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VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第二章:新たな力
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第五十三話:想定された事と想像外

更新が遅れて大変申し訳ありませんでした!

「なるほど。例の掲示板のことですか」

「はい!俺はなかなか仲良くなれなくて」

「俺もなんですよね。あ、相手は同じ種族の子です」


ちなみに男性二人組はどちらもエルフ族。やはり人気あるなエルフ族。


「とりあえず、今はクエストに集中したいので終わってからでいいですか? その後でしたら多少お話を聞きますので」

「「よろしくお願いします!!」」


その後彼らは話している間に完成したログハウスに向かった。

しかし、本当にいたんだな。あの掲示板関連の人たち。




さて、俺が話している間に五人がデザインをすでに話してくれたようで俺たちのログハウスも建築中だ。あの二人のログハウスを作った人とは別のプレイヤーが建築しているので、おそらく例の元大工のプレイヤーの関係者だろう。もしかしてギルドもあるのかもしれないな。

話を聞くと明日には出来上がっているらしいので今日は別の遺跡情報を集めることにする。


というわけで俺はさっきの二人組がいるログハウスを訪れることにした。おそらく俺が一番情報を集めやすいと思うし、アリアさんたちに彼らの相手をさせるのはなぜか怖い。


ノックして中に入らせてもらうと、先ほどの二人組の他に男性が三人、女性が一人いた。男性陣は獣人族で女性は妖精族だ。他にもいるそうだが今はダイブしておらず、総人数は想像通り十人以上で合計十二人とのこと。つまり、二パーティーでの参加ということか。


「剣と盾と槍か。その情報は知らなかったな」

「しかしリーダー。槍ってこないだ見つけませんでしたか?」

「ああ! あれか!」


おや? これはもしかしてさっそくアタリか?


リーダーがアイテムボックスから取り出したのは一本の槍。ここから西にある遺跡で発見したそうだ。ちなみに最初の遺跡はここから南東で、最終遺跡はさらに南の位置にある。あとで整理しておこう。


「しかし、ボロボロですねこの槍」

「だろう? 一応装備できるが攻撃力が初期装備よりひどい」


う~ん。大抵こういうアイテムって宝剣とか伝説級の武器とかそういう類と思っていたからこれはハズレか?


「でも関連はあるかもしれませんよ。この槍外に持ち出せませんから」

「どういうことです?」

「この槍なんだが、フィールドから通常エリアに戻ったときアイテムボックスから取り出せなかったんだ」

「つまり、クエストフィールドでしか使えない?」

「そういうことだ」


なるほどこれは重要な情報だ。そういえばこういう時にも【看破】って使えるのだろうか? 

「試させてくれないか?」と訊くと「是非頼む」と言われたので一旦床に置いてもらう。

あ、他人にスキルを勝手に教えるのはまずかったかな?


ちなみに、一旦床に置いてもらったのは他人が持っていると『他人の所持品』と認識され【看破】は発動しないからだ。パーティーメンバーの時は問題なく発動するけど。


そして【看破】した結果こんな表記が出てきた。



〝風化した槍″・武器・UC

長いこと封印されていたためその性能を失った槍。しかし元の力は相当なもの。



この表記からやはりこの槍はただの槍ではないことが判明。となればこれをこのまま持っていくのか、それとも……


「どこかでこの槍の力を元に戻す必要があるということか」

「ええ。俺もそう思います」

「元に戻すって、【鍛冶】が必要なんですかね?」

「いや、このクエストの報酬は〝スキル枠増強剤″だ。この時点でスキル枠を消費するようなことをさせるわけがない。おそらくはこの風化を元に戻すアイテムか人物がこのクエストエリアにいるということだろう」


これ以上は推測になってしまうので俺はお暇させてもらった。思いの外重要な情報を手に入れたが、他のみんなはどうだったんだろうか?


その後集まってお互いの話を聞いた結果、スワンとリボンからは俺たちが遭遇していないモンスターの情報を、アリアさんとアリサさんからはこの付近の情報を、そしてティニアさんからは食べ物の情報をそれぞれ聞いた。

ちなみに食べ物の情報は全て毒物だった。運営何考えてるんだ!?




俺が驚愕して今日はこれまでにしようかと思ったところで俺に声がかかった。初めて見る顔ばかりだが、一体なんだろう?


「間違いだったらすいません。もしかして錬金術師の方ですか?」

「……え?」


なんでバレたんだ……ってあの動画だよな、どう考えても。


「それじゃわからないでしょ? 妖精族エリアで『ルーチェ』を経営しているプレイヤーさんですよね?」

「ええ、そうですけど?」


間違いないが話の内容が見えない。一体何が目的なんだろう?


すると彼らはアイテムボックスから大量の草を取り出した。これって薬草だよな?


「これでポーションって作れませんか? 手持ちが厳しくなってしまって」



詳しい話を聞くと彼らは廃人とまではいかないが結構長くクエストフィールドで活動しているパーティーで相次ぐ戦闘で回復アイテムをほぼ使い切ってしまったらしい。どうやら第二陣と言われている二回目のCWO発売から参加しているプレイヤーたちでまだレベルが低かったようだ。


すっかり忘れていたがこのフィールドには最初に転移した時に持っていた物かクエストフィールドで獲得した物しか持つことができない。そんな中で回復アイテムの在庫が厳しい彼らからすればポーションを創れる俺はまさに救いの神のように見えたらしい。


「これだけ薬草があれば可能だけど、だれか水を汲める道具を持ってないか? さすがに調合水が足らない」


普通ならアイテムを作るレシピを簡単に教えたりはしないが中級錬金術教本までの内容ならすでに例の掲示板で公開されているので今更だ。


しかし彼らは全員そういうアイテムは持っていなかったようでどうしようか悩む。さすがにこんな大勢の人の前で〝聖樹の樹籠″を使うわけにはいかないし。


「そこのパーティーの皆さん、ちょっといいかな?」


俺達がどうしよう困惑しているところに新たな人物が現れる。あの人は確か俺達のログハウスを建ててるプレイヤーさんだったな。


「どうかしましたか?」

「いや、ここのデザインでちょっと相談があって、少しよろしいかな?」

「あ、はい」


スワンが応対し、残り四人を呼んでいる。その間俺はこんなことを訊いてみた。


「すいませんが、大きな桶って作れますか?」




最初は「桶って何に使うんだ?」と疑問視されたが説明すると快く引き受けてくれた。俺はみんなに事情を説明し、一旦ログハウス建造を止めてもらった。


そして元大工のプレイヤーは「一つでは足りないだろう?」とログハウスを建築している他のプレイヤーとも共同して十個ほどの大きな桶を作ってもらった。俺はその桶を使って近くの川で水を掬い、それにMPを注いで調合水を作ってもらうよう例のパーティーにお願いしておく。

彼らが帰ってくる前に〝簡易錬金釜″を取り出し、そこら辺に落ちている木の枝を集めて火を起こす。火はティニアさんが〔ファイアーボール〕で点けてくれた。


後はアリアさんと共同で預かった薬草を品質で分けて【上級錬金術】で調合するだけだ。

〝簡易″だけあって完成した〝調合ポーション″はそこまで品質のいいものではなかったがそれでも満足してもらえた。




そして俺の地獄の火ぶたが切って落とされた。




当然ながら回復アイテムの節約が必須なこのクエストにおいて現地で回復アイテムが作れる人物がいれば「自分にも作ってくれ!」となることをすっかり失念していたのだ。

おかげでその日は調合のせいでダイブアウトがずいぶんと遅くなってしまった。復習は明日の朝でいいや。






そして翌日、期末試験を済ませCWOにダイブする。今日は例の槍を手に入れたと言う西の遺跡に挑戦する……予定だった。


「おい、来たぞ!」

「待ってました!」

「早く作ってくれ!!」


どうやら昨日のことが掲示板に書かれたらしくダイブした途端大勢のプレイヤーに囲まれる。


「ちょっとまっ……」


制止の声も聞いてくれない。というか、抑えつけられているせいでじわじわとHPが減少していく。集落と言ってもクエストフィールドであることは変わりないのでダメージは当然受ける。


どうにかしてこの状況を打開できないかと考えていたら急に「ガン!」という音が響いた。何があった?


「うふふ~。皆さん、覚悟はよろしいですか~♪」


そこにいたのは両手に青白いスパークを纏った黒く光る鈍器を持ち、全身を真っ赤なオーラのようなモノで纏い、いつもは後ろに流している髪を逆立てた人物が仮面のような笑顔で笑っていた。


…………ダレデスカ、アナタ?


「うわ~、姉さんが壊れた」


あ、やっぱりアリアさんですか。でも様子がおかしすぎませんか!?


「なんで姉様〝コンフュグリーフ″なんて持ってきていたんでしょうか?」

「なんですか、それ?」

「状態異常【混乱】を引き起こす葉っぱです」


なるほど。つまり今のアリアさんは混乱状態なのか。だからああなると……納得できるかい!


「それだけじゃないでしょ。多分〝エクサ草″も一緒に食べてなかった?」

「【興奮】ですか……最強のコンビですね」

「あ、あの! 私たちはどうすれば!?」

「逃げるしかないと思うのですけど」


いや、逃げるなら俺も助けてください。お願いします。

恐怖のあまり足が動かないんです!


「そうね。ログハウス出来てるみたいだから中を確認してきましょうか」

「賛成~。さっさと行こう」


お~い! 俺はいいのか!? スワンとリボンなら……そこで合掌してないで助けて!!





その後凶器(フライパン)を持ったアリアさんの活躍により俺は無事脱出。どうやら【混乱】しても俺のことは認識できたようで俺には必殺の一撃を当てることはなかった。


ちなみに、【混乱】と【興奮】の最狂タッグが治まった後「なんでそんな物騒な草持っているの?」と訊いてみたら「この草とあともう一つ草を混ぜると、それぞれの成分が強化された特殊な薬が作れるので」とのこと。薬の名前は教えてもらえなかったが、それを使うとかつての仲間を敵と思うように洗脳できるらしく、どうやらアリアさん一人だけで魔物に囲まれたときに逃げられるよう念のために持ってきたモノらしい。


「そんなもの無くてもそれさえあれば楽勝じゃん♪」と言ったアリサさんはその後風魔法を利用してジャンプしたアリアさんの一撃で首だけ残して地中に埋められました。

…………今度【フライパン】っていうスキルが無いか運営に問い合わせてみようかな?

最後の方に書いてある『最狂タッグ』はわざとです。誤字ではありません。


次回の更新予定は1月28日(水)予定です。


???「それより私のイメージが崩壊してるんだけど!?」

作者「計画通りです!」


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