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VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第二章:新たな力
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第六十二話:この世界のNPCはやっぱりおかしい

最近“今書いてるのVRMMOなんだよな?”と思っている私がいます。


アルケ「ならもっと俺に平穏もしくは普通をくれ」

作者「主人公=苦労人の法則を知ってるかい?」

アルケ「ダメだこりゃ」

抱かれた弓は元々スワンが持っていた弓とは思えないほど変化していた。


元々スワンが持っていた弓は弓道で使われているような黒っぽい弓に多少白で彩られたラインに弦が付いた程度の物だった。

一方アリアさんが持っている弓は上部が翠と蒼が混じった色の羽のような形をしており、一番下の羽から弦が伸びている。下部のほうも厚みが増しており、中央部に至っては角のような物が付いている。やろうと思えばその角で攻撃することすらできそうだ。


「〝鋭羽弓″という名前みたいですね。良い出来です」


アリアさんは持っていた弓をスワンに渡す。呆然としていたスワンは急いで受け取った弓の能力を確認する。


「…………」


再び呆然、いや唖然するスワン。リボンが体を揺らして意識を戻そうとしているがなかなか戻ってこない。


「アリアさん、アレの性能ってわかります?」

「さすがに無理ですね」


制作者であってもどうやら持ち主以外は性能が見れないようなので俺たちはリボンの奮闘が成功する時を待つことにした。





ようやく意識を取り戻したスワンが慌てて弓の性能を俺達にもわかるよう可視状態に変更してくれたが、その性能にだれもが言葉を失くした。



〝鋭羽弓″・弓・ランクR

集団よりも単独で狩りをするために特化した弓。自身を守るために弓の中央部が尖っており、上部の羽のような部分は刃を受け止めることも可能。

*【弓】系のアクトの攻撃力×1.3倍*

*装備したキャラの防御力×1.3倍*

*射程<中>*



予想通り性能が普通のランクRの弓よりも高いが、最も重要なのは〝射程<中>″。


CWOにおいて弓の射程は弓の大きさや弦の強さによって決まる。その際、大きい弓は種類が〝長弓″に、弦が強い場合は〝弓″の横に【弦強】という表記がある。これを獲得するには現状、強化や合成を繰り返すしかないのだ。


しかし、アリアさんが作った〝弓″にはどちらの表記も無い。つまり、初期状態ですでに〝射程<中>″が付いているのだ。

これでランクR? 冗談だろ?


「……これ、使っていいんですか?」

「使ってくれないと私が困るのですが。せっかく作ったので」


アリアさんの言葉は分かるがこれは使えない。少なくともこのレベルの武器は今の段階では存在していない。おそらくエリア3以降にならないと入手できないだろう。

あれ? なんか似たような出来事があったな。もしかしてコレの原因は俺か?




…………アリアさん誘ったのは俺なので間違いなく俺のせいだな。うん。







その後、アリアさんに使えない理由を説明すると「なら、射程だけ無ければ大丈夫ですか?」と言われ、トオルさんからポーションと交換で頂いた木材を使って改めて弓を作成。今度は羽系のドロップを中心に、数を少なくして強化していた。


そして出来上がった弓がコレ。



〝フェザーチュリー″・弓・ランクR

翼をモチーフに作られた弓。とても軽く動きを阻害しない。

*装備キャラのスピード×1.3倍*



「これくらいなら大丈夫でしょうか?」


首をかしげるアリアさんは可愛いです。けど、コレの性能も結構ギリギリです。本気で弓作ったらどうなるんだろ?

あれ? そういえばアリアさんって弓よりも杖使ってるからもしかしたら杖も作れたりするのか?


……これ以上は考えないようにしよう。





結局スワンは〝フェザーチュリー″を使う事にして、リボンの弓も同様の〝フェザーチュリー″を作ってもらった。性能に関しては羽が不足したため、【スピード×1.2倍】と低めになったがそれでも十分だ。


しかし「これだけだと前に使っていた弓と大差ない」とアリサさんが指摘してしまったことでアリアさんは二人に新しい矢を作成した。こちらはドロップの角を鏃に改良したものだが、この矢単体で【弓アクト×1.1倍】となってしまった。

まあ「矢単体ならバレないだろう」と俺達とガンツ達&集落にいたプレイヤー陣が話し合ってありがたく受け取った。




その後、ガンツさんのパーティーメンバーの弓使いや集落にいた他の弓使いもアリアさんに弓の強化をお願いし、それぞれ強化させていた。

その際、基準は『〝フェザーチュリー″と同等か少し下』に限定させ、使うドロップは相手が持っているモノに限らせてもらった。


全ての作業が終わった時、ちょうど夜時間から朝時間に変更する時間だったので俺達は北の集落に戻ることにした。

アリアさんが使った道具は「もう使いませんから」ということでトオルさん達に渡した。せっかくなので作品としてカーペンターズのギルドホームに飾ることにしたらしい。


俺達はトオルさん達に別れを告げて北の集落へと歩き出した。






しばらく歩き、もう少しというところでモンスターの群れと遭遇し、せっかくだからとスワンとリボン、そしてガンツさん達の弓使いがさっそく戦闘をしてみた。


「わ、早い!」

「常に走ってるみたい!」


二人は武器性能である速度上昇効果に最初戸惑ったがすぐに慣れ、敵の群れの中を舞う蝶のように攻撃を交わしては的確に矢を放っている。

ガンツさんのメンバーの弓使いさんも上がった攻撃力を存分に発揮し、弓使い三人だけで敵の群れを翻弄、最後はガンツさん達の魔法使い系二人が全体攻撃で倒した。


「この弓すごいです!」

「ホント! しかもすごくきれいだし、ありがとうございます!」


戦闘終了後、二人はアリアさんに感謝されまくって逆にアリアさんがうろたえていた。ガンツさんの方でも弓使いさんがメンバーにもみくちゃにされている。


こうして若干壊れ性能になったが無事に強化には成功したのだった。












…………と、これで終われば万々歳だったのだが、そう上手くいかないのが現実というモノだ。ここはCWOの中だから現実じゃないという言い訳は通用しない。


どういう事かというと、単純にスワンとリボンの戦闘が見られていたのだ。

見ていたのは少し離れたところで北の集落を目指していたあるパーティー。彼らは戦闘終了後俺達に近づこうとして現れたモンスターの対処をしている間に俺達を見失ったため、掲示板で『羽のような形をした弓を使ってる弓使い二人の少女がかなりすばやい動きをしていたんだけど知っている人いない?』と書き込んだ。


すばやく動けるのは弓使い以外でも需要があるためこの書き込みが一気に知れ渡り、迂闊に〝フェザーチュリー″を使う事が出来なくなってしまった。


しかしこれから攻略する〝ダンジョン遺跡″や〝城塞遺跡″を攻略するには二人にはどうしても〝フェザーチュリー″を使って有利に行動したい。

そこでどうするかまたガンツ達にも協力してもらって話し合った結果、ファイさんの提案を採用することにした。


それは『クエストフィールドで獲得したドロップを外で合成した時、偶然生まれた』という回答を例の掲示板に流したのだ。当然『どのドロップ!?』『成功率は!?』などの質問が飛んできたが『ドロップは~』とか『何度も試したわけではないので成功率は不明』など全てファイさんが書き込んでくれた。

なおこの回答はアリアさんに直接質問したので間違いではない。こうして『嘘はついてないけど真相はごまかせる』状況になり、二人が練習として〝フェザーチュリー″を使っているところを見られても遠くから見ているだけに留まった。


個人的に二人には周囲に視線を感じても矢を放てる余裕は持ってもらいたいと思っていたので、二人の抗議はなんとかごまかした。

……二人には悪いことをしてしまったので、今度なにか錬金アイテムでもプレゼントしよう。



そしていよいよ〝ダンジョン遺跡″に突入することとなった。

次回の投稿は4月1日(水)です。

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