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VRMMOの錬金術師  作者: 湖上光広
第二章:新たな力
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第四十八話:楽園への扉

*24日最後の文を追加修正*

何とか誘導に成功し、ティニアさんが【!】のマークに近づくとマークはティニアさんの頭上に移った。


「ストップ!」と叫んで全員を止め、ティニアさんにはそこを動かないようお願いする。立った位置を変えず部屋全体を見渡すと今度は入り口近くの燭台の前に同じような【!】のマークを発見したので一番近かったリボンに向かってもらう。

多少距離があったのでうまく誘導しづらかったが、【!】を頭上に出現させることに成功する。


その次はリボンの対面の燭台だったのでスワンにお願いしてすぐに成功し、次の【!】もティニアさんの対面だったのでアリアさんにお願いした。

位置的にはアリサさんの方が近かったのだが「何かあった時にアリサさんの方がいろいろ対処しやすい」とティニアさんが発言したのでそれに同意することにした。


アリアさんの上に【!】のマークが表示された瞬間、遺跡全体が振動し、アリアさんとティニアさんが立っている床が動き始める。


動揺する俺達だが揺れはすぐに収まり、代わりにアリアさん、スワン、リボン、ティニアさんの近くにある燭台の炎の色が赤から青に変化する。


そして俺のすぐ後ろの壁が崩壊し、中から燭台が姿を現す。呆然としていると燭台に青い炎が灯り、空中に魔法陣が浮かび上がる。

その頃になって(アリサさんを除く)俺達が立っている場所が☆のそれぞれの先になっていることに気づくもすでに遅かった。


現れた魔法陣はゆっくり俺達に向かって落ちてくるのに体が動かない。見ればアリサさんも含め全員身動きが取れなくなっていた。


魔法陣はそのまま落ち、俺隊の体をすり抜け地面に到達し、俺達の視界は魔法陣が放つ発光により白く染められた。





「……ん」


気がつくとジャングルの中にいた。起き上がるとそこにはすでに意識を取り戻していたアリサさんがこっちに近づいてきていた。


「大丈夫ですか?」

「なんとか。 みんなは?」

「姉さんとリボンさんの二人以外は全員目を覚ましてます」


アリサさんが少し横に移動すると寝ている二人と二人に寄り添うティニアさんとスワンの姿が見えた。向こうもこちらに気づいたようで立ちあがろうとするが手を前に出すことでそれを止め、体に異常が無いことを確認し、向こうに歩み寄る。


「二人とも怪我はないか?」

「一応問題ないと思います」

「私も問題ありません。二人も眠っているだけです」

「眠っている?」


良く見ればアリアさんとリボンからは寝息が聞こえてくる。となるとあの魔法陣の閃光には睡眠作用でもあったのだろうか?


「それでここはどこだ……ってこんなに離れているのか」


このクエスト特殊フィールドは自分が歩いた場所しかマップとして機能しない。それでも今俺達がいる場所とさっきまでいた場所は結構離れていることだけはわかった。


それと今いる場所の手掛かりとなるかは分からないが、周りの木々にはたくさんの木の実がなっているので、もしかしたらここは空腹度の補給所のような場所なのかも知れない。


「何か考えているようなのですが、アレ見えますか?」


少し申し訳なさそうな口調でスワンが木々を指す。俺の位置からは枝と葉しか見えないのでスワンと同じ位置まで移動すると、葉と葉の間から遺跡の頂上らしきものが見える。


しかし、先ほどまでいた遺跡を構築していた石の色が違う。


「つまり、ここは別の遺跡の近く?」

「多分そうだと思います」


ここまで判明していることから推測するとあの魔法陣は次の遺跡近くへ転移させてくれる大型の転移魔法陣だったということだろうか?

だとしてもなぜ睡眠作用が必要なのだろう?


「だめだな、判断材料が足りない」

「ですね。今は二人が目を覚ますのを待ちましょう。多分ですが敵には襲われないと思いますし」


実は最初に目を覚ましたのはアリサさんで、周りを探索しているときに魔法陣を使って簡易的な結界を作ったかららしい。しかし少し隠ぺい作用がある程度の結界なので、中級クラスの魔法一発で簡単に壊れてしまうとのこと。


「魔法陣はあまり得意ではないので」とアリサさんは頭を下げたがそれでも俺達からすれば十分すぎるくらいだ。ここまでのことができることを知るとやはり【魔法陣魔法】は習得したいと思ってしまうな。そのためにもこのクエストをクリアしてスキル枠を増やさなければ。


二人が起きるまで待っているだけなのも退屈なので、俺は周辺になっている木の実を調査することにする。空腹度対策として食料の確保は絶対条件だ。アリサさんを二人の護衛に残し、ティニアさんとスワンも採取に協力してくれた。

今回はアリアさんが寝ているので詳細が分からないため、【看破】を発動させた。その結果、この場所が実はとんでもない場所であることが判明した。


「三人ともよく聞いてほしいんだけど、ここに生えてる木の実は全部、絶対に食べないでくれ」

「なんでですか? これなんてリンゴみたいですよ?」


スワンが手に持つのは真っ赤に染まった果物、見た目リンゴそっくりな木の実だ。


「……ただし毒入りだけどな」


「え!?」とスワンが大声を上げるが俺も知らずに聞かされたら同じリアクションを起こすだろう。見た目は美味しそうなリンゴにしか見えないもんな。




〝ドクンゴ″・毒物アイテム・UC

食用フルーツの定番〝ランゴ″と見た目はそっくりだが、中身は毒の成分をたっぷり含んでいる。

食べると【毒】状態になり、10%の確率で【麻痺】も発生する。




「えげつすぎるだろ、コレ」


パーティーなら助かるかもしれないが、ソロでコレを食べて両方とも発生させ、そこを襲われたら間違いなく死亡確定だ。何考えてんだ運営は?


「そういえばアルケさん? 先ほど『ここに生えてる木の実は全部』って言ってませんでした?」

「その通りですティニアさん。ここになっている木の実は全部毒物です」


他の木の実も【看破】で確認して全てが毒入りであることが判明している。

見た目は現実のフルーツと似ているので、空腹度システムでお腹がすいたときにここに辿り着いて楽園だと思って食べたらあの世生きとか、オアシスに偽装した処刑所じゃないか。


せっかく赤い床の謎を解いてその先に待っていたのがコレとは。まあ、次の遺跡のすぐ近くに転移できたのだから良しとしよう。

思えば、あの謎も【看破】があったからこそ突破できたのだから、この毒物エリアでも無事だろうと考えてここを転移先にしたのだろう。……そう信じたい。




その後もう少しで夜時間に突入する間際で寝ていた二人が同時に目を覚まし、この周辺がどういう場所であるかを説明して今日の探検は終了。ペースは遅い方だと思うが、クエストはまだまだ続く。ここで焦る必要はない。


補習に焦るごく一部を除いては。




しかし、時間的にまだ余裕があるので採取してきた毒物木の実たちで調合実験をすることにしてみた。


今回は初のオリジナルレシピである〝アランジアイス″の調合例である『〝調合水″×1+〝氷(ランクUC以上)″×3+〝アランジ″×2』の〝アランジ″を〝ドクンゴ″に変えて挑戦してみる。一応、おなじフルーツだし。


〝アランジ″と同じ用量で挑戦したら失敗したので用量を変化させながら挑戦するも残念ながら一度も成功しない。


そろそろ一息入れようかと思った時、そういえばどんな味なんだろうと考え、試しに食べてみる。


感想、普通においしかったです。

そして【毒】と【麻痺】が発生しました。さらに【麻痺】のほうが継続時間長かった。

このことを知った瞬間、間違いなくコレは運営の罠だと確信した。少しでも信じていた俺の心を返せ!


結局セリムさんが帰宅するまで俺はアトリエの中で倒れていた。

クエスト挑戦中の期間はルーチェの調合分はすべてセリムさんにお願いしている。

普段なら夜時間に納品なんてしないので、この時間に帰宅するということは追加注文で入ったのだろう。開店当初はよくあったがここ最近では珍しいな。


解毒薬を調合してくれたことに感謝し、ついでにどんな注文が入ったのか訊ねてみた。


「アルケさんに伝言があると言われたので聞きに行ってきた」

「伝言?」


コミュではなく直接話す必要があるほどのことなのか?


「どんな内容でした?」

「『こちらの世界の住人と仲良くなりたいので、その方法をケイジバンに掲載してほしい』って。 ケイジバンってなんのこと?」


……ナニソレ?

補足:床の謎2

この謎ですが、ソロで攻略した場合は攻略後に魔方陣が上空に現れて、強制転送されます。なお、全ての遺跡に強制転送の魔方陣があるわけではありません。

強制転送付きの遺跡は運営が用意したクエストクリアのショートカットと思ってください。


アルケ「なら選択式でもいいんじゃね?」

作者「それだとだれも選択しないと思ったので」

アルケ「そもそもソロでアリゲートタイタン倒せるのか?」

作者「そこは挑戦する人のがんばり次第」

アルケ「だめだこりゃ」


ではまた三日後、と思ったら次回はクリスマスイブなので特別編です。

みなさまお待ちかね、あのキャラが再登場します!

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