず。それなのに俺は戦闘を行っている。確かに【錬金術】の力を試す試練だったが、それならば他にも方法はあったはず。

……気のせいならいいけど)

次回も水曜日22時投稿に投稿できるようがんばります。


フラグ? ナンノコトデスカー?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ